自分のブログにYouTube動画リンクを貼る行為の合法性

著作権法上の合法性(日本法)

● リンク・埋め込み自体は原則合法: 日本の著作権法では、他サイト上のコンテンツへのハイパーリンクを設置する行為それ自体は「複製」や「公衆送信」といった著作権法上の権利行為に該当しないと解釈されています (自社のwebサイト上に他社サイトや動画サイトのリンクを張る際の留意点とは? | 川崎フォース法律事務所)。リンク先の動画データはあくまでYouTube側から直接ユーザーに送信されるため、ブログ運営者が無断で著作物を配信していることにはならず、リンクや埋め込みを行うだけであれば著作権侵害には当たりません (自社のwebサイト上に他社サイトや動画サイトのリンクを張る際の留意点とは? | 川崎フォース法律事務所)。実際の裁判例でも、「ウェブサイトに他人の動画へのリンク(埋め込み型を含む)を貼る行為自体は著作権侵害にならない」と判断されています (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。これは「リンクを貼っても、実際に動画を配信しているのはリンク先(著作権者または正規アップロード者)である」という理由によります (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。また、経済産業省のガイドライン(「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」)においても、リンク行為そのものは著作権侵害に当たらないことが明記されています (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。

● 違法アップロード動画へのリンクは注意: ただし、リンク先の動画自体が著作権を侵害してアップロードされたものである場合(いわゆる「違法アップロード動画」)には注意が必要です。過去の裁判例では、引用(リンク)先の動画が著作権侵害か明確でない段階で当該動画をサイトに引用・埋め込みしていたことについては「直ちに著作権侵害の幇助(ほう助)には該当しない」と判断されました。しかし著作権者から削除要請を受けた後もリンクを継続した場合や、明らかに違法と認識しながら動画リンクを紹介した場合には、不法行為(著作権侵害の幇助)となる可能性が高いと示されています (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談) (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。つまり、違法な動画と知りつつ自分のサイトで紹介したり、権利者から指摘されても放置したりすれば責任を問われる恐れがあるので注意してください。逆に言えば、公式に公開されている動画へのリンクや埋め込みは権利者の許諾がある前提なので適法であり、一般的な範囲では問題ありません (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。

YouTube利用規約上の留意点

● 公式の埋め込み機能は利用可能: YouTubeの利用規約では、ユーザーはYouTubeの提供する機能を用いる場合を除き、コンテンツを無断で配布しないことに同意すると定められています (Youtube埋め込みは著作権違反!?ブログやnote・Twitterに載せるのは違法?)。つまりYouTubeが提供する「埋め込みプレーヤー」を使う限り、動画を外部サイトに表示させることは利用規約上許容されています (Youtube埋め込みは著作権違反!?ブログやnote・Twitterに載せるのは違法?)。YouTubeの動画ページで「共有」→「埋め込みコード」を取得し、自分のブログのHTMLに貼り付ける方法であれば、YouTube側が許可した公式な手段なので規約違反にはなりません。実際、YouTubeヘルプでも「ブログ記事の一部として読者に動画を見せるために時折埋め込みを行う程度であれば、たとえそのブログに一般的な広告が含まれていてもYouTubeはそれを禁止しない」と明言されています (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。

● 大量埋め込みによる営利目的利用は禁止: 一方でYouTubeの利用規約は、営利目的での悪用を防ぐ観点から次のような行為を禁止しています。 (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)にもある通り、「単に大量のYouTube動画を埋め込んだだけ」で広告収入を得ようとするサイトは規約違反と見なされます (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。これは例えば、自分のサイトに他人の動画をずらりと埋め込んでコンテンツらしいコンテンツもなく広告収入だけを狙うようなケースです。このような行為はYouTube側からペナルティを受けたり、最悪アカウント停止などの措置を取られる可能性があります。したがって適切な範囲で動画を埋め込み、自身のオリジナルの解説やコンテントと組み合わせて利用することが重要です (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。要するに、公式が提供する範囲内で常識的に埋め込み機能を使う限り規約上問題ありませんが、埋め込み動画ばかりで構成されたスパム的サイト運営は規約違反になる点に留意してください。

埋め込み(iframe)とURLリンクの違い

● 技術的な違い: 「埋め込み (iframe)」とは、ブログの記事内にYouTubeのプレーヤーを直接表示させる方法です。読者はブログ上でそのまま動画を再生できます。これに対し「URLリンク」は、単に「YouTubeで見る」というリンクテキストやサムネイルをクリックするとYouTubeサイトへ遷移する形で動画を視聴させる方法です。埋め込みではユーザーはあなたのブログ上で完結して動画を視聴でき、リンクではYouTube本体に移動して視聴するというユーザー体験上の違いがあります。

● 著作権法上の扱いの違い: 法律的には、iframe埋め込みも単なるハイパーリンクの一種であり、前述の通りどちらも著作権法上は複製・公衆送信行為に当たらないとされています (自社のwebサイト上に他社サイトや動画サイトのリンクを張る際の留意点とは? | 川崎フォース法律事務所)。そのため埋め込みと通常のリンクで基本的な法的扱い(直接には著作権侵害にならない)は同じです。裁判例でも、埋め込み型で表示される場合も含めリンク行為全般が適法と判断されています (動画の引用は著作権法違反?? | 弁護士法人Nexill&Partners(那珂川オフィスサイト)|那珂川市・春日市・筑紫野市・大野城市の法律相談)。ただし埋め込みの場合、ブログ側のデザイン次第では動画内のクレジット表示(著作者名やチャンネル名)等が隠れてしまうケースも考えられます。仮に埋め込みによって動画制作者の表示が欠落したり内容の一部が意図せずカットされて表示されると、著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)の侵害を指摘される恐れがあります (自社のwebサイト上に他社サイトや動画サイトのリンクを張る際の留意点とは? | 川崎フォース法律事務所)。通常のYouTube埋め込みプレーヤーを使えば元動画のタイトルやYouTubeへのリンクが表示されるため大きな問題は起こりにくいですが、**引用の体裁(出典の明示や自分の文章との主従関係)**にも注意すると安全です。

● JASRAC等の扱いの違い: 音楽著作物に関しては埋め込みと単純リンクで扱いが異なる点にも注意が必要です。後述するようにJASRACなど管理団体は、YouTubeと包括契約を結んでいるとはいえ**「外部サイトで埋め込み再生される場合」は別途許諾が必要との立場を取っています (利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧(最終更新:2025年1月24日))。特に営利サイトでの埋め込みは後述の通り許諾が求められます。一方、単なるURLのリンクであれば、ユーザーはYouTubeサイト上で視聴するためYouTube側の契約内に収まり、追加の許諾手続きは不要とされています (ユーチューブ動画投稿と音楽著作権 | 笛を遊ぶ)。例えばJASRACは公式見解として「他サイトでのタグ埋め込みによる動画利用は、リンク先サイト運営者においてJASRACの許諾手続きが必要」だが「URLの引用(埋め込みでない方法)で利用する場合は特に許諾は必要ない」と明記しています (利用許諾契約を締結しているUGCサービスの一覧(最終更新:2025年1月24日)) (ユーチューブ動画投稿と音楽著作権 | 笛を遊ぶ)。したがって音楽コンテンツの場合は、埋め込みか単純リンクかで実務上の対応が異なる**点を押さえておきましょう。

広告収入を得るブログでの扱い(営利性の有無)

● 非営利サイトの場合: ブログに広告収入がなく非営利で運営している場合、前述のようにYouTubeの埋め込み機能を利用すること自体は著作権法上も問題なく、音楽著作権の面でも特段の手続きは要求されません (ユーチューブ動画投稿と音楽著作権 | 笛を遊ぶ)。JASRACは多くの動画投稿サイト(YouTube等)と包括契約を結んでおり、サイト運営者が営利目的でない場合には追加の使用料を徴収しない運用となっています (ユーチューブ動画投稿と音楽著作権 | 笛を遊ぶ)。実際、JASRACやNexTone(別の著作権管理団体)では「個人の非商業利用であれば外部サイトへの埋め込み再生も許諾不要」と明言されています (ユーチューブ動画投稿と音楽著作権 | 笛を遊ぶ)。つまり趣味のブログや収益化していないサイトに公式動画を埋め込む範囲であれば、特に追加の許諾手続きをしなくても合法的に利用可能です。

● 広告収入のある場合(商用利用の場合): ブログに広告掲載などで収入を得ている場合は、いくつか追加の注意点があります。まず音楽著作権(JASRAC等)に関しては、営利サイトで動画を埋め込む場合にはサイト運営者がJASRACから「インタラクティブ配信」の許諾を得る必要があるとされています (Youtube埋め込みは著作権違反!?ブログやnote・Twitterに載せるのは違法?)。JASRAC公式サイトにも「貼り付け先のサイトが収入(広告収入を含む)を得ている場合、当該サイト運営者による許諾手続きが必要」と明記されています (Youtube埋め込みは著作権違反!?ブログやnote・Twitterに載せるのは違法?)。これは、埋め込んだ音楽PVなどによってサイトの訪問者が増え収益に繋がる場合には、その音楽の権利者にも使用料を支払うべきという考えに基づくものです (Youtube埋め込みは著作権違反!?ブログやnote・Twitterに載せるのは違法?)。したがって、例えばJASRAC管理楽曲を含む公式MVを自分の広告収入のあるブログに埋め込む場合は、事前にJASRACと利用許諾契約を結び所定の使用料を支払う必要があります。使用料の具体額等は動画の再生回数やサイト規模によって異なるため、必要に応じてJASRACへ問い合わせるとよいでしょう。

次にYouTube利用規約の観点でも、営利目的の運用には注意が必要です。前述のとおりYouTubeは「大量の動画を埋め込んで広告収入を得るだけ」のサイト運営を禁止する方針を明確にしています (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。ブログに広告があること自体は直ちに規約違反ではありませんが、埋め込み動画がコンテンツの主となっているようなサイトは規約違反とみなされる可能性があります (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。そのため、広告収入を得ているブログでは特に、埋め込み動画に頼りきりにならず自分自身のオリジナル記事や解説を充実させることが重要です。また、JASRAC等との契約が必要な動画(音楽著作物を含むもの)は避けるか、どうしても掲載したい場合は正式に許諾を得るようにしましょう。

参考・補足

以上のように、YouTubeの動画を自身のブログに掲載(リンク・埋め込み)する行為は、原則として日本の著作権法上合法でありYouTubeの利用規約にも沿った形で行う限り問題ありません (自社のwebサイト上に他社サイトや動画サイトのリンクを張る際の留意点とは? | 川崎フォース法律事務所) (YouTube ウェブサイトの商用利用が禁止されるケースと許可されるケース – YouTube ヘルプ)。ただし、コンテンツの権利状況を確認せずに違法アップロード動画を紹介したり、埋め込み機能を悪用して営利目的で乱用したりすると法的リスクが生じます。正規の方法で適切に活用し、必要に応じて権利者への配慮や許諾手続きを行うことで、安心してブログ運営を行うことができるでしょう。

Sources:

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