暴落により追証が払えず、損切りが発生するのは「翌日から」というテーマについて、弁証法(三段階:正・反・合)を使って論じます。
主題:暴落の翌日から追証による損切り売りが発生するのか?
正:暴落直後には損切りは起こらない。翌日以降が本番
- 暴落が起きた当日は、信用取引の含み損が急増するが、「追証(追加証拠金)」の通知は多くの場合、取引終了後に証券会社から届く。
- 追証には入金期限が1営業日後に設定されることが多いため、当日はまだ売りが出にくい。
- つまり、暴落の“翌日”から損切り売り(追証売り)が本格化する。
- これにより「二段下げ」「地合い悪化の持続」が起きやすい。
反:暴落当日にも既に一部が損切りしている可能性
- 一部の投資家はロスカットの自動設定や、恐怖によるパニック売りを当日に実行しており、翌日を待たずして売却している。
- また、証券会社のリスク管理システムによって即日強制決済される場合もある(信用維持率が急落した場合など)。
- よって、すべての追証関連売りが翌日発生とは限らず、「当日から徐々に売りが始まっている」とも解釈可能。
合:当日と翌日で売りの「性質」が異なる
- 暴落当日:感情に基づくパニック売り、自動ロスカットによる急落の第一波。
- 暴落翌日:証券会社による追証通知を受けた投資家が、資金繰りがつかず損切りせざるを得ない売りが出始める(第二波)。
- このように、「暴落=売り」ではなく、その売りの発生タイミングと背景(感情 vs 義務)を分けて考えるべき。
結論(止揚):
暴落の翌日から始まる追証による損切り売りは、制度的かつ機械的な動きであり、相場の続落リスクを高める。したがって、「暴落の本当の底」は翌日に現れることが多く、冷静な投資判断にはこの時間差を意識すべきである。
コロナショック(2020年2月~3月)の大底局面においても、追証による二次的な暴落は非常に顕著でした。以下、その流れを時系列に沿って、具体的に解説します。
1. 背景:急激な暴落(2月下旬〜3月中旬)
- 2020年2月20日頃から、世界的に新型コロナウイルスの感染が急拡大し、株式市場はパニックに。
- S&P500は2月19日の高値から、わずか約1か月で約34%も下落(3月23日安値)。
- 日経平均も同様に、2月高値から3月19日までに約30%超の急落。
2. 追証の発生メカニズム
- 多くの投資家が信用取引を利用していた中、暴落によって含み損が急拡大。
- 特に日経平均が連日1,000円以上下落した3月第2週(9日~13日)頃から、
- 証券会社は「追証通知」を発行。
- 通知は原則、当日の引け後に発行され、翌営業日までの入金猶予。
3. 二段下げ:追証売りによるさらなる下落
- 追証通知を受けた投資家の中には、資金を調達できず、保有株を泣く泣く売却。
- 特に**3月13日(金)→3月16日(月)→3月17日(火)**と、連日のように
- 強制決済(追証未対応によるロスカット)
- 自主的な損切り(資金繰り困難)
- ロスカット連鎖(証券会社の機械的処理) が重なり、「雪だるま式の売り圧力」が発生しました。
- 例:3月16日、日経平均は一時1,000円超の急落。米国市場ではサーキットブレーカーも連発。
4. 大底:3月23日(月)前後
- S&P500は3月23日に安値2,191を記録し、大底を付けた。
- この前後では「もう耐えられない」という**投げ売り(最後の損切り)**が噴出。
- つまり、追証による売りがピークを迎えたタイミングでもありました。
5. 弁証法的考察
- 正:株価は感染拡大と経済懸念で合理的に下落。
- 反:過剰な信用取引と追証制度が、実体以上の売り圧力を生む。
- 合:パニックと制度的な強制売却が重なり、本来の価値以下まで売られた結果、底値が形成された。
まとめ:
- コロナショックの大底形成には、**「追証による売り圧力」**が大きく関与していた。
- 相場の初動では感情的な売りが中心だが、底では制度的な機械的売りが集中することで、逆にリバウンドの起点になることがある。

上のグラフは、2020年のコロナショック時におけるS&P500指数の推移を示したものです。
赤い縦線(2020年3月23日)は「大底(追証売りがピークに達したと考えられる日)」を示しています。この直前、急激な下落が数日間続いており、多くの投資家が追証による強制売却や損切りを余儀なくされたことが背景にあります。
このように、暴落→追証通知→翌営業日に売却という流れが重なることで、相場は「もう一段安」になることが多く、結果として大底は追証売りが出尽くしたタイミングに一致するケースが多いです。
2020年3月23日、S&P 500指数は以下のような値動きを示しました:
- 始値:2,304.92
- 高値:2,304.92
- 安値:2,191.86
- 終値:2,237.40
この日は、COVID-19パンデミックの影響で市場が大きく下落し、S&P 500は前日比で約2.93%下落しました。
この終値2,237.40は、2020年のコロナショックにおける最安値であり、その後の市場回復の出発点となりました。
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