自由貿易協定(Free Trade Agreement)

FTAとは「自由貿易協定(Free Trade Agreement)」の略称で、2カ国以上の国・地域間で関税や貿易障壁を撤廃または削減し、貿易を自由化するために結ばれる協定のことです。

FTAの主な特徴:

  1. 関税の撤廃・削減
    • 協定を結ぶ国間で輸出入される商品の関税を撤廃または段階的に削減します。
  2. 非関税障壁の削減
    • 通関手続きの簡略化、輸入割当ての撤廃、規制の緩和など、関税以外の障壁も削減します。
  3. 貿易ルールの整備
    • 原産地規則や知的財産権の保護、投資環境の整備、紛争解決手続きなどのルールが整備されます。

主なFTAの例:

  • USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)(旧NAFTA)
  • 日EU経済連携協定(EPA)
  • RCEP(地域的な包括的経済連携協定:ASEAN+日中韓豪NZ)

期待される効果:

  • 貿易量の拡大
  • 消費者がより安価で多様な商品にアクセス可能
  • 企業間競争力の強化、生産性向上

FTAはグローバル化推進の中核的な手段であり、多くの国が経済成長戦略の一環として積極的に締結しています。

トランプ前大統領が2025年に再導入した関税政策は、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に大きな影響を及ぼしました。USMCAは、北米3カ国間の自由貿易を促進する協定ですが、トランプ政権の関税措置により、その枠組みが揺らいでいます。


🇺🇸 トランプ関税の概要とUSMCAへの影響

2025年2月、トランプ大統領は、カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の関税を課す大統領令に署名しました。これは、USMCAの規定に反する措置であり、特に自動車や鉄鋼、アルミニウムなどの主要輸出品に影響を及ぼしました。トランプ政権は、これらの関税を、メキシコからの不法移民やフェンタニルの流入を抑制するための手段と位置づけています。

ただし、USMCAの原産地規則を満たす商品については、関税が免除される措置も取られました。これにより、メキシコからの輸出の約50%、カナダからの約38%が関税の対象外となりました。しかし、これらの免除措置は一時的なものであり、将来的な関税の再導入の可能性も指摘されています。


🇲🇽 メキシコの対応と影響

メキシコのシェインバウム大統領は、トランプ大統領との交渉を通じて、USMCA準拠品目の関税免除を勝ち取りました。しかし、USMCAに準拠していない商品には12%の関税が課されることとなり、特に中小企業や農業分野に影響が出ています。また、メキシコ政府は、報復措置として、米国からの輸入品に対する関税の導入を検討しています。


🇨🇦 カナダの対応と影響

カナダのカーニー首相は、トランプ政権の関税措置を「経済的侵略」と非難し、報復関税の導入を発表しました。これにより、米国からの輸入品に対する25%の関税が課され、特に自動車産業や木材産業に影響が出ています。また、カナダ政府は、USMCAの再交渉を求める姿勢を強めており、北米自由貿易の枠組みが再び議論の的となっています。


📉 経済的影響と今後の展望

これらの関税措置により、北米のサプライチェーンは混乱し、消費者物価の上昇や企業の生産コストの増加が懸念されています。国際通貨基金(IMF)は、米国の経済成長率を1.8%に下方修正し、関税政策が経済に与える悪影響を指摘しています。 (US and global economic outlook deteriorates in Trump trade war, IMF says)

今後、USMCAの再交渉や新たな貿易協定の締結が求められる中、北米3カ国の経済関係は再構築の時期を迎えています。特に、日本企業にとっても、北米市場への輸出や現地生産戦略の見直しが必要となる可能性があります。


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