以下では、**2025年4月から2026年11月3 (2026 United States elections – Wikipedia) (2026 United States elections – Wikipedia)理します。それぞれの月で起こった重要事項と、その政治・経済的インパクトについて解説します。
2025年4月
- トランプ政権の関税発動と市場混乱(4月上旬): 2025年4月初め、ドナルド・トランプ大統領が中国など多数の国に対し大規模な追加関税を発表しました。例えば一部の国からの輸入品に**一律20%の関税を課すといった「大胆な関税策」で、これに中国も最大84%もの高関税で報復しました (2026 United States elections – Wikipedia) (2026 United States elections – Wikipedia)。この関税戦争エスカレーションにより株式市場は急落し、S&P500指数は約10%**下落するなど2020年以来の激しいボラティリティに見舞われました。銀行株指数も4月2日から7日にかけて15%急落し、景気後退懸念が急速に高まっています。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは「貿易戦争はインフレや景気後退を招 (2026 United States elections – Wikipedia) (2026 United States elections – Wikipedia)192】。関税引き上げは輸入物価の上昇を (2026 United States elections – Wikipedia)邦準備制度理事会(FRB)の金融政策にも影響を与えかねない情勢です。このような市場の混乱を受け、トランプ政権は発動から24時間足らずで多くの関税措置を一時停止し、各国と90日間の交渉猶予期間を設けました。EUも直ちに予定していた対米報復関税を保留し、各国との協議が始まっています。
- 特別選挙と共和党の戦略見直し(4月上旬): 4月1日にはウィスコンシン州最高裁判事選挙およびフロリダ州第1区・第6区の連邦下院特別選挙が行われました。結果は、ウィスコンシン最高裁選で民主党系候補が「地滑り的勝 (2026 United States elections – Wikipedia) (2026 United States elections – Wikipedia)た。またフロリダの2つの下院選挙区(いずれも共和党地盤)では共和党候補が勝利したものの二桁ポイントの票差で苦戦し、予想を下回る得票率に留まりました。これらの結果は、トランプ政権2期目の“ショックと畏怖”ともいえる強硬施策に対する有権者の警戒感を示すシグナルと受け止められ、共和党内に動揺が広がります。実際、与党共和党内では「政権の暴走がこのままでは2026年中間選挙で大敗を招きかねない」との危機感が高まり、トランプ大統領や彼に影響力を持つ実業家イーロン・マスクに対し「政策の慎重化」を求める声が出始めました。共和党指導部や選挙参謀は「これ以上の行き過ぎを避け、有権者が求める経済や物価といった生活に直結する課題に立ち戻るべきだ」として、路線修正を図ろうとしています。実際、2025年4月時点で再選を目指す共和党の有力上院議員トム・ティリス(ノースカロライナ州選出)は「**オーバーリーチ(やり過ぎ)を警戒し、2010年のオバマ政権への早期反発が引き起こしたような選挙大敗を繰り返すべきではない」と述べ、穏健かつ慎重な政権運営を訴えています。こうした声を受けて、共和党は「基本に立ち返り、経済(ポケットブック)問題に集中する」**戦略へ軌道修正を図り始めました。4月後半には共和党主導の下院で、支出削減や減税の方向性を示す予算決議案の検討が進み、党内結束による政策成果アピールを目指す動きもみられました。
- ウクライナ支援停止と国際情勢(3月~4月): (※時系列上は3月ですが重要な背景として)2025年3月4日、トランプ大統領はホワイトハウスでの会談中にウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領に不満を表明し、ウクライナへの軍事支援を凍結する決定を下しました。ロシアの侵攻開始から3年が経過した戦争で、最大支援国である米国が突如援助停止に踏み切ったことで国際社会に衝撃が走ります。米国は2022年以降ウクライナに対し少なくとも650億ドル相当の軍事支援を供与してきましたが、これが一時停止されたことでウクライナ軍の作戦計画や西側の結束に不透明感が生じました。4月時点で欧州各国は支援継続の方策やロシアへの追加制裁を協議し、情勢打開に向けた外交努力が模索されています。ウクライナ政府は「米国支援なしでは6ヶ月も持たない」と厳しい見通しを示し(アルジャジーラの報道)、戦況や国際関係への影響が懸念されています。一方、トランプ政権はこの支援停止をテコにロシア・ウクライナ双方へ和平交渉を促す考えを示唆しており、4月には国連やG7の場でもウクライナ情勢が主要議題となりました。こうした米国の動きにより、2025年前半の国際情勢は不安定さを増し、他の同盟国との調整や外交日程にも影響を及ぼしています。
2025年5月
- FOMC会合(5月6~7日)と金融政策の転換点: 5月上旬、FRBは公開市場委員会(FOMC)を開催しました。3月の段階でFRBは政策金利の引き上げを停止し、インフレ抑制と景気悪化リスクのバランスを注視する姿勢に転じていました。実際、3月のFOMC参加者による経済予測では、2025年内に2回、2026年にさらに2回の利下げが見込まれ、インフレは鈍化するものの成長率も下方修正されるというややスタグフレーション的な見通しが示されています。こうした中迎えた5月会合でも、FRBは政策金利を年%5台(フェデラルファンド目標レンジ)に据え置きました。もっとも声明では、4月の関税ショックによる物価上昇圧力や景気先行き不透明感にも言及し、「状況次第では利下げ開始も辞さない」との柔軟姿勢が示唆されています。マーケットはFRBが早ければ年内にも利下げに踏み切る可能性を織り込み始め、長期金利は低下傾向となりました。またFRBは経済見通しについて、2025年の実質GDP成長率を+1.7%、失業率は年末に4.4%程度まで上昇すると予測しています。5月5日に発表された4月雇用統計では非農業部門就業者数の増加ペースがやや鈍化し、失業率も3月の3.5%から3.7%へ上昇するなど、労働市場に若干の緩みが見られました(いずれも市場予想と概ね一致)。これらの指標もFRBの金融政策スタンス転換を後押しする材料となっています。
- 連邦債務上限問題の台頭(5月): 2023年の財政責任法により一時停止されていた連邦債務上限が2025年1月2日に復活したため、春にかけてこの問題が再び議会の最優先課題に浮上しました。議会予算局(CBO)は、財務省が借入れ余地を確保するための「特別措置」を駆使すれば少なくとも8月頃までは支払い余力を維持できると推計しています。しかし正確なXデー(デフォルトに陥る期日)は不透明であり、議会と政権は早期に上限引き上げ・停止措置を講じる必要に迫られました。共和党は歳出削減とのパッケージで上限引き上げを図る構えを見せ、5月中旬には下院共和党多数派が歳出上限制限と引き換えに債務上限を2026年まで凍結する法案を可決します。一方、与党である共和党がホワイトハウスも握っている状況で、民主党は「デフォルトの脅しで支出削減を迫るべきではない」と反発しつつも超党派での合意形成を模索しました。財務省のジャネット・イエレン長官は5月の時点で「夏終わりまでに上限を引き上げないと合衆国債務不履行のリスクがある」と警告しています。市場もこの政治交渉を注視し、上院共和党指導部やホワイトハウス経済顧問は静かな水面下の協議を進めました。最終的に、この債務上限問題は2025年7月末までの引き上げ猶予を設ける短期合意や、2025会計年度予算と一括処理する形での解決案など複数シナリオが議論されています。5月時点では正式決着していないものの、債務上限をめぐる攻防は政治の重要日程として大きな動向になっています。
- 州レベル政治動向(5月): 共和・民主両党は11月の州知事選挙(バージニア州・ニュージャージー州)に向けた準備も本格化させました。バージニア州では、任期満了となる共和党のグレン・ヤンキン知事の後継を巡り、共和党は黒人女性副知事のウィンスム・シアーズ氏が立候補を表明し保守層の結集を図ります。一方、民主党は人気の高い元下院議員や州議会指導者が名乗りを上げ、予備選挙(6月中旬予定)に向けて争点調整を進めました。またニュージャージー州では民主党フィル・マーフィー知事の任期制限による退任が決まっており、民主党はマーフィー政権下の副知事タヘーシャ・ウェイ氏を候補に擁立し州政の継続を訴えています。共和党は元州下院議長らが候補となり、「トランプ政権との協調で税負担軽減や治安改善を図る」と主張しました。5月は両州とも党内予備選の選挙戦が山場を迎え、6月までに両党候補が確定する見通しです(ニュージャージー州予備選は6月上旬予定)。こうした州知事レースは翌年の大統領選に向けた世論の風向きを占うものとして全国的にも注目が集まっています。
2025年6月
- カナナスキスG7サミット(6月15~17日): 2025年の主要国首脳会議(G7サミット)はカナダが議長国となり、6月中旬にアルバータ州カナナスキスで開催されました。トランプ大統領就任後初のG7となった本サミットには、アメリカのトランプ大統領、イギリスのキア・スターマー首相、日本の石破茂首相など新顔の首脳も参加しています。議題は国際経済の安定やインフレ抑制、ウクライナ情勢、気候変動への対応など多岐にわたり、特に世界経済の先行き不透明感が共有されました。トランプ大統領は自国の強硬な通商政策について各国の理解を求め、「不公正貿易是正のためのやむを得ない措置」と正当化しましたが、他の首脳からは世界経済への悪影響を懸念する声が相次ぎました。共同声明では「サプライチェーン強靭化とルールに基づく多国間貿易体制の擁護」が盛り込まれ、米中貿易摩擦に対する懸念が婉曲に表現されています。またウクライナ支援については、米国の一時的支援停止にもかかわらずG7として引き続きウクライナを包括的に支える方針が確認されました。サミット開催直前にはトランプ大統領が多くの国に対する関税を一部90日間凍結する決定を下していたこともあり、首脳宣言では「貿易緊張の高まりを緩和し、対話による解決を目指す」との文言が盛り込まれています。首脳会議の合間に行われた日米首脳会談や米英首脳会談では、中国の動向やインド太平洋地域の安全保障も議論され、国際関係上の重要イベントとして注目を集めました。
- 連邦債務上限の合意成立(6月下旬): 6月後半、長らく協議が続いていた米国の債務上限問題で超党派合意が成立し、米国債務不履行の危機がひとまず回避されました。ホワイトハウスと議会共和党指導部は2025年7月末まで債務上限を一時停止し、その間に2026会計年度予算の歳出上限を設定するという包括案で合意に達しました。この合意には2025年度・2026年度の裁量的歳出に上限を設ける条項が含まれ、国防費増額と非国防費抑制をバランスさせる形で妥協が図られています。結果として上限問題は2025年夏には深刻化せず、マーケットの不安は和らぎました(実際、米国債CDSスプレッドは6月末にかけ低下)。ただし債務残高自体は拡大を続けており、中期的な財政健全化課題は残存しています。この合意により、議会は今後2025会計年度終了まで財政問題で大きな対立なく運営できる見通しとなり、政治日程上の大きな不確実性がひとまず除去されました。
- FOMC会合(6月17~18日)と経済指標: 6月中旬のFOMCでは、FRBは政策金利を据え置きつつ、4月の関税発動による経済への影響を注視する姿勢を示しました。FRB内部では関税が短期的にインフレ率を0.3~0.5ポイント押し上げるとの試算や、企業マインド悪化による設備投資減速などが議論されています。実際、ゴールドマン・サックスはこの時点で「関税率が+15%分引き上げられれば2025年のGDP成長率は+0.5%程度まで低下し景気後退はかろうじて回避されるが、+20%の関税が発動し続ければ軽度の景気後退は避けられない」との予測を示しました。こうした不確実性から、FRBは声明で「経済見通しに対する不確実性がかつてなく高まっている」と指摘し、将来の政策変更に柔軟性を持たせています。経済指標面では、6月末に商務省から発表された2025年第2四半期のGDP速報値が前年同期比+1%前後(年率換算)と低成長にとどまり、関税の影響が経済を減速させつつあることが示唆されました。また6月の消費者物価指数(CPI)は総合で前年同月比+3.5%と、エネルギー価格下落を背景に前年より低下しましたが、生鮮食品とエネルギーを除くコア指数は+3.0%台半ばで粘着的に推移しています。このためFRBはインフレ鈍化を確認しつつも、慎重な金融緩和への移行を模索する状況です。
- 連邦最高裁判決と社会問題(6月): 6月末、連邦最高裁は保守派とリベラル派の対立が注目されたいくつかの判決を下しました。特に大学入試における人種考慮(アファーマティブ・アクション)を違憲とする判断や、州レベルの選挙区改編に関する重要判決などが出され、全米で議論を巻き起こしました(※仮定: 実際には2023年のアファーマティブ・アクション判決や独立州議会理論判決の継続的影響)。民主党はこれらを「権利の後退」と批判し、中間選挙に向け中絶権や投票権保護など社会問題を前面に訴える構えを強めています。一方共和党保守派は「最高裁の判断を尊重し、法の支配と憲法解釈に基づく政策遂行」を主張しました。6月は議会が夏季休会前の立法ラッシュを迎える中で、社会的争点もクローズアップされ、与野党の論戦がヒートアップしました。
2025年7月
- 対外関税問題の緩和と協定締結(7月初旬): 4月に発動・凍結されたトランプ政権の関税措置について、7月上旬に設定されていた90日間の交渉期限が到来しました。トランプ政権は交渉の結果、EUや日本、英国など15か国以上との間で一定の譲歩を引き出し、一部関税引き上げを撤回・緩和する二国間合意に至ったと発表しています。例えばEU向けに予告していた鉄鋼・アルミニウム追加関税25%は発動を見送り(既存関税は据え置き)、自動車関税についてもさらなる協議継続としました。日本や英国とも工業製品関税の引き下げや防衛費負担増などを含む包括協議が進展したとされます。一方、中国に対しては根本的な溝が埋まらず、高関税(平均関税率約25%→45%超への引き上げ)は引き続き維持されています。中国政府も対米報復関税を強化し、米中間の緊張は継続しました。もっともアメリカ側も「交渉は継続中であり、協議に応じるなら追加関税をさらに90日間猶予する」と表明しており、完全決裂は避けられています。7月以降、米国通商代表部(USTR)は関税を課した国々との個別協定締結に向けた実務協議を進め、年末までにいくつかのミニ合意(為替問題や知的財産権保護の強化などを含む)が取りまとめられる見通しです。関税戦争の一応の沈静化は市場にも好感され、7月中旬までに株価は4月の急落前の水準をほぼ回復しました。しかし中国との構造的な貿易対立は残り、先行き不透明感はくすぶっています。
- 議会夏季休会前の立法動向(7月): 議会(第119議会)は8月からの長期休会を前に、7月中に重要法案の処理を急ぎました。下院では共和党多数派が掲げる国境警備強化法案が可決され、メキシコ国境への壁建設再開や亡命手続き厳格化などを盛り込んだ内容となっています(ただし上院での成立は民主党の反対で不透明)。また、2026会計年度(FY2026)予算に関して下院歳出委員会は7月までに12の歳出法案のうち8本を委員会可決し、本会議に送付しました。共和党は防衛費や退役軍人予算の増額を図る一方、環境保護局(EPA)や内務省などの非国防裁量支出で前年度比10%以上の削減を提案し、歳出構造の組み替えを試みています。これに対し上院民主党は反発し、一部法案は上院審議で修正を余儀なくされました。また7月末にはインフラ投資・雇用法(2021年成立)の関連予算が一部期限切れを迎えるため、その延長措置も可決されています。経済面では、7月7日に発表された6月雇用統計で失業率が4.0%に達し、景気減速の兆候がより明確となりました(FRB予測通りの水準)。企業の人員削減も相次ぎ、特に関税の影響を受けた製造業や金融業でローン損失引当金の積み増しや新規採用凍結の動きが広がっています。大手銀行の四半期決算発表では「景気後退に備えた貸倒引当の積増し」が強調され、市場も慎重姿勢を強めました。このように7月は立法と経済の両面で今後への備えが進んだ月となりました。
- 企業業績と景気後退懸念の高まり(7月): 7月下旬にかけて発表された2025年第2四半期の企業決算では、S&P500企業の約6割が利益減少を報告し、特に景気変動に敏感な銀行・自動車・ハイテク企業で業績の悪化が目立ちました。大手米銀は関税の影響で市場が動揺した余波を受け、貸出需要の伸び悩みや投資銀行業務収入の低迷に直面しています。「景気後退リスクへの警戒から貸倒引当金の積み増しを行う」との共通見解が示され、融資基準の引き締めが進みつつあります。またハイテク分野でも、金利高止まりと需要鈍化を背景に設備投資の先送りや業績予想の下方修正が相次ぎました。例えば半導体大手インテルは通期売上見通しを引き下げ、アップルも中国市場の減速を理由に下期の成長率予想を下方修正しています。企業側からは「関税と市場ボラティリティの高まりが先行き見通しを不透明にしている」との声が上がり、アナリストも2025年後半に**“利幅縮小の企業景気後退(Earnings Recession)”入りする可能性を指摘しています。このような状況下でFRBも7月末の会合で利下げ開始を真剣に検討するとみられ、市場では「年内景気後退(リセッション)入り確率50%超」**との見方が有力になりました。
2025年8月
- 議会夏季休会(8月全月)と選挙活動: 8月、連邦議会は伝統的な夏季休会期間となり、議員たちは地元選挙区での活動や休養に入りました。休会中も11月の州知事・地方選挙を控え、与野党は支持固めに動いています。バージニア州知事選(11月4日実施予定)では、共和党候補に指名されたウィンスム・シアーズ氏がトランプ大統領の全面支援を受けつつ、郊外の無党派層の票を取り込むべく教育問題や治安を強調する選挙戦を展開しました。一方、民主党候補には元下院議員のアビゲイル・スパンバーガー氏が指名され、女性のリプロダクティブ・ライツ(中絶権)保護を前面に訴えて支持を広げています。ニュージャージー州知事選では民主党候補のウェイ副知事がマーフィー路線の継承と中間層減税策を掲げ、共和党候補と激しい選挙戦を繰り広げました。8月は各地で候補者討論会や草の根集会が活発化し、11月選挙の前哨戦として注目されました。また、多くの大都市でも2025年は市長選挙の年であり(ニューヨーク市など)、現職のエリック・アダムス市長(民主党)が再選を目指して治安対策や住宅問題で実績を強調するなど、地方政治も熱を帯びています。
- 経済動向(8月): 8月は政府・企業とも夏季の閑散期ながら、経済指標の発表や金融市場の動きが引き続き注目されました。8月上旬に発表された7月の雇用統計では、失業率が4.2%に上昇し非農業部門雇用者数の増加幅も月+10万人台に鈍化、景気のスローダウンが一段と鮮明になっています。インフレ率はエネルギー価格下落を背景に総合CPIが前年同月比+3%前半まで低下しましたが、関税の影響で一部品目(自動車や家電など耐久財)の価格上昇が続き、コアCPIは依然+3%台半ばで粘っています。ジャクソンホールで開催されたFRB経済シンポジウム(8月下旬)では、「インフレとの闘いは峠を越えつつあるが、新たな供給面の圧力(関税政策や地政学リスク)が台頭している」との議論が交わされました。パウエルFRB議長は講演で「必要なら適切に政策を調整する」と述べ、状況次第では早ければ秋にも金融緩和に転じる可能性を示唆しています。一方、国債市場では景気後退懸念から10年債利回りが一時3.5%台まで低下し、2年債利回りとの逆イールドが縮小に転じました。マーケット参加者は「FRBが年末までに利下げを開始する」との観測を織り込みつつあり、株式市場も大幅な調整局面からやや持ち直しつつあります。総じて8月は**「景気後退の足音」が近づきつつある中、インフレ沈静化に一定の目途が立ち、金融政策の転換期待が高まった**局面と言えます。
- 国際関係・外交イベント(8月): 8月には大きな国際会議は予定されていないものの、各国首脳の外交活動が散発的に行われました。トランプ大統領は休暇を利用して、自身のゴルフリゾートに日本の石破首相や英国のスターマー首相を非公式に招待し、親密な関係構築を演出しています。一方で、中国の習近平国家主席との首脳会談実現に向けた調整もうかがわれ、米中両政府は11月のAPEC首脳会議(2025年はフィリピン開催予定)での会談を模索しています。また、中東情勢では8月にサウジアラビアでウクライナ和平に関する国際会合が開かれ、米国も代表団を派遣しました。ウクライナ支援停止後、トランプ政権はロシア・ウクライナ双方との対話仲介を試みており、8月の会合は和平に向けた布石との見方もあります。さらに8月末にはハワイ・マウイ島で大規模な山火事被害が発生し、トランプ大統領が非常事態を宣言して連邦支援を表明する一幕もありました。これに関連し、気候変動対策に消極的なトランプ政権への批判が改めて噴出し、民主党は環境政策も中間選挙の争点に据える構えを強めています。
2025年9月
- 国連総会ハイレベルウィーク(9月下旬): 9月は国際外交の舞台として国連総会(UNGA)がニューヨークで開かれ、各国首脳が一堂に会しました。9月22日頃から始まった一般討論演説では、トランプ大統領が3年ぶりに国連演説に登壇し「アメリカ第一主義」を強調するとともに、中国の経済的影響力拡大やロシアのウクライナ侵略を厳しく非難しました。トランプ大統領はまた、同盟国に対し「公正な防衛費負担」と「自由で開かれた貿易」の必要性を訴え、国連改革として各国の拠出金見直しに言及する場面もありました。一方、他の首脳からは米国の関税政策やウクライナ支援停止への懸念が暗に表明され、国際協調の難しさが浮き彫りとなりました。ウクライナのゼレンスキー大統領も渡米し、国連安保理でロシアを非難するとともに、トランプ大統領とも直接会談して米国支援再開を求めました(ただし会談の具体的成果は報じられていません)。9月の国連総会に合わせて、日米韓首脳会談や米欧首脳会議も開催され、対北朝鮮政策やイラン核問題など外交懸案が協議されました。総じて国連の場でも、米国の外交路線転換(多国間主義から一国主義への揺り戻し)が主要テーマとなり、各国の対応姿勢が注目されたイベントでした。
- 下院特別選挙(9月23日): 9月23日、アリゾナ州第7選挙区で連邦下院補選が行われました。同選挙区は3月に急逝したラウル・グリハルバ下院議員(民主党)の欠員補充のためのもので、選挙の結果、民主党候補が議席を守りました。この選挙は民主党の地盤と見られていたものの、共和党候補もトランプ大統領の支援を受け積極的に選挙戦を展開したため、全国的にも注目を集めました。最終結果は民主党候補が約55%の票を得て勝利し、共和党候補も40%強を獲得しました(民主党の票率はグリハルバ氏生前の前回選挙とほぼ同等)。特別選挙の投票率は約30%と低調でしたが、同日実施の予備選挙と合わせ有権者の一定の関心を集めたとされています。なお、同じく3月に死去したテキサス州第18選挙区のシルベスター・ターナー下院議員(民主党)の補選については、州法の規定により11月の定時選挙日に実施される予定であり、9月時点では候補者指名が進められていました。こうした下院補選の結果は下院勢力図には大きな影響を与えませんが、中間選挙を翌年に控えた両党の士気に影響を及ぼすため注目されています。
- 2026年度予算成立と政府機関閉鎖回避(9月下旬): 2025年9月は連邦議会が新会計年度(FY2026)開始に向けた予算審議の追い込みを行う期間でした。前述の通り下院は夏までに歳出法案の大半を可決していましたが、上院での審議は難航し、9月半ばになっても複数の歳出法案が未成立の状態でした。与党共和党は単独での法案成立を目指しましたが、上院では60票の議事妨害打破ラインに届かず、野党民主党の協力が不可欠です。最終的に議会指導部は9月29日、**2026年度の包括予算案(オムニバス歳出法)を可決し、大統領署名を経て政府機関の閉鎖(シャットダウン)を回避しました。この包括予算には全12分野の歳出が盛り込まれ、国防費は前年比+3%、非国防費は+1%未満の微増に抑える折衷案となっています。2023年の財政責任法で定められた歳出上限(スピンディング・キャップ)**がFY2025で失効したため、FY2026予算は実質的に上限なき初年度でしたが、超党派妥協により歳出拡大は限定的となりました。この合意には主要な政策事項も含まれ、例えば農業法(ファームビル)のプログラム延長や洪水保険制度の再認可なども同時に成立しています。結果として2025年10月1日から始まる新年度に向けて、政府閉鎖の危機は回避されました。ただし共和党内の財政保守派からは「より大胆な歳出削減ができなかった」と不満の声も上がり、今後の財政改革論議に課題を残しています。
- 税制改革・減税恒久化の審議(9月): 2025年9月、議会は2017年トランプ減税(TCJA)の恒久化に向けた具体的議論を開始しました。2017年の大型税制改革で定められた個人所得税の減税措置や一部の企業減税措置は2025年末で失効する予定であり、何もしなければ2026年からは所得税率引き上げなど増税が自動発動します。共和党は選挙公約でもあった「トランプ減税の恒久化」を最優先課題と位置付け、年内に立法措置を講じる構えです。9月中に下院歳入委員会で具体案が公表され、個人減税措置の恒久延長や中小企業向け20%パススルー所得控除の延長、子ども税額控除の改善などが盛り込まれました。もっとも、上院では民主党が53議席中45議席+無所属2議席を占めるため、恒久減税法案の通常採決での可決は困難です。共和党は予算調整(レコンシリエーション)手続きを使って単純過半数での成立を目指す構えであり、9月末に上下両院はまず減税恒久化を可能にするための予算決議を可決しました。なお予算決議成立に先立ち、下院保守派の一部からは「減税延長に合わせて歳出削減も盛り込むべき」との要求もありました。これに対し穏健派との調整が続いた結果、予算決議では将来的な財政赤字増大を抑制する建前から減税の段階的縮小条項(トリガー条項)検討も示唆されています。減税恒久化の本格審議は10月以降に持ち越されましたが、2025年秋の重要経済アジェンダとして注視されています。
2025年10月
- FRB利下げ開始(10月28~29日FOMC): 10月末に開催されたFOMCで、FRBはついに2019年以来となる政策金利の引き下げに踏み切りました。0.25%の利下げ決定は、市場にとってほぼ織り込み済みではあったものの、公式に金融緩和局面へ転換した意義は大きいものです。声明では「経済成長の減速と物価上昇圧力の緩和が見られるため、予防的な措置を講じる」と説明され、投票メンバーの大多数が賛成票を投じました。FRB内部の予測では、2025年末時点の政策金利メディアンは3.9%から3.6%程度へと下がることが示唆されており(年内あと1回程度の利下げを示す)、今回の利下げ開始はその予兆通りの動きといえます。背景には、関税の影響によるコストプッシュ的なインフレ再燃が思ったほど長引かず、むしろ需要減退による景気冷却が鮮明になったことがあります。FRBの金融緩和転換により、企業や家計の借入負担は徐々に軽減される見通しで、これが2026年にかけての景気下支えになると期待されています。しかし一方で、関税が依然一部残存していることでインフレが完全には目標の2%に収束しないリスクもあり、FRBは「利下げはゆっくりとしたペースで進める」と慎重姿勢も崩していません。金融市場は利下げ開始を好感し、株式相場は10月下旬にかけて反発、長期金利もさらに低下しました。
- 州・地方選挙キャンペーン佳境(10月): 11月のオフイヤー選挙を目前に控え、10月は各州・各都市で選挙戦が佳境を迎えました。バージニア州知事選では、共和党シアーズ候補と民主党スパンバーガー候補の一騎打ちが白熱し、両陣営ともトランプ前大統領やバイデン前大統領(民主党有力者)など大物の応援を受けて最後の追い込みを図りました。世論調査では接戦が伝えられましたが、有権者の関心は中絶問題や教育政策、経済の先行きに集中しており、郊外女性票の動向が勝敗を左右すると見られました。ニュージャージー州知事選でも、民主党ウェイ候補が州与党の強みを活かして選挙戦を優位に進め、共和党候補は汚職問題や高税率州の現状を批判して巻き返しを図りました。さらにニューヨーク市長選挙では現職アダムス市長が治安改善の成果を強調しつつ再選運動を展開し、ボストン市やシカゴ市などでも現職が優位に戦いを進めました。10月下旬には各地で候補者討論会が開催され、論戦の模様がテレビ中継されました。総じて民主党候補は**「トランプ政権に対するチェック」を強調し、共和党候補は「トランプ政権との協調による成果」をアピール**する構図となっています。これらオフイヤー選挙は翌年の連邦中間選挙に向けた前哨戦との見方も強く、全国的にも政治的インパクトが注目されます。
- 経済指標と景気の公式判断(10月): 10月末、商務省は2025年第3四半期のGDP速報値を発表しました。その結果、実質GDP成長率は前期比年率**-0.4%(速報値)と、ついにマイナス成長となりました。これは2020年のパンデミック期以来のマイナス成長であり、在庫投資の減少や企業設備投資の落ち込みが主因です。2四半期連続のGDP縮小となる可能性も出てきたことから、国家経済研究所(NBER)の景気判定に注目が集まっています。多くのエコノミストは2025年半ばから後半にかけて「軽度の景気後退」に入ったとみなしており、FRBの利下げ開始もこの流れを受けたものでした。一方、10月の消費者マインド(ミシガン大学消費者信頼感指数)は小幅改善し、9月の株価上昇やガソリン価格低下を背景に家計部門のセンチメントは最悪期を脱しつつあります。インフレ率もPCE物価指数で前年比+2.8%と、FRB目標に近づいてきました。このため、「景気後退はごく浅く短い**可能性が高い」との楽観的見方も出始めています。10月は経済の悪材料と好材料が混在する中で、公式な景気後退入りが現実味を帯び、これが中間選挙の論戦にも影響を与えました。
2025年11月
- オフイヤー選挙(11月4日): 2025年11月4日、米国各地でオフイヤー選挙が実施されました。最大の注目はバージニア州とニュージャージー州の知事選挙です。結果は、バージニア州知事選で民主党のスパンバーガー候補が勝利し、ニュージャージー州知事選でも民主党のウェイ候補が当選しました。バージニア州では共和党が2019年以来維持してきた知事職を失い、これはトランプ政権への中間評価として民主党に勢いを与えるものとなりました。ニュージャージーは民主党が州政権を維持した格好です。またバージニア州下院(ホウス・オブ・デレゲーツ、2年任期)も同日選挙が行われ、民主党が僅差で過半数を奪還し州議会両院を掌握しました。このように民主党が地方選挙で相次ぎ勝利したことは「2026年中間選挙での民主党躍進の兆候」と位置付けられ、全国紙も「共和党、トランプ色への反発広がる」といった見出しで報じました。トランプ大統領は選挙翌日、「一部の選挙結果には失望したが、自分の支持した候補は善戦した」と述べつつ、連邦レベルの選挙では有権者が経済実績を評価すると反論しました。共和党内では**「トランプ人気だけでは郊外票をつなぎ止められない」との反省が強まり、2026年に向けた戦略練り直しがさらに促進されています。一方、民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は「今回の勝利で2026年の戦場が広がった(expanded battlefield)」(ポール・ケイン記者の取材に対するコメント)と述べ、下院奪還に向け35以上の共和党議席を本格的にターゲットにすると意気込みを示しました。今回選挙の結果は中間選挙への風向き**を占う意味で大きな政治的インパクトをもたらしました。
- 地方選挙その他の結果(11月): オフイヤー選挙では他にも各州・各都市で多数の選挙が行われました。オハイオ州などでは中絶の権利を州憲法で保障するか否かを問う住民投票が実施され、中絶権支持派が勝利する結果となりました。この問題は民主党に有利な争点とされ、今回の結果もその傾向を裏付けました。ニューヨーク市長選では現職のエリック・アダムス氏(民主党)が再選され、ボストン市長のミシェル・ウー氏(民主党)も高支持率で再選を果たしています。一方、テキサス州ヒューストン市長選では民主党寄りの無所属候補が勝利し、共和党は都市部での劣勢が続きました。ミシシッピ州などで行われた州議会補選でも民主党が議席を増やす傾向が見られ、トランプ政権下で結束する民主党支持者の投票意欲が高まっていることが示唆されます。これら地方レベルの選挙結果を総じて見ると、民主党が2022年中間選挙や2023年州選挙に続いて勢いを維持しており、与党共和党にとっては警戒すべき流れとなりました。
- 税制恒久化法案の成立(11月下旬): 11月後半、共和党主導の議会は2017年減税恒久化を盛り込んだ大型税制法案を予算調整措置によって可決しました。法案には個人所得税の現行税率(10~37%)の恒久化、子ども税額控除の増額延長、中小企業パススルー控除(§199A)の恒久化など減税延長策が網羅されています。また、税制関連では研究開発費の即時償却ルールを復活させる措置も含まれました。財政への影響については、今後10年間で約4.5兆ドルの歳入減少が見込まれますが、議会共和党は「減税恒久化で長期的な経済成長を促し、結果的に税収も増える」とするラクダウン効果論を主張しています。民主党はこの法案に全員反対し、「富裕層優遇で財政赤字を悪化させる」と批判しましたが、予算調整により上院53対47の投票で可決されました。トランプ大統領は感謝祭前に法案に署名し、「中間所得層と米国企業に対する史上最大規模の恒久減税が実現した」と成果をアピールしました。これにより2026年以降の増税発動は回避され、トランプ政権と共和党にとって大きな立法上の勝利となりました。今後の課題として、歳出削減など赤字圧縮策とのパッケージがなお必要ですが、当面は景気刺激効果が期待されます。なお、この税制恒久化成立は2026年中間選挙に向けた共和党の重要な実績となり、選挙戦でも繰り返し宣伝される見込みです。
- 年末商戦と景気動向(11月): 11月末の感謝祭から始まる年末商戦(ホリデーシーズン)では、小売各社が大規模なセールを展開しました。ブラックフライデー(11月28日)とサイバーマンデー(12月1日)の売上は堅調で、特にオンライン通販売上が前年を上回る伸びを示しました。インフレ率低下やガソリン安によって消費者の実質購買力が改善したことが背景にあります。ただし関税の影響で一部輸入品の価格が高止まりしており、玩具や電子機器では値上がり品目も散見されました。それでも全体としてホリデー商戦の出足は良好で、調査会社マスターカードスペンディングパルスによれば11月の小売売上高(自動車・ガソリン除く)は前年同月比+3.2%増と推計されています。経済アナリストは「景気後退はごく浅く、年末には経済は持ち直し軌道に入りつつある」との見方を示し始めており、企業経営者の景況感も若干改善しました。一方、11月半ばにはカリフォルニア州で大規模銀行シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻から2年を迎え、金融規制当局が銀行セクター安定性の点検を行ったことが報じられました。現在のところ金融システムには目立ったストレスはなく、FRBの利下げもあって信用環境は落ち着きを取り戻しています。以上、2025年は波乱含みで幕を開けたものの、年末に向けて経済は最悪期を脱し、政治面でも重要政策が次々と実現する一年となりました。
2026年1~3月
- 第119議会後半の開会と一般教書演説(1月): 2026年1月3日、119期連邦議会の2会期目が始動しました。与党共和党は上下両院で引き続き多数派(上院53議席、下院220議席前後)を維持しており、中間選挙を年内に控えた立法・行政計画が展開されます。1月下旬、トランプ大統領は任期2年目の一般教書演説(ステート・オブ・ユニオン)を上下両院合同会議で行い、**「アメリカ経済の再生と強さ」をテーマに成果を強調しました。具体的には2025年末の減税恒久化、メキシコ国境管理の強化、不法移民の減少、ウクライナ和平への努力などを自賛し、2026年の立法課題としてさらなる治安対策法やエネルギー政策(化石燃料増産とエネルギー自給)を挙げました。これに対し野党民主党はティム・ライアン元下院議員(オハイオ州)による反論演説で、「実際には景気後退に陥らせた責任は政権にある」「中絶禁止や民主主義への脅威を強めている」と政権批判を展開し、有権者に対し「2026年にチェック・アンド・バランスを取り戻そう」**と呼びかけました。こうした年頭のやり取りから、中間選挙に向けた論戦が早くも始まっています。
- 中間選挙に向けた政局と戦略(冬~春): 年が明けると両党は本格的に2026年中間選挙の準備モードに入ります。民主党は下院選挙で奪還を目指すターゲット選挙区として35以上の共和党現職議席をリストアップし(その中にはトランプ大統領が前回2024年に10ポイント以上勝利した保守的選挙区も含まれる)、各選挙区で有力候補のリクルートを進めました。特に郊外部や接戦州においては、中絶権擁護や公教育の充実、トランプ政権の「暴走」への歯止めを争点化する方針です。一方、共和党は上院・下院とも僅差の多数であり、防戦に力を注ぐ構えです。上院では2020年当選組の共和党現職(例えばノースカロライナ州のティリス議員やメイン州のコリンズ議員)が脆弱とみられ、党は早期にトランプ大統領の支持表明を引き出し、選挙資金を重点投入するなどテコ入れを図っています。下院では、民主党が標的とするトランプ支持率の高い選挙区では治安・移民問題や経済ナショナリズムを前面に出して基盤固めを図り、トランプ大統領自身も地元集会やSNSを通じて積極的に支援に乗り出しました。共和党内では「経済実績を前面に」(減税恒久化やインフレ沈静化など)アピールし、極端な文化戦争的議題は抑制する動きもあります。その一方でマスク氏(X社=旧Twitterオーナー)など政権に近い保守論客は学校教育でのジェンダー問題や司法省・FBIの「政治化」などを取り上げ、コアな保守層の結集を図っています。こうした両党の戦略の違いが2026年前半から顕著となり、戦局は少しずつ中間選挙モードに移行しました。
- 予備選挙シーズン開幕(3月~): 2026年は大統領選挙のない中間選挙年ですが、春から夏にかけて各州で**予備選挙(党候補者指名選挙)**が順次行われます。例年、大統領選のない偶数年の予備選日程は州によって異なりますが、テキサス州など一部州では3月初旬に早くも予備選が実施されました。3月10日、テキサス州では上院議員選挙(ジョン・コーニン議員の改選)や州役職の予備選が行われ、コーニン議員は党内で保守強硬派候補から挑戦を受けつつも指名を獲得しています。イリノイ州やオハイオ州などでも春から初夏にかけて予備選が予定されており、共和党・民主党ともに各地で候補者が出揃っていきました。候補者選びの争点としては、共和党ではトランプ前大統領の影響力が依然強く、忠誠度が問われるケースが多く見られました。民主党では、中絶や民主主義の擁護を前面に打ち出す候補が支持を集める傾向にあります。予備選序盤の結果を見る限り、共和党内ではトランプ路線支持の主流派が優勢で、反トランプ色の強い候補は苦戦しています。民主党内では進歩派と中道派のせめぎ合いが州によって見られるものの、大局では「反トランプ」で一致しており、党内分裂は小さく抑えられています。予備選は9月まで各州で続き、最終的な中間選挙の構図が固まっていきます。
- 経済回復基調とFRBの対応(1~3月): 2026年前半、米経済は緩やかな回復基調に入りました。2025年後半に発生した軽度の景気後退は、2026年第一四半期には底を打ったとの見方が広がっています。実際、2026年第一四半期のGDP成長率(速報値)は前期比年率+1.2%となり、2四半期ぶりのプラス成長に復帰しました。個人消費は堅調さを取り戻し、在庫調整も一巡しつつあります。インフレ率はさらに低下し、3月のPCE物価上昇率は前年同月比+2.3%とFRBの目標2%に接近しました。FRBは1月と3月のFOMCでそれぞれ0.25%ずつの追加利下げを実施し、政策金利レンジは3.50%前後まで下がっています。これにより、住宅ローン金利や自動車ローン金利も低下し、住宅市場では販売が持ち直し始めました。雇用情勢も安定し、失業率は4.5%前後で横ばいとなっています(FRB予測では2026年末4.3%)。ただしFRBは「インフレ目標の確実な達成」を優先し、一旦利下げを停止して経済の反応を見極める構えです。また財政面では、2026年度予算における財政赤字拡大が懸念材料です。2025年末に減税が恒久化されたことや、景気対策的な歳出増(インフラ補修予算の前倒しなど)もあり、2026会計年度の赤字額はGDP比6%台に達する見込みです。民主党はこれを捉えて「大型減税のせいでツケが回っている」と批判し、富裕層増税などを要求していますが、共和党は「経済成長で自然に財政は改善する」と反論しています。このように2026年前半は景気が明るさを取り戻す一方、財政・金融政策の舵取りに細心の注意が払われる局面となりました。
- 国際舞台での米国(前半): 2026年前半、米国は引き続き世界外交で主導的役割を果たそうとしています。2月には北京オリンピック(金メダルの話題もありましたがここでは冬季五輪)にアメリカ代表団を派遣(政府代表の開会式出席は見送り)し、米中間の微妙な駆け引きが続きました。3月末には北大西洋条約機構(NATO)の外相会合がブリュッセルで開催され、アメリカはヨーロッパ防衛へのコミットメントを再確認しました。ウクライナ戦争は限定的な停戦協議が進み、一部地域で戦闘停止が実現したとの報道もあります。これについては米国が裏でロシアとウクライナ双方に圧力をかけた成果とも言われ、トランプ政権は「自分たちの手柄」とアピールしています。5月にはインドでG20首脳会議(議長国が南アフリカからインドに変更されたとの仮定)が予定され、トランプ大統領も出席を表明しました。そこで米中首脳会談が実現する可能性が取り沙汰されており、米中関係改善や関税引き下げ交渉の行方が注目されています。また、国連では2026年5月に気候変動に関する特別サミットが開催され、米国は削減目標見直しには消極的ながら、原子力や炭素回収技術への投資を強調しました。国際的な視点で見れば、米国の外交姿勢はトランプ大統領のもと依然独自路線色が強いものの、世界経済や安全保障に与える影響力は絶大であり、2026年前半も各国は米国の動向に神経を尖らせています。
2026年4~6月
- G7サミット(2026年5月)と国際協調: 2026年春、主要7か国首脳会議(G7)はフランス(仮に議長国)で開催されました。トランプ大統領にとって2回目のG7となる今サミットでは、世界経済の回復傾向や債務問題、ロシア・ウクライナ紛争の停戦状況、インド太平洋の安全保障などが議題に上りました。前回カナダ開催時より各国首脳はトランプ大統領のスタイルに慣れ、表向きは融和的な雰囲気が演出されましたが、水面下では依然として米国の一国主義的政策への懸念がくすぶっています。特に対中関税については欧州諸国から「そろそろ緩和すべきだ」との声が出ましたが、トランプ大統領は「公平な取引がなされない限り撤回しない」と譲りませんでした。一方、ウクライナ問題ではG7各国が停戦を歓迎し、将来的な復興支援策について協議しました。米国も財政支援や民間投資で協力する意向を示し、トランプ政権としては支援停止の汚名をそそぐ機会ともなりました。G7後、トランプ大統領はモスクワを電撃訪問しプーチン大統領と非公式会談を行ったとの報道もあり、2026年は大国間外交が活発化しています。6月にはメキシコやカナダとの北米リーダー会合も予定され、移民問題やエネルギー協力が話し合われる見通しです。
- 予備選挙の山場(春~初夏): 2026年5月から6月にかけて、中間選挙の候補者を決める予備選挙が多数の州で集中して行われました。5月上旬にはオハイオ州やペンシルベニア州で予備選が実施され、激戦州だけに注目が集まりました。ペンシルベニア州上院選では民主党現職ボブ・ケイシー議員に挑戦する共和党候補として、トランプ前大統領の支持を受けた有名実業家が指名を獲得しました。一方、カリフォルニア州では6月2日に統一予備選が行われ、上院選(ダイアン・ファインスタイン議員後任)では民主党同士が本選挙に進出する形になりました(同州はトップ2予備選制度)。6月中旬までに大半の州で候補者が出揃い、共和党はトランプ派が多数を占めるラインナップ、民主党は多様性に富む候補陣となったと評されます。予備選では一部の現職議員が落選する波乱もありました。例えばテキサス州第*区では共和党現職が極右派挑戦者に敗れるなど、トランプ支持層の影響力が依然健在であることが示されました。民主党側ではプログレッシブ勢力がニューヨーク州の下院現職を予備選で破るケースがあり、党内世代交代の動きが見られます。予備選結果を受け、民主党指導部(DCCCやDSCC)は「質の高い候補が揃った」と自信を示し、共和党指導部(NRCCやNRSC)も「トランプ大統領との協調で戦う態勢が整った」と士気を高めました。こうして夏に向け、本選挙キャンペーンが事実上スタートしました。
- 経済政策と議会立法(4~6月): 中間選挙イヤーのため、2026年春以降の議会は大きな立法成果を上げにくい情勢ですが、いくつかの重要法案が成立または審議されました。まず、インフラ投資継続法が超党派の支持で4月に成立し、老朽化した橋梁や上下水道の改修予算が5年間延長されています。これは各地のインフラ事業に恩恵をもたらし、議員らが地元にアピールできる成果となりました。また、処方薬価格引き下げ法案が上院で可決されました(ただし下院は対応法案審議を選挙後に先送り)。一方、共和党の公約だった国境安全保障法については上院民主党の反対で暗礁に乗り上げており、与党はこれを選挙争点として民主党の「安全保障軽視」を批判しています。予算関連では、2027年度(FY2027)予算の編成で大きな動きはなく、議会両院は選挙前に予算をまとめず**継続予算(CR)で凌ぐ公算が大きくなりました。実際、6月時点で上院指導部は「9月末まで暫定予算をつなぎ、細かい決定は中間選挙後に先送りする」方針を示しています。これは選挙直前に政府閉鎖を起こさないためのリスク回避であり、両党とも大筋で合意しています。経済政策面では、トランプ政権は5月に「減税2.0プラン」**としてさらなる法人税率引き下げ(現行21%→15%への段階的減税)や住宅ローン減税拡充策を打ち出しましたが、民主党は「富裕層優遇の無責任な政策だ」と反対し、立法化の見通しはありません。このように春から初夏にかけ、議会は限定的な成果に留まりましたが、各議員は選挙向けの実績作りに余念がありません。
- 経済動向(春~初夏): 2026年春、米国経済は明確に回復基調に乗りました。4~6月期のGDP成長率は年率換算で+2%台に回復するとの予測が多く、実際6月末発表の第2四半期GDP速報値は前期比年率+2.0%前後になる見通しです。個人消費が堅調で、特に耐久財(自動車など)の販売が前年の反動で増加に転じています。失業率も4.3%程度に低下し始め、雇用者増加数も再び月平均+15~20万人規模に戻りました。インフレ率は完全に沈静化し、5月のCPI上昇率は前年同月比+2.1%とFRB目標の2%にほぼ到達しました。これを受け、FRBは6月のFOMCで政策金利を据え置き、今後はしばらく3%台前半の金利水準で景気の自律回復を見守る方針を示しています。もっとも、原油価格が中東情勢の緊張などで一時上昇したためガソリン価格が春先に上昇する局面もありましたが、夏に向けては落ち着きを取り戻しています。企業業績は4~6月期も前年同期比で増益に転じる見込みで、「企業収益リセッション」も1年足らずで終了した形となりました。米銀のCEOらは「最悪期は脱した」との認識を示しつつも、商業不動産ローンなど一部で不安要素が残ると述べ慎重姿勢も見せています。全体として、2026年前半の景気後退はきわめて軽微で済み、夏にかけて米国経済はソフトランディング(軟着陸)に成功しつつあるとの評価が増えています。この経済の追い風は、与党共和党にとって中間選挙で有利な材料となる可能性がありますが、民主党は「景気が持ち直したのはFRBの功績であり、政権の迷走がなければ落ち込み自体なかった」と反論しており、経済の解釈を巡る論争も選挙戦で展開される見込みです。
2026年7~9月
- 夏季選挙キャンペーンと党大会的イベント(7~8月): 2026年7月以降、議員は地元に戻り選挙運動に集中します。通常中間選挙では全国党大会は行われませんが、各党は8月にかけて全国委員会(RNC/DNC)主催の選挙集会や資金集めイベントを開催しました。7月下旬、テキサス州ヒューストンで共和党の大型集会「メイク・アメリカ・グレート・アゲイン(MAGA)ラリー」が開催され、トランプ大統領が出席して支持者を前に演説しました。トランプ氏は減税恒久化や保守派最高裁判事の任命など政権の成果を強調し、「我々にあと2年、議会多数を与えてほしい。民主党に下院を渡せば国境も街も再び混乱に陥る」と訴えました。民主党も8月上旬にウィスコンシン州で選挙集会を開き、元大統領バラク・オバマ氏ら人気政治家が応援に駆けつけました。民主党はここで「リプロダクティブ・フリーダム法」という中絶保護法案の全国展開構想を発表し、女性有権者へのアピールを強めました。また民主党はエネルギー転換(再生可能エネルギー促進)や医療保険拡充を争点に据え、「トランプ政権と共和党はこれら国民生活に重要な課題をなおざりにしている」と批判しています。夏季の世論調査では、下院では民主党支持が共和党支持を数ポイント上回る結果が出始め、共和党内には警戒感が漂いました。特に郊外の競争区で民主党候補がリードする傾向があり、共和党選対本部(NRCC)は予算を重点選挙区に振り向ける戦略を8月末に打ち出しました。8月下旬以降、候補者間テレビ討論会も各地で開催され、有権者の関心が徐々に高まってきます。
- 議会予算措置と政府閉鎖回避(9月): 前年同様、議会は会計年度末の9月に暫定予算を成立させました。9月15日、上院は全会一致で**連邦政府暫定予算(CR)**を可決し、2027年度当初の12月まで現在水準で政府を資金提供する措置をとりました。下院も9月20日にこれを可決し、大統領署名を経て政府閉鎖は回避されました。これは選挙前に不要な混乱を避けるためであり、与野党ともに妥協しあった結果です。暫定予算によって2026年10月から12月まで政府機能は維持され、選挙後のレームダック国会で本予算が改めて議論されることになります。なお2027年度予算では、国防費増額幅や社会保障費の扱いなどで大きな論点が控えていますが、これらも新たに選出される第120議会に持ち越される見通しです。9月下旬には、ある共和党保守強硬派議員が議長(マイク・ジョンソン下院議長)不信任動議をちらつかせる場面もありましたが、結局大事には至りませんでした。与党共和党は選挙目前に党内対立を表面化させないよう努め、民主党も目立った抵抗は避けて計画通りの休会に入りました。こうして9月末時点で議会は一旦閉会し、11月の審判の日を迎える準備が整いました。
- 経済・社会の9月情勢: 9月は選挙直前ということもあり、大きな政策変更はありませんでしたが、経済指標の発表が注目されました。9月上旬に発表された8月の雇用統計では失業率が4.1%に低下し、雇用者数も+18万人増と健全な数字となりました。賃金上昇率は前年比+3.0%と物価上昇率(同+2.2%)をやや上回り、実質賃金も増加に転じています。こうした状況からFRBは9月のFOMCでも政策金利を据え置き、声明で「インフレは着実に目標に近づきつつあり、経済は穏やかに成長している」と総括しました。経済状態の良さは一般有権者のセンチメントにも表れ、9月の消費者態度指数はパンデミック後最高水準に達しました。一方でガソリン価格がハリケーンによる一時供給不安から夏場に上昇した影響で、9月CPIは前月比+0.4%とやや上振れしました。しかし前年比では+2%台前半に留まっています。総じて有権者の多くは**「景気は緩やかに良くなっている」**と認識しており、経済問題は以前ほど緊迫した争点ではなくなったとの分析もあります(政治調査会社の9月世論調査では経済を最重要課題とする回答が前年より減少)。代わりに中絶や民主主義、教育といった他の争点がクローズアップされました。9月中旬には連邦最高裁がアラバマ州の下院選挙区区割りをめぐる公民権訴訟で黒人有権者側勝訴の判断を示し、これも人種問題や投票権に関する議論を呼び起こしました。こうした社会問題の動向も秋の選挙に微妙な影響を与えています。
2026年10~11月初頭
- 選挙戦最終盤(10月): 2026年10月、全米各地で中間選挙の選挙戦が最終盤に入りました。両党はテレビCMやオンライン広告に巨額を投入し、支持層の投票行動を喚起しています。共和党は経済の改善や減税恒久化といった実績を訴えつつ、一部の接戦区では中絶問題でトーンダウンし争点回避を図りました。代わりに「犯罪増加や不法移民問題には共和党が頼りになる」と治安面を強調する選挙区も多く見られます。民主党はトランプ政権と共和党多数議会の2年間を「混乱と過激化の連続だった」と批判し、特に女性有権者や若者に「権利の後退を食い止める一票」を呼びかけています。10月上旬の世論調査平均では、「議会投票意向(generic ballot)」で民主党支持が共和党支持を数ポイント上回る傾向が示されました。ただ各接戦州・接戦選挙区の情勢は依然読みづらく、統計モデルでは下院多数は互角、上院は民主党が若干議席増との予測もあります。10月中旬から後半にかけて大統領や有力政治家が遊説に全米を駆け巡りました。トランプ大統領はフロリダ州、オハイオ州、モンタナ州など重要上院選挙州で大規模集会を開き、最後まで熱心に支持者結集を図っています。オバマ前大統領やバイデン前大統領も中西部や南部州を訪れ民主党候補を支援しました。主要メディアは「トランプ vs アンチトランプ」の代理戦争として今回の中間選挙を位置づけ、投票率も2018年並みに高くなる可能性が指摘されています。
- 経済・出来事直前情報(10月): 10月下旬、2026年第3四半期のGDP速報値が発表され、実質GDP成長率は年率+2.5%と予想を上回りました。個人消費と輸出が伸び、企業の在庫積み増しも寄与したためです。これにより景気後退懸念は完全に後退し、与党共和党は「ほら、我々の政策で経済が強くなった」と最後の追い込みで主張しました。民主党は「この好景気は実はオバマ・バイデン時代からの長期トレンドのおかげ」と反論するなど、経済解釈を巡る応酬が選挙戦最後まで続きました。また10月下旬には連邦最高裁が学生ローン債務救済を認めない判断(バイデン前政権の計画を無効とした前年判決の確定)が報じられ、若年層の不満を掻き立てる要因となりました。一部ではこれが投票動機を左右する可能性も指摘されています。ハリケーン等の自然災害は幸いこの時期発生せず、選挙に影響する大事件もありませんでした(10月サプライズ的な出来事は特になし)。株式市場は選挙結果の先行きを読み切れず小幅な値動きに留まり、投資家は結果待ちの姿勢です。なおFRBは10月末にも定例会合を予定していましたが、政治的中立性に配慮し11月初旬まで政策金利を変更しない見通しです。最後の週末には多くの州で期日前投票が締め切られ、各陣営は残る当日投票への総力戦を展開しています。
- 2026年中間選挙投開票(11月3日): 2026年11月3日火曜日、米国の中間選挙投票日が遂に到来します。今回の中間選挙では以下の公職が改選となります:
- 連邦下院:全435議席(任期2年)。現在共和党220議席・民主党215議席で共和党が過半数を占めていますが、わずか5議席差であり、少数の選挙区の行方で多数派が逆転する可能性があります。
- 連邦上院:100議席中33議席(任期6年のClass 2)+補欠選挙2議席=計35議席が改選。共和党現有53議席に対し、民主党系(民主党+無所属)47議席という構成で、今回共和 – 連邦上院:100議席中**35議席(33議席は通常改選のClass 2、2議席は補選)**が改選されます。現在共和党は53議席(過半数)、民主党系は47議席を占めていますが、民主党はノースカロライナ州(ティリス議員)やメイン州(コリンズ議員)など共和党現職の議席奪取を狙い、共和党は逆に西部や中西部の接戦州で現有議席防衛に全力を挙げます。上院の結果次第では、トランプ政権後半の立法・人事戦略が大きく左右されることになります。
- 州知事選:**39の州・地域(36州+3特別区)**で知事選挙が実施されます。カリフォルニア州・フロリダ州・ニューヨーク州など主要州を含むため、各州で熾烈な戦いが展開されています。特にフロリダ州(共和党現職デサンティス知事は任期満了)やテキサス州(共和党現職アボット知事出馬)などでは政権運営への評価が問われ、民主党は一矢報いるチャンスと見ています。
- 州議会・地方選挙:多くの州で州議会議員選挙が行われ、また各州務長官や司法長官など主要州行政府ポストの選挙、さらには郡市レベルの選挙も実施されます。中でも激戦州の州議会選は、2028年大統領選に向けた選挙制度や区割りにも影響し得るため全国的な関心事となっています。
最後に、有権者が下す審判はトランプ政権の今後2年間のみならず、政党勢力図や政策課題の行方を大きく左右します。中間選挙の結果次第で、下院では民主党が多数派を奪還して「ねじれ議会」となる可能性があり、上院でも民主党が過半数を獲得すればトランプ政権の立法は一層困難となります。逆に共和党が上下院で多数を維持または拡大すれば、トランプ大統領は残り任期でより自由に政策を展開できるでしょう。このように2025~26年の一連の政治・経済スケジュールは、11月3日の中間選挙でクライマックスを迎えます。有権者の判断がどのように下るか、米国のみならず世界が注目しています。
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