**リスクオン(Risk-On)とリスクオフ(Risk-Off)**は、金融市場における投資家のリスク選好(リスクアペタイト)の変化を示す言葉です。
1. リスクオン(Risk-On)
投資家がリスク資産への投資を積極的に行う状況を指します。
リスクオン相場では、成長株、新興国株、コモディティ(原油・銅など)、暗号資産といったリスクの高い資産が買われやすくなります。
リスクオンになる主な要因
- 金融緩和(低金利・QEなど):資金調達コストが低下し、リスク資産に資金が流入。
- 景気拡大の期待:企業業績の改善やGDP成長が見込まれる。
- インフレ鈍化:物価上昇が抑制され、中央銀行が利上げを停止・緩和へ転じる。
- 政治的安定:地政学リスクの低下により投資家心理が改善。
- 米ドル安:ドル安は新興国市場への資金流入を促す。
リスクオンで上昇しやすい資産
- 株式市場
- 成長株(特にGAFAM、半導体、AI関連)
- 新興国株
- コモディティ
- 原油、銅、貴金属(特に産業向けの金属)
- 仮想通貨(ビットコイン、イーサリアムなど)
- 高利回り通貨(豪ドル、NZドル、新興国通貨など)
2. リスクオフ(Risk-Off)
投資家がリスク資産を回避し、安全資産に資金をシフトする状況を指します。
リスクオフ相場では、国債、金、円、スイスフラン、米ドル(リスクヘッジ通貨) などの安全資産が買われやすくなります。
リスクオフになる主な要因
- 金融引き締め(利上げ・QT):金利上昇でリスク資産の価値が下落。
- 景気後退の懸念:リセッション(景気後退)の兆候が強まる。
- インフレの加速:特にエネルギー価格や賃金インフレが進むと、金利上昇圧力が高まりリスク資産に悪影響。
- 地政学リスク:戦争、テロ、貿易摩擦(例:ウクライナ紛争、中東問題、中国の動向)。
- 金融危機・システミックリスク:銀行破綻、企業倒産リスクの高まり。
リスクオフで上昇しやすい資産
- 債券市場
- 米国債(特に長期債)
- 日本国債(円高の影響で外国人投資家が買いやすい)
- 金(Gold):インフレや信用不安時のヘッジ資産
- 安全通貨
- 日本円(JPY) → 日本の経常黒字体質によりリスクオフ時に買われやすい
- スイスフラン(CHF) → 政治・経済の安定性からリスク回避の選択肢
- 米ドル(USD) → 世界の基軸通貨でありリスクヘッジ手段として利用される
3. リスクオン・リスクオフのサイクル
金融市場はリスクオンとリスクオフを繰り返すことで価格変動を生み出します。
- 景気拡大 → リスクオン
- 景気鈍化 → リスクオフ
- 金融緩和(低金利) → リスクオン
- 金融引き締め(高金利) → リスクオフ
- 戦争・パンデミック発生 → リスクオフ
- 戦争終結・経済回復 → リスクオン
4. 実際の相場でのリスクオン・リスクオフの例
時期 | 状況 | 市場の動き |
---|---|---|
2008年リーマンショック | リスクオフ | 株価暴落、米ドル・円急騰、金上昇 |
2016年米国大統領選(トランプ当選) | リスクオン | 米株上昇、新興国株も堅調 |
2020年コロナショック(3月) | リスクオフ | 株価暴落、米ドル・円急騰、金上昇 |
2020年コロナ後の金融緩和(6月~) | リスクオン | 株価急騰、ビットコイン急騰 |
2022年ロシア・ウクライナ戦争 | リスクオフ | 株価下落、エネルギー価格急騰、金上昇 |
2023年米インフレ鈍化・利上げ停止期待 | リスクオン | 株高、米ドル安、新興国市場上昇 |
5. 投資戦略
リスクオン・リスクオフの切り替わりを見極めることが重要。
リスクオン時の戦略
- 株式・新興国市場への投資増加
- 高ベータ(ハイテク、成長株)銘柄の積極運用
- コモディティ(原油・銅)をポートフォリオに加える
- リスク通貨(豪ドル・新興国通貨)を活用
リスクオフ時の戦略
- 安全資産(米国債・金)への逃避
- 低ベータ(ディフェンシブ株、公益・生活必需品セクター)の保有
- 円・スイスフラン・米ドルの保有比率を上げる
- ショート戦略(VIX指数・プットオプション活用)
6. まとめ
- リスクオン:リスク資産(株、コモディティ、新興国通貨)が買われる
- リスクオフ:安全資産(国債、金、円、スイスフラン)が買われる
- 中央銀行の金融政策・景気動向・地政学リスクがカギ
- 投資戦略は市場環境に応じて柔軟に変える
コメント