購買力平価(こうばいりょくへいか、Purchasing Power Parity: PPP)とは、
通貨の価値を「その通貨でどれだけモノやサービスが買えるか(購買力)」で測り、
各国の通貨の為替レートを、その購買力の等しさに基づいて決めるという考え方です。
🔍 基本的な考え方
✅ 仮定(シンプルな形)
「同じ商品は世界のどこでも同じ価格になるべき」という前提に基づきます。
たとえば、ある国でハンバーガーが500円、別の国で5ドルだとすれば、
理論上の為替レートは: 1ドル=100円(=500円÷5ドル)1ドル = 100円(=500円 ÷ 5ドル)
となるべき、というのが**購買力平価(PPP)**の考えです。
🧮 2つの主な種類
種類 | 概要 |
---|---|
絶対的購買力平価 | 各国の物価を基準に、理論上の為替レートを直接計算する。たとえば、ビッグマック指数など。 |
相対的購買力平価 | 物価上昇率(インフレ率)の差によって、時間の経過とともに為替レートがどのように変わるべきかを示す。 |
📈 実際の為替との違い
購買力平価と実際の為替レートは短期的には大きくずれます。
主な理由は:
- 金利差
- 資本移動(投資資金など)
- 政治リスク
- 為替介入
- 投機的取引
ただし、長期的には実勢レートもPPPに近づく傾向があると言われます。
つまり、「実際の為替が購買力に比べて高すぎる or 低すぎる」と、
いずれ修正が起きるというのがPPPの基本的な主張です。
🌍 応用例:ビッグマック指数(The Big Mac Index)
- 英エコノミスト誌が提供している購買力平価の簡易指標。
- 世界中のマクドナルドの「ビッグマック」の価格を比較し、 各国通貨が「過大評価」か「過小評価」かを測るユニークな方法。
💡 なぜ重要か?
- 経済の比較:GDPを購買力平価ベースで見ることで、単純なドル換算より実態に近い比較ができる。
- 通貨の過大・過小評価の判断:その国の通貨が「安すぎる or 高すぎる」かを測る手段になる。
- 国際機関の分析:IMFや世界銀行も、PPPベースのGDPや貧困ラインを用いて分析を行う。
🔚 まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
本質 | 通貨の実質的な購買力の平等に基づいて為替レートを考える理論 |
意義 | 国際的な経済比較・通貨評価に活用される |
限界 | 短期的には資本移動や投機の影響で乖離しやすい |
代表例 | ビッグマック指数、PPPベースGDP |
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