PER(Price-to-Earnings Ratio)は、日本語で「株価収益率」とも呼ばれ、企業の株価がその企業の収益に対してどれだけの価値を持つかを示す指標です。投資判断において重要な指標の一つであり、企業の収益性と市場での評価を比較するために使われます。
1. PERの計算方法
- PERの計算式は以下の通りです: PER= $\frac{\text{株価}}{\text{1株あたりの利益(EPS)}}$
- ここで、
- 株価は、企業の株式の現在の市場価格です。
- **EPS(Earnings Per Share)**は、企業の純利益を発行済み株式数で割ったもので、「1株あたりの利益」を表します。
2. PERの解釈
- 高いPER: 株価が企業の収益に対して高く評価されていることを意味します。これは、将来の成長が期待されている企業や市場での人気が高い企業で見られます。
- 低いPER: 株価が企業の収益に対して低く評価されていることを意味します。市場が企業の成長に対して悲観的であったり、収益が安定している企業(ディフェンシブ銘柄)で見られます。
3. PERの使用方法
- 株価の割高・割安の判断:
- PERを使って、現在の株価が割高か割安かを判断することができます。一般的には、同業他社や市場の平均と比較して判断します。
- 成長性の評価:
- PERは、将来の成長性を評価する際にも使用されます。高いPERは成長期待が高いことを示し、低いPERは安定した収益を意味することがあります。
- 業種別の比較:
- 業種によって標準的なPERが異なるため、同じ業界内での比較が重要です。たとえば、ハイテク業界ではPERが高くなりがちですが、エネルギーや素材産業では低めであることが一般的です。
4. PERの長所と短所
- 長所:
- 簡単に計算でき、企業の収益性と市場評価を比較するための直感的な指標。
- 株価の割高・割安を判断するための目安として広く使用される。
- 短所:
- 利益がゼロまたはマイナスの場合、PERは計算できず、有効な指標とはならない。
- 企業の将来の成長性を正確に反映するわけではなく、市場の期待や感情が大きく影響する場合がある。
- 業界や市場の状況によって標準的なPERが異なるため、他の指標と併用して判断することが望ましい。
5. PERの目安
- 一般的には、PERの値は 15から25 程度が「適正」とされることが多いですが、これは業界や市場の状況によって変わります。
- 10以下: 割安と見なされることが多く、市場がその企業の成長に対して悲観的である可能性があります。
- 10〜20: 適正と見なされる範囲。収益が安定している企業によく見られます。
- 20以上: 高成長が期待されている場合や、市場で人気がある企業で見られることが多いです。
6. PERの利用例
- 成長株とバリュー株の比較:
- 成長株(PER)は将来の利益成長が期待されており、現在の利益に対して高い評価を受けている。
- バリュー株(PER)は現在の利益に対して割安とされることが多く、将来的な評価が見直される可能性があります。
- 市場の平均との比較:
- S&P 500などの市場平均のPERと個別企業のPERを比較することで、その企業が市場全体と比べてどのような評価を受けているかを確認することができます。
7. PERの限界
- 企業の利益の変動:
- 企業の利益が大きく変動する場合、PERレシオの信頼性が低下することがあります。特に一時的な利益や損失が発生した場合、PERが大きく変わるため注意が必要です。
- 会計基準の違い:
- 企業の利益は会計基準に基づいて計算されるため、会計基準が異なるとPERレシオの比較が難しくなることがあります。
まとめ
- PERは、企業の株価とその収益を比較するための指標であり、投資家が株価の割高・割安を判断するために使います。
- 簡単に計算できるため、広く利用されていますが、利益が安定しているか、将来の成長性がどれくらい期待されているかなど、他の要因と併せて総合的に判断することが重要です。
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