新自由主義は、マネタリズムとサプライサイド経済学を支える理論的な基盤として理解されることが多く、この2つの経済理論が新自由主義の政策実行において「両輪」となっています。
1. マネタリズム
マネタリズムは、貨幣供給が経済に与える影響を強調する経済学派であり、特にインフレ制御に重きを置きます。マネタリストたちは、貨幣供給の管理を通じて経済の安定を図ることが重要だと考え、政府が過度に介入することを避けるべきだと主張します。新自由主義において、政府の役割を縮小し、中央銀行がインフレ抑制に集中するという考え方は、このマネタリズムに基づいています。
例えば、レーガン政権やサッチャー政権は、インフレ率を低下させるために高金利政策を採用し、中央銀行の独立性を重視するマネタリズム的アプローチを推進しました。これにより、経済全体の貨幣供給をコントロールしつつ、長期的な成長を維持しようとしました。
2. サプライサイド経済学
サプライサイド経済学は、経済成長の鍵は供給(生産能力)を増やすことにあると考えます。税率の引き下げ、規制緩和、労働市場の自由化など、供給側(企業や投資家)のインセンティブを高める政策が重要視されます。レーガン政権の「レーガノミクス」では、大規模な減税と規制緩和が行われ、これがサプライサイド経済学に基づいた政策でした。供給サイドを強化することで、経済全体の生産性が向上し、長期的な成長が実現できるという考えです。
3. 新自由主義における両輪の役割
新自由主義は、これらの2つの理論を統合し、経済政策に反映させています。マネタリズムを通じてインフレを抑制し、安定的な貨幣供給を維持することで経済のバランスを図る一方、サプライサイド経済学に基づいて減税や規制緩和を進め、企業活動を活発化させることで経済の成長を促進します。
まとめ
新自由主義は、マネタリズムとサプライサイド経済学の双方を取り入れた政策体系であり、この二つの経済学派が「両輪」として相互に補完し合いながら、新自由主義的政策の実行を支えています。マネタリズムはインフレ抑制と経済の安定を図り、サプライサイド経済学は長期的な成長のために供給側の強化を目指すという役割分担が、新自由主義の中核を成しています。
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