Apple 2025年Q1決算と2025年Q2ガイダンスの解説

2025年第1四半期(Q1)決算ハイライト

  • 売上高:2025年度第1四半期(2024年10〜12月期)の売上高は1,243億ドルとなり、前年同期比4%増加し、四半期ベースで過去最高を記録しました。
  • 純利益:四半期純利益は363億ドル(前年同期比約7%増)となり、こちらも過去最高水準です。
  • 1株当たり利益(EPS):希薄化後EPSは2.40ドルとなり、前年同期の2.18ドルから約10%増加しました(2桁成長)。収益拡大と自社株買いによる発行株数減少の効果で、EPSは過去最高を更新しています。
  • 利益率:売上総利益率(グロスマージン)は約**46.9%**となり、前年同期(約45.9%)から約1ポイント改善しました。製品ミックスの改善やコスト効率化により高い利益率を維持しており、増収効果と相まって純利益の伸びに寄与しました。
  • 事業全体の概要:ホリデーシーズンにおける強力な製品ラインナップとサービス群が奏功し、主要製品カテゴリの堅調な販売とサービス収入の伸長によって過去最高の売上を達成しました。Appleのアクティブデバイスのインストールベース(稼働中の同社製デバイス数)は23億5,000万台以上に達し、全ての製品カテゴリーと地域セグメントで過去最高を更新しています。この史上最大のユーザーベースの拡大がサービス部門の成長を強力に下支えしています。また、同四半期中に300億ドル以上を株主に還元(自社株買いや配当)しており、株主還元策も引き続き積極的に実施されました。

製品カテゴリ別の業績(2025年Q1)

  • iPhone:売上高は691億ドルで、前年同期比約1%の減少でした。最新のiPhoneラインアップ(※2024年発売モデル)は多くの市場で堅調に販売され、いくつかの国や地域では過去最高のiPhone売上を記録しましたが、中国市場での需要低迷や為替の逆風により、全体では前年同期をわずかに下回りました。
  • Mac(パソコン):売上高は90億ドルで、前年同期比約16%増と大きく伸びました。Appleシリコン搭載の最新Mac(M3チップ搭載のMacBook ProやiMacなど)の発売が牽引役となり、世界的に需要が拡大しました。前年同期はサプライチェーンの制約もあって伸び悩んでいたため、その反動増も寄与しています。
  • iPad:売上高は81億ドルで、前年同期比約15%増加しました。新型iPadへの関心の高さに加え、前年の供給不足からの回復で在庫状況が改善したこともあり、タブレット需要が強含みました。教育市場やビジネス用途での需要も安定しており、iPad事業は二桁成長を達成しています。
  • ウェアラブル、ホーム、アクセサリ(Apple Watch、AirPods、HomePodなど):売上高は117億ドルで、前年同期比約2%減となりました。秋にApple Watch Series 10など新製品を投入しましたが、ウェアラブル市場の成熟や競合環境もあり成長は一服しました。前年同期に一部製品の売上が好調だった反動もあり、わずかな減収となっています。
  • サービス部門:売上高は263億ドルとなり、前年同期比約14%増と大幅な増収で過去最高記録を更新しました。App Storeの売上増やサブスクリプションサービス(Apple Music、Apple TV+、iCloud、Apple Arcadeなど)の契約者数拡大が続き、またApple Payや広告事業等も着実に伸びています。Appleのサービス収入は全売上の約21%を占めるまでに拡大しており、同社の収益成長のエンジンとして引き続き重要性を増しています。

地域別の売上動向(2025年Q1)

  • 米大陸(北米・中南米合計):売上高は526億ドルで前年同期比約4%増となりました。主力の米国市場におけるiPhoneやサービスの堅調な売上が中心となり、安定した成長を示しました。
  • 欧州:売上高は339億ドルで前年同期比約11%増と、地域別では高い成長率を示しました。欧州ではほぼ全ての製品カテゴリで売上が伸び、特にiPhoneとサービス分野が二桁成長に寄与しました。主要国(イギリス、ドイツ、フランス等)での需要が強く、為替の影響を除いても堅調な実績です。
  • グレーターチャイナ(中国本土・台湾・香港):売上高は185億ドルとなり、前年同期比約11%減少しました。中国市場ではスマートフォン需要の減速や現地メーカーとの競争激化に直面し、iPhoneの売上が振るいませんでした。ただし経営陣によれば、チャネル在庫の調整(流通在庫の削減)が中国地域の売上減少の約半分を占めており、実際の最終需要の落ち込みは報告上の数字ほど深刻ではないとのことです。また、Appleが最近投入した生成AI機能「Apple Intelligence」が中国では未提供であることも、最新iPhoneの訴求力に影響を与えた可能性があります。
  • 日本:売上高は90億ドルで前年同期比約16%増と、地域別では最大の伸び率となりました。円安によるドル建て売上の押し上げ効果も一因ですが、それを差し引いてもiPhoneを筆頭に旺盛な需要が見られました。特にiPhoneとサービスの伸びが著しく、Appleにとって日本市場が依然好調であることを示しています。
  • その他アジア太平洋:売上高は103億ドルで前年同期比約1%の微増に留まりました。インドや東南アジアでiPhoneの販売拡大が続き新興市場は高成長を遂げていますが、豪州や韓国など一部市場の伸び悩みと相殺され、地域全体では横ばい圏となりました。
  • (参考)地域別構成:米国を含む米大陸以外の売上比率は当四半期で**58%**となり、Appleの収益は引き続きグローバル比重が高い状況です。地域分散により、一部地域の不振を他地域の好調で補う構造が功を奏しています。

2025年第2四半期(Q2)の業績見通しと経営陣コメント

  • 売上高見通し:Appleは2025年1〜3月期の第2四半期について、売上高が前年同期比でロー〜ミッドシングルディジット台(1桁台前半〜半ば)の増収になるとの見通しを示しました。具体的な数値レンジのガイダンスは公表していませんが、為替レートの逆風による約2.5ポイントのマイナス影響を考慮しても前年同期を上回る成長を確保できる見込みです。経営陣は「為替影響を除けば前年第1四半期(+4%)と同程度の成長率になる」と述べており、基調としては堅調な売上拡大が続くと予想しています。
  • カテゴリー別のトレンド:第2四半期もサービス部門が全社成長をリードするとみられ、サービス収入は前年同期比で引き続き2桁台の伸びを会社側は予想しています。一方、ハードウェア製品については、前年同期(水準が比較的低迷していた2024年1〜3月期)との対比でiPhoneは横ばい〜わずかな増加、MaciPadは前年の新製品効果の反動で成長率が幾分鈍化する可能性があります。ただし全体として製品売上合計もプラス成長を維持し、特に新興国市場でのiPhone販売拡大や新製品投入効果が下支えすると見られます。
  • 利益率・費用見通し:利益率面では、第2四半期の粗利益率(グロスマージン)は46.5%〜47.5%程度と、引き続き史上最高水準の高いレンジが見込まれています。また営業費用(オペレーティング経費)は151億〜153億ドルに抑制する計画で、売上高増加に伴う営業レバレッジ効果もあり高い営業利益率を維持できる見通しです。その他、為替差損益等を含む営業外損益は約3億ドルのマイナス、法人税率は約16%程度になると予測されています。
  • 経営陣のコメント:CEOのティム・クックは決算発表に際し、「世界的な経済不透明感が残る中でも、ホリデーシーズンに史上最高の製品とサービスのラインナップを提供できたことを喜ばしく思う」と述べ、幅広い製品ポートフォリオへの自信を示しました。第2四半期に向けては、新興市場での成長機会やサービス収入の拡大に楽観的な見方を示す一方で、中国市場の動向や為替変動などのリスク要因を注視する姿勢も強調しています。Appleは今後もイノベーションへの投資顧客エコシステムの拡大を継続することで、長期的な成長と株主価値の向上を図る方針です。経営陣は、足元のマクロ経済環境が大きく悪化しない限り提示した見通しは達成可能との自信を示しており、2025年後半以降に向けても持続的な成長軌道を維持できるとの展望を述べています。

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