投資適格債(Investment Grade Bonds)とは?

投資

投資適格債とは、信用格付けが一定水準以上の債券のことを指します。信用リスク(デフォルトのリスク)が低く、比較的安全な投資対象とされます。


1. 投資適格債の基準

格付け会社(S&P、Moody’s、Fitch)によって評価され、以下の格付け以上の債券が「投資適格」とされます。

格付け機関投資適格ジャンク債(投機的債券)
S&PBBB- 以上BB+ 以下
Moody’sBaa3 以上Ba1 以下
FitchBBB- 以上BB+ 以下

例:

  • S&PのBBB-以上投資適格債
  • BB+以下ジャンク債(ハイイールド債)

2. 投資適格債の種類

① 国債(Sovereign Bonds)

  • 米国債(U.S. Treasuries):AAA(最高格付け)
  • 日本国債(JGBs):A評価(Moody’s A1、S&P A+)
  • ドイツ国債(Bunds):AAA

② 社債(Corporate Bonds)

  • 投資適格の社債
    • Apple(AAPL):AA+
    • Microsoft(MSFT):AAA(最高格付け)
    • Toyota(トヨタ):A+
  • ジャンク債と異なり、安定した企業が発行

③ 住宅ローン担保証券(MBS)

  • Fannie MaeやFreddie Macが発行するMBS
  • 米政府の支援があり、投資適格債として扱われる

④ 地方債(Municipal Bonds)

  • 州政府や地方自治体が発行
  • 米国の地方債(Muni Bonds)は非課税メリットがある

3. 投資適格債のメリット・デメリット

✅ メリット

  1. 信用リスクが低い
    • 企業や政府の財務が安定しており、デフォルトリスクが低い
  2. 市場の流動性が高い
    • 需要が多く、取引が活発
  3. 安定した利回り
    • 国債や社債ETFを通じて安定的なキャッシュフローが得られる

❌ デメリット

  1. リターンが低い
    • ジャンク債(ハイイールド債)より利回りが低め
    • 米国債やAAA格社債は金利が低いためインフレに弱い
  2. 金利上昇リスク
    • 金利が上がると債券価格は下落
    • 例:2022年の米FRB利上げで、長期債価格が急落
  3. 信用格付けの変動
    • 企業や国の財務悪化で「投資適格 → ジャンク債」に格下げのリスク
    • 例:リーマン・ショック時のGMやフォードの社債

4. 投資適格債のETF(上場投資信託)

投資適格債に分散投資できるETFも多く存在します。

ETF名対象債券ティッカー
米国投資適格社債LQDiShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond ETF
米国総合債券AGGiShares Core U.S. Aggregate Bond ETF
米国長期国債TLTiShares 20+ Year Treasury Bond ETF
グローバル債券BNDXVanguard Total International Bond ETF
  • LQD投資適格社債ETF
  • AGG米国総合債券市場全体
  • TLT米国長期国債(20年以上)

5. 投資適格債 vs ジャンク債(ハイイールド債)

項目投資適格債ジャンク債(ハイイールド債)
信用リスク低い高い(デフォルトリスクあり)
利回り低め(2~5%)高め(6~10%以上)
発行者財務が健全な企業・政府財務が不安定な企業
ボラティリティ低い(安定)高い(リスク大)
金利上昇時の影響大きい(価格下落しやすい)比較的影響を受けにくい
  • 安全性重視なら投資適格債
  • 高リターン狙いならジャンク債

6. 投資適格債はどんな人に向いている?

安定した収益を求める人リスクを抑えながら資産運用したい人ポートフォリオの分散を図りたい人金利上昇局面での投資機会を探している人

投資適格債は、株式と組み合わせることでリスク分散にも使えます。特に米国債やLQDなどのETFを活用すると、安定的なポートフォリオ構築が可能です。

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