ストリップ債(ストリップ・ボンド / STRIPS)とは?
**ストリップ債(STRIPS: Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities)**とは、クーポン(利息部分)と元本部分を分離して個別に売買できるようにした債券のことです。特に米国では、米国財務省証券(米国債)をストリップ化したものがよく取引されています。
ストリップ債の特徴
- ゼロクーポン債
- ストリップ債は、クーポン(利払い部分)が切り離されるため、**ゼロクーポン債(利息がなく、満期時に額面が支払われる債券)**となります。
- そのため、額面金額よりも割引された価格(ディスカウント)で購入し、満期時に額面分を受け取ることで利益を得ます。
- 市場価格の変動が大きい
- 利回り(YTM)が変動すると価格が大きく変動します。特に、通常の債券に比べてストリップ債は金利変動の影響を大きく受けるため、デュレーション(価格感応度)が長くなり、ボラティリティが高いのが特徴です。
- 信用リスクが低い
- ストリップ債は通常、政府債(米国債や日本国債)をベースとしているため信用リスクが低い債券として扱われます。ただし、企業のストリップ債も存在し、その場合は発行体の信用リスクを考慮する必要があります。
- 再投資リスクがない
- 通常のクーポン債では、定期的に受け取る利息を再投資する際の金利変動リスク(再投資リスク)がありますが、ストリップ債はクーポンがないため再投資リスクがゼロになります。
ストリップ債のメリット
- 長期投資に適している
→ 将来の確定した金額を受け取れるため、年金運用や教育資金などに向いている。 - 価格が明確
→ 利払いがないため、利息の再投資を考慮せずに将来のリターンを簡単に計算できる。 - 信用リスクが低い
→ 米国債や日本国債のストリップ債なら信用リスクが非常に低い。
ストリップ債のデメリット
- 金利変動の影響が大きい
→ 長期債が多いため、金利上昇局面では価格が大きく下落するリスクがある。 - 途中売却時の流動性リスク
→ 通常のクーポン付き債券に比べて取引市場が限られることがある。 - 満期まで利回りが確定しない
→ 中途売却すると、購入時に期待した利回りを確保できない可能性がある。
代表的なストリップ債の種類
- 米国債のSTRIPS
- 米国財務省が公式にストリップ化して発行するゼロクーポン債。
- 日本国債のSTRIPS
- 財務省が特定の国債をストリップ化して提供(一般的には流通量が少ない)。
- 企業債のストリップ債
- 一部の企業債でストリップ化されたものもあるが、信用リスクに注意が必要。
ストリップ債の投資戦略
- 長期的な確定リターンを狙う
→ 満期まで保有し、確定した利回りを得る戦略が基本。 - 金利低下局面でのキャピタルゲイン狙い
→ 金利が下がるとストリップ債の価格は大きく上がるため、売却益を狙う。 - ポートフォリオのリスク分散
→ クーポン債と組み合わせることで、金利変動リスクをヘッジ可能。
まとめ
ストリップ債は、ゼロクーポン債として長期的に確実なリターンを得るための投資手段です。ただし、金利変動の影響を大きく受けるため、投資タイミングには注意が必要です。特に、金利が高いときに購入し、低金利局面まで持ち続けると有利な債券です。
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