標準偏差は、データのばらつき(分散)の程度を示す統計指標です。値が平均(期待値)からどれだけ離れているかを測るもので、金融市場では**リスクの大きさ(ボラティリティ)**を評価する際によく用いられます。
1. 標準偏差の計算方法
標準偏差 σ は、次の手順で求められます。
- データの平均(μ)を求める
μ=$\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} x_i$
- 各データと平均の差を求め、それを二乗する
$(x_i – \mu)^2$
- 二乗した値の平均(分散)を求める
σ²=$\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i – \mu)^2$
- 分散の平方根をとる
σ=$\sqrt{\sigma^2}$ = $\sqrt{\frac{1}{n} \sum_{i=1}^{n} (x_i – \mu)^2}$
2. 標準偏差の意味
- 標準偏差が大きい → データのばらつきが大きい(変動が激しい)
- 標準偏差が小さい → データのばらつきが小さい(安定している)
例えば、株価の標準偏差が大きい場合はボラティリティ(変動幅)が大きいことを意味し、小さい場合は値動きが安定していることを意味します。
3. 金融市場における標準偏差の活用
(1) ボラティリティの測定
- リスクの指標として
- 株価や資産の標準偏差が高い → 価格変動が激しく、リスクが高い
- 標準偏差が低い → 価格変動が小さく、リスクが低い
- 例: 株価の標準偏差
- A銘柄の標準偏差:2%
- B銘柄の標準偏差:5%
- → B銘柄の方がリスクが高い(値動きが大きい)
(2) ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、**移動平均±2σ(標準偏差)**で計算され、価格の範囲を予測する際に使われます。
(3) リスク管理
ポートフォリオのリスクを測るために、標準偏差を使って資産の分散効果を評価できます。
4. 正規分布と標準偏差
金融市場では、価格変動が**正規分布(ベルカーブ)**に従うと仮定することが多いです。
範囲 | 含まれる確率 |
---|---|
μ ± 1σ | 約68.3% |
μ ± 2σ | 約95.4% |
μ ± 3σ | 約99.7% |
例:
- 平均リターンが5%、標準偏差が2%の株式なら、約95%の確率で翌月のリターンは1%~9%の範囲に収まる。
5. 標準偏差の注意点
- 過去のデータを元に計算するため、将来のリスクを保証するものではない
- 急激な相場変動時には、標準偏差だけではリスクを把握しにくい
- 正規分布を仮定しているが、実際の市場はファットテール(極端な値が出やすい)
6. まとめ
指標 | 意味 |
---|---|
標準偏差が大きい | 価格変動が大きく、リスクが高い |
標準偏差が小さい | 価格変動が小さく、リスクが低い |
±1σ(68.3%) | 価格がこの範囲に収まる確率 |
±2σ(95.4%) | ほとんどの価格変動がこの範囲内 |
±3σ(99.7%) | ほぼ全ての価格変動がこの範囲内 |
標準偏差は、リスク評価やテクニカル分析(ボリンジャーバンドなど)で広く使われており、特に金融市場におけるボラティリティ分析に重要な指標です!
標準偏差は、データのばらつき(分散)の程度を示す統計指標です。値が平均(期待値)からどれだけ離れているかを測るもので、金融市場では**リスクの大きさ(ボラティリティ)**を評価する際によく用いられます。
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