トランプ政権の関税政策(2018年以降)の経済・市場への影響

政治経済

背景:2018年以降の関税政策の概要

ドナルド・トランプ前大統領は2018年以降、「米国第一」を掲げて貿易赤字の削減や国内産業の保護を目的に大規模な関税政策を実施しました。まず2018年3月、国家安全保障を理由に鉄鋼(25%)とアルミニウム(10%)に追加関税を発動し、カナダやEUなど同盟国も含めた世界各国からの金属輸入を対象としました (In Michigan steel towns, tariffs meant to revive industry cost jobs | Reuters)。これに対し各国は報復措置(EUはオートバイやバーボンなどに関税)を講じるなど、貿易摩擦が高まりました。さらに同年7月以降、知的財産侵害是正を名目に対中制裁関税(通称301条措置)を段階的に発動し、中国からの輸入品に最大25%の関税を課しました。2018年中に約500億ドル相当の中国製品に25%関税、加えて約2000億ドル分に最初10%(のち25%へ引上げ)の関税が課され、中国も大豆など米国からの輸出品に報復関税を実施しました。またトランプ政権はメキシコやEUからの自動車に対する関税も示唆し交渉を迫るなど、他国との通商交渉に関税をてこに使いました。結果として米中間では報復の応酬による「貿易戦争」に発展し、世界の通商秩序に大きな不確実性を生み出しました。2020年1月には米中「第1段階の合意」(Phase One)が成立して追加関税第4弾の一部が見送られましたが、中国からの輸入約3,600億ドル分(全輸入額の約2/3)には引き続き関税が残されたままとなりました (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters)。以下では、こうした関税政策が米国経済および株式市場に与えた影響を、雇用・物価から金融市場まで多面的に分析します。

アメリカ国内経済への影響

雇用と製造業への影響

関税政策は保護された産業の雇用を一時的に押し上げる一方、コスト増による他産業の雇用減少を招き、製造業全体では雇用純減をもたらしたと分析されています。実際、2018年の鉄鋼・アルミ関税発動後、米国製鉄所では操業再開や増産の動きもあり一部で雇用が増加しましたが、同時に自動車など鉄鋼を原料とする下流産業ではコスト上昇に苦しみました。フォード社は金属関税によるコスト増で約10億ドルの利益損失が生じたと試算しており (Larry Kudlow: Some CEOs may be using China tariffs as an excuse)、ゼネラル・モーターズ(GM)も同規模(約10億ドル)の収益悪化を公表しています (In Michigan steel towns, tariffs meant to revive industry cost jobs | Reuters)。その結果、保護された雇用以上に他部門の雇用喪失が上回る傾向がデータから示唆されています。米連邦準備制度理事会(FRB)の研究によれば、2018~2019年の関税措置により製造業雇用は全体で1.4%減少したと推計されます (Fact Check: Did the Trump tariffs increase US manufacturing jobs? | Econofact)。国内競合品に対する保護による雇用押し上げ効果(+0.3%)はわずかで、原材料コスト上昇(-1.1%)や各国からの報復関税による需要減(-0.7%)で雇用喪失がそれを上回ったとされています (Fact Check: Did the Trump tariffs increase US manufacturing jobs? | Econofact)。実際、製造業就業者数はトランプ政権期を通じて大きくは増えず、2017年初に約1,240万人だった水準が2021年初には約1,220万人へと微減しています (Fact Check: Did the Trump tariffs increase US manufacturing jobs? | Econofact)。また、FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)でも、「関税により原材料コストが上昇し利益率が低下した」「貿易政策の不確実性が設備投資や雇用計画の先送りにつながった」といった企業の声が繰り返し報告されました (Tariffs rattle stock markets, but long-term impact is unclear | Invesco US)。実際2019年には製造業を中心に資本財の受注や設備投資の伸びが鈍化しており、関税による先行き不透明感が一因と考えられています。このように、関税政策は一部の産業を救ったものの、関連産業全体では逆効果となり雇用面でネットのマイナスを招いた可能性が高いといえます。

物価(インフレ)への影響

関税は輸入財の価格を引き上げるため、最終的に**国内の物価上昇(インフレ圧力)**につながります。トランプ政権の関税もアメリカの消費者物価に上昇圧力を与えましたが、その規模は当時の全体インフレから見れば限定的でした。民間推計では、発動済みの関税は2019年時点で米国の消費者物価上昇率を約0.2ポイント押し上げる効果があったとされています (US Tariffs: What’s the Impact? | J.P. Morgan Research)。実際、関税対象となった洗濯機や電子機器、一部の日用品では値上がりが観察され、関税は事実上「消費増税」となりました。ニューヨーク連銀の試算によると、2018年の関税措置だけで米国の典型的な世帯当たり年間約419ドルの負担増(実質所得減)となり (New China Tariffs Increase Costs to U.S. Households – Liberty Street Economics)、その後関税率引き上げや追加発動が行われた結果、2019年時点で世帯あたり年間約831ドルものコスト増につながったとされています (New China Tariffs Increase Costs to U.S. Households – Liberty Street Economics)。これは関税による価格上昇分(企業や消費者が支払う「税負担」)と、需要減退による効率低下(死荷重損失)の合計ですが、後者の効率損失も含めて家計にとって無視できない負担となっていました。もっとも、原油価格や為替など他の物価要因も動いていたため、当時の米国のインフレ率自体は概ね目標近辺で安定して推移し、大きなインフレ高進には至りませんでした。しかし関税措置がなければ物価上昇はさらに抑えられていただろうと推測されており、これら措置は事実上米国消費者への増税策であったと評価できます。

農業への影響

中国など貿易相手国の報復関税は、米国の農業部門に深刻な打撃を与えました。中国は対抗措置として大豆やトウモロコシ、豚肉など米国産農産物の輸入を大幅に制限し、その結果米国の対中農産物輸出は急減しました。例えば、中国が米国産大豆に25%の報復関税を課した影響で、2018年の対中大豆輸出量は前年から75%も激減しています 。中国という最大市場を失った米国産農産物は行き場を失い、在庫が積み上がったことで米農産物価格は低迷しました。このため中西部を中心に農家の収入が悪化し、経営破綻や自殺の増加まで報じられる深刻な状況となりました。トランプ政権は支持基盤である農家への打撃を緩和するため、2018~2019年に巨額の農業支援策を実施しています。具体的には農業法に基づく政府機関(商品信用公社, CCC)を通じて 累計約280億ドルもの補助金 を拠出し、貿易戦争の被害を受けた農家の所得補填に充てました 。この支援額は米軍の年間予算にも匹敵すると指摘される規模であり、関税による農家への損失補填に巨額の財政負担が費やされたことになります 。しかしそれでも農業団体からは「市場そのものを失っては元も子もない」と不満の声が出され、将来の中国市場シェア喪失への懸念が表明されました。以上のように、関税政策は米農業に輸出機会喪失と価格下落をもたらし、政府は急遽財政支出で農家を支援する事態となりました。

株式市場への影響

主要企業・セクターの株価反応

関税政策は企業業績見通しを変化させるため、特に関税の影響を大きく受ける企業や産業の株価に即座に反映されました。輸入コスト増や報復関税による売上減少が懸念される企業では、関税発表時に株価が急落するケースが多く見られました。例えば自動車産業では、前述のとおり鉄鋼価格上昇によるコスト増で業績圧迫が避けられず、フォードやGMなど米大手自動車メーカーの株価は貿易戦争の局面で低迷しました。また中国市場への売上依存度が高いハイテク・半導体企業や、安価な輸入部品に頼る小売業も大きな打撃を受けると予想され、これら関税敏感セクターの株価は関税ニュースに神経質に反応しました。実際、半導体株指数やアップル株価は米中の関税合戦が激化した2018年下期から2019年にかけて乱高下し、関税リスクが投資家心理を左右する要因となりました。企業別ではボーイング(航空機の対中輸出が報復対象となる懸念)、キャタピラー(建機需要の中国市場縮小懸念)、ハーレーダビッドソン(EUの報復関税対象)など、多くの看板企業の株価が関税発表直後に下落しています。中には生産拠点の移転やコスト転嫁など対策を模索する企業もありましたが、投資家は関税による業績悪化リスクを嫌気し、関連株を売る動きが広がりました。結果として関税発表前後では、関税の恩恵を受ける米国内の一部企業(鉄鋼メーカーなど)の株価上昇よりも、影響を受ける企業の株価下落の方がはるかに大きく、市場全体でも弱含む展開となりました。

株価指数(S&P500・ダウ平均)への影響

米国の主要株価指数(S&P500指数やダウ平均株価)も、関税政策の動向に合わせて大きく変動しました。貿易戦争の激化した2018年には、米経済の好調にもかかわらず株式市場は年間を通じて乱高下し、年末には調整局面入りしました。S&P500指数は2018年通年で約-4.4%の下落となり、リーマン危機後初めて年間マイナスを記録しました (Tariffs rattle stock markets, but long-term impact is unclear | Invesco US)。一方、関税発動による悪材料が一巡した2019年にはS&P500が年率+31.5%と急反発し、ダウ平均も+22%超の上昇となりました (Tariffs rattle stock markets, but long-term impact is unclear | Invesco US)。これは米中対立がいったん小康状態となり、同年後半にFRB(米連邦準備制度)が予防的利下げで景気下支えに動いたことも相まって、市場心理が改善したためです。すなわち、貿易戦争の激化は株式相場に下押し圧力をもたらしたものの、その後の緩和や部分的な貿易合意によって市場は持ち直すという展開でした。ただし上記の通年ベースの結果に至る途中経過では、関税をめぐるニュースに市場が一喜一憂し、大きなボラティリティを伴いました。例えば2018年2~3月の鉄鋼関税表明や中国への関税第1弾発表時には、ダウ平均が1日で400~500ドル超下落する局面が度々生じ、2018年末までに米国株式市場の時価総額は一時4兆ドル(約440兆円)も目減りしたとの試算もあります (US stock market loses $4 trillion in value as Trump plows ahead on …)。このように関税政策は短期的な株価急変動を招きつつも、政策の行方次第で株式指数全体のトレンドも上下に大きく振られる要因となりました。

市場心理とボラティリティの高まり

関税発表のたびに投資家のリスク回避姿勢が強まり、市場心理が不安定化しました。関税がエスカレートすると、その都度「貿易戦争」への懸念から安全資産への資金逃避(フライト・トゥ・クオリティ)が起こりました。典型的には関税発表直後に株価が急落し、投資家は米国債や金、円など比較的安全とみなされる資産に資金を移しました。この結果、米長期金利の低下・金価格上昇・円高などの動きが同時に進行し、市場全体でリスクオフ(危険資産回避)のムードが高まりました (Instant view: Hefty Trump tariffs surprise markets, stocks slide | Reuters)。実際、トランプ政権下で関税が発表される日にはほぼ例外なく主要株価指数が下落し、債券価格が上昇しています。ニューヨーク連銀のエコノミストによる分析でも、2018~2019年の関税発動日は他の要因を考慮しても有意に株価が下落したことが示されています (When Tariffs Hit: Stocks, Bonds, and Volatility | CFA Institute Enterprising Investor)。その一方で、こうした関税ショックによる市場の混乱は比較的短期的でした。同じ研究では、関税発表で急騰したボラティリティ指数(VIX)が数日で平常水準に戻る傾向も報告されており (When Tariffs Hit: Stocks, Bonds, and Volatility | CFA Institute Enterprising Investor)、関税がもたらす市場不安は一時的で持続性に欠けたことが示唆されています。これは投資家がある程度関税リスクを織り込んで行動した結果とも考えられますが、それでも発表直後のインパクトは大きく、市場に急激な変動を引き起こしました。

(The economic costs of the 2018 US-China ‘trade war’: A view from the financial markets | CEPR)図1: 2018年初頭における「貿易戦争」への関心度(Google検索トレンド、青点線)とS&P500指数(赤実線)の推移 (The economic costs of the 2018 US-China ‘trade war’: A view from the financial markets | CEPR)。3月上旬の鉄鋼・アルミ関税発表、および3月22日の対中制裁関税に関する大統領覚書発表(Section 301)に前後して、市場関心度が急上昇(青線のスパイク)し、それと同時に株価指数が急落している様子が分かる。例えば2018年3月21~23日にはS&P500指数が4.5%急落し、ほぼ同じタイミングで「貿易戦争」への関心度もピークに達した (The economic costs of the 2018 US-China ‘trade war’: A view from the financial markets | CEPR)。関税発表が市場に与えたインパクトの大きさを示す例である。なおその後、追加関税発表が一旦休止すると関心度は低下し株価も持ち直しており、短期的ショックののち市場が安定を取り戻すパターンも見て取れる。

関税政策の目的と現実の成果

貿易赤字の是正と産業復興の目標

トランプ前大統領が関税政策を推進した主な経済的狙いは、(1)巨額の貿易赤字の縮小と(2)製造業・雇用の復興(国外への生産移転の是正)でした。また対中政策としては(3)中国に不公正貿易の是正を迫り、知的財産侵害や市場障壁の改善を引き出すことも重要な目的でした。関税はそのための交渉カードおよび国内産業保護策と位置付けられ、トランプ氏自身「私は関税マン(Tariff Man)だ」と公言して強硬姿勢を示していました。ではこうした目的は実際に達成されたのでしょうか。

貿易収支・経済成長への影響と成果

まず貿易赤字への効果を見ると、関税発動にもかかわらず当初はむしろ赤字が拡大する局面が見られました。2018年は内需拡大に伴う輸入増もあって、全体の貿易赤字額は前年比で拡大し、10年ぶりの高水準となりました (トランプ米大統領、貿易戦争に敗色濃厚-関税の逆効果示すデータ続く – Bloomberg)。対中貿易赤字も同年10月に月間過去最大を記録するなど、トランプ政権発足後むしろ赤字は累計で1,000億ドル以上増加しており (トランプ米大統領、貿易戦争に敗色濃厚-関税の逆効果示すデータ続く – Bloomberg)、少なくとも初年度は関税の目標に反して「貿易赤字拡大」という逆効果に陥りました。これは関税発動前の駆け込み輸入や、米国経済好調による輸入需要増大が要因と考えられます。翌2019年になると情勢は多少変化しました。米中双方が高関税を課し合った結果、米国の対中輸入が減少し、2019年の対中貿易赤字は前年より約17.6%減の3,456億ドルへ縮小しています (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters)。このため全体の貿易赤字も2013年以来6年ぶりに縮小に転じました (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters) (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters)。一見すると関税の目的どおり赤字縮小が実現したように見えますが、内訳を詳しく見ると中国からの輸入が他の国からの輸入に置き換わっただけの面が大きいことが分かります。実際、2019年には対EU貿易赤字が過去最大の1,779億ドル、対メキシコ赤字も1,018億ドルと過去最大を更新しており (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters)、中国以外の国との赤字が拡大して補填された形でした。この現象は貿易の迂回(貿易相手のシフト)と呼ばれ、米中摩擦の下で中国製品の代替調達先となったベトナムなど東南アジアからの輸入が急増したことが背景にあります。結局、対中赤字は減っても米国の総貿易赤字は依然高水準に残り、本質的な国際収支の改善には至りませんでした。また関税によるコスト増が企業収益を圧迫し、投資が伸び悩んだ結果、トランプ政権が目標とした「年率3%の持続的成長」も達成されませんでした。実際、米実質GDP成長率は2018年に2.9%と一時的に加速したものの、2019年には2.3%へ減速し3年ぶりの低成長となっています (U.S. trade deficit narrows in 2019 for first time in six years | Reuters)。景気減速には他の要因(政策金利の引き上げや世界経済の減速など)もありましたが、関税による不確実性が企業活動を慎重にさせたことが成長率鈍化の一因だったと考えられます (Tariffs rattle stock markets, but long-term impact is unclear | Invesco US)。以上より、関税政策は貿易赤字削減や高成長という目標に対し、限定的な効果しかもたらさず、むしろ一時的な赤字拡大や成長減速を招いたと言えます。

中国への圧力と交渉の成果

対中関税の目的であった中国への圧力という点でも、成果は限定的でした。米中両国は報復合戦の末、2020年1月に第1段階の合意に至りましたが、その内容は中国による米農産物などの購入拡大(2年間で約2,000億ドル上積み)や一部サービス市場の開放など、比較的限定的なものでした。知的財産権保護や産業補助金の問題といった構造問題は先送りされ、追加関税の大部分が残ったままとなったため、中国側の譲歩は最小限に留まったとの見方が強いです。また約束された米国製品の輸入拡大も、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、中国は当初目標の達成に至りませんでした。結果として、関税という圧力手段で中国から大幅な譲歩を引き出すことには失敗したと評価できます。一方で中国経済自体も貿易戦争の逆風にある程度耐え、対米輸出の減少分を他国向けに振り向けるなどして影響を緩和しました(中国の対米輸出は2019年に-8.5%減少する一方、対その他の国は+5.5%増加)との分析もあります (How the US-China Trade War Affected the Rest of the World | NBER)。つまり、米国が期待したような中国経済への打撃や構造改革の強制には直結せず、関税合戦は痛み分けに終わったとの見方が一般的です。

総括:関税政策の費用対効果

以上の分析を総合すると、トランプ前大統領の関税政策は米国経済に相当のコスト(価格上昇や成長押し下げ、企業収益悪化)を強いる一方で、期待された効果(赤字削減や産業復興)は限定的でした。関税は国内産業保護の即効薬となり得ますが、報復合戦となれば輸出産業が打撃を受け、またグローバル供給網の中ではコスト増が波及して多くの企業・消費者に負担が及びます。その結果、本来守りたかった米国製造業ですら雇用減に見舞われた可能性が示唆されるなど (Fact Check: Did the Trump tariffs increase US manufacturing jobs? | Econofact)、政策の副作用が表面化しました。株式市場も関税リスクに翻弄され、短期的な乱高下と一時的な資産価格の目減りを経験しました。もっとも、金融市場は政策変化に敏感に反応しつつも柔軟であり、貿易戦争休戦が見えた途端に迅速に回復しました (Tariffs rattle stock markets, but long-term impact is unclear | Invesco US)。これは裏を返せば、関税政策が構造的に長期の低迷を招く決定打とはならなかったことも意味します。実際、米国経済は関税の逆風下でも緩やかな拡大を続け、株式市場も史上最高値圏まで回復しました。とはいえ、その過程で政府は農家救済に数百億ドル規模の財政出動を迫られ 、多くの企業がサプライチェーンの見直しや価格転嫁の対応に追われるなど、関税政策のコストは決して小さくありませんでした。総じて、トランプ政権の関税政策は経済的にはプラスとマイナスの両面をもたらしたものの、マクロ指標で期待された劇的な改善は達成できず、むしろ市場の不安定要因として作用したと評価できます。今後の政策立案においては、これら関税政策の教訓(費用対効果や副作用の大きさ)を踏まえ、より戦略的で多角的な通商政策が求められるでしょう。

参考文献・出典(一部抜粋):

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