- 首脳会談の頻度と雰囲気:習近平主席とプーチン大統領は頻繁に会談し、互いの信頼関係を強調している。2025年5月には習主席が戦勝80周年記念行事のためモスクワを訪問し、「鋼鉄の友」と称して全分野での協力深化を誓う共同声明を発表した。両国首脳はこれまで40回以上にわたる会談を重ね、友好関係は「かつてないレベル」に達したと評価している。
- 共同声明と連携姿勢:共同声明では全分野での協力強化を明記し、一国主義や覇権主義的な動きを批判して米国の「二重封じ込め」政策に対抗する姿勢を示した。中国はウクライナ情勢についてロシア側の「根本原因の排除」を問題解決の鍵とする立場に理解を示し、ロシアは台湾問題など中国の核心的利益を支持すると公言するなど、互いの安全保障上の懸念を尊重し合っている。両国は安保理常任理事国として国連やBRICS会議でも連携を確認し、国際秩序の再構築に向けた構想を共有している。
軍事協力
- 合同演習の拡大:日露の北部・インタラクション演習(日本海周辺)やロシア主導の大規模軍事演習「オーシャン‐2024」などで、中国軍が参加する合同訓練が増えている。これらの演習は両国が戦略的に協力し、米国・日米同盟によるアジア太平洋でのプレゼンスに対抗する意図が示されている。2024年には中露海軍が太平洋で5度目の共同パトロールを実施し、航空機や潜水艦を含む大規模な演習を行った。プーチン大統領は演習の開始にあたり、米欧の包囲網や軍事拡張への牽制を明言し、中国側も共同訓練で対潜、水上戦闘など各種作戦能力を共有している。
- 装備・技術協力:ロシアは旧来から中国にSu-35戦闘機やS-400地対空ミサイルなど先進兵器を供与し、中国製エンジン部品がロシア機にも導入されるなど軍需面での協力が続いている。両軍の高官・士官相互訪問も定期的に行われ、軍事訓練や教育交流が活発化している。公式には「軍事同盟ではない」と強調しているものの、相互に軍事技術や情報を共有する協力関係は急速に深化している。
経済関係
- 貿易・金融連携:2024年の中露貿易額は約2448億ドルに達し史上最高を更新したが、伸び率は鈍化した。両国の貿易は相補的で、ロシア側から中国へは石油・天然ガス・金属・農産品・化学品などが輸出され、中国からは機械・電子機器・自動車・繊維製品などが輸出されている。貿易決済ではルーブルと人民元の利用が急増し、現在は約9割以上が自国通貨で行われる(対ドル依存の低減)。両国中央銀行は通貨スワップ協定を結び、金融決済インフラを整備して相互決済を円滑化している。
- エネルギー協力:エネルギー分野が経済関係の中心である。ロシアは中国最大の原油供給国であり、2024年の対中原油輸出量は過去最高水準となった。天然ガスでは、2019年に開通した東シベリア・太平洋天然ガスパイプライン(Power of Siberia)の延長工事が2024年末に完成し、2025年には年380億立方メートルの供給能力に到達する見込みである。さらに液化天然ガス(LNG)でも協力が強まり、2024年の中露間LNG取引量は3%増加、2025年にはさらに増加すると予想されている。ロシアは送電網やパイプライン建設などのインフラプロジェクトに中国の建設資材・資金を取り込み、中国は電力供給などでロシアを支援する動きも見られる。
- 投資・新興分野の拡大:中国はロシア極東・シベリアのインフラ整備や天然資源開発に投資を拡大しており、例えば極東の港湾や道路網建設への参入が進んでいる。ロシア側も中国の通信・IT企業を誘致し、両国間に越境Eコマース・輸送網(中欧貨物鉄道など)を整備している。新たな協力分野として、デジタル経済、人工知能、航空宇宙といったハイテク分野や再生可能エネルギー開発での連携も模索されており、官民挙げて共同研究や技術移転の枠組みづくりが進められている。
国際秩序における連携
- 対米・対西側連携:中国とロシアは共同で米国の一国覇権的な行動や高関税・制裁政策を批判し、互いの立場で補完し合っている。2025年5月の共同声明でも米国の「一国主義」や不当な経済制裁を明確に非難し、多国間貿易体制の維持を訴えた。国連安全保障理事会では両国とも常任理事国として発言力を行使し、2024年3月にはガザ停戦案に対する米国主導の決議に共同で拒否権を行使するなど、西側諸国との協調とは一線を画した。対インド太平洋や欧州での安全保障問題でも、米国やNATOに対抗する姿勢で足並みを揃え、新たな安全保障枠組み(ユーラシア中心の安全保障秩序)を志向している。
- 多国間フォーラムでの協調:BRICS(ブラジル・インド・中国・ロシア・南アフリカ)や上海協力機構を通じて、多極主義的な世界秩序の構築を推進している。2024年のBRICS首脳会議ではサウジアラビア・アラブ首長国連邦などの新規参画を決め、西側中心の国際金融制度に代わる経済協力強化を確認した。新開発銀行(BRICS銀行)やアジアインフラ投資銀行(AIIB)でも中露は主導的立場で資金調達や融資を展開し、グローバル・サウス(発展途上国)への支援拡大を掲げている。また、国連改革を含む国際問題では二国間で協議し合い、国連総会・安保理などで途上国の利害を代表する形で共同提案を行うなど、非欧米圏重視の国際協調路線を強化している。
2025年時点における中露友好関係の要点は以下のとおり。
外交関係
- 習近平主席とプーチン大統領の首脳会談が頻繁に開催され、「鋼鉄の友」と称し協力強化を表明。
- 両国は米国の覇権主義を批判し、ウクライナや台湾問題などで相互に支持を示している。
軍事協力
- 中露の合同軍事演習が拡大。日本海・太平洋などで共同パトロールや訓練を実施し、米国や日米同盟に対抗。
- 先端兵器・軍事技術の共有や相互訪問も活発化し、軍事的連携が深まっている。
経済関係
- 中露貿易は史上最高水準を記録。貿易の9割以上が人民元やルーブルで決済され、ドル依存を低下させている。
- エネルギー分野ではロシアが中国最大の原油供給国となり、天然ガスやLNG輸出も増加。インフラ開発やハイテク分野への投資協力も活発。
国際秩序での連携
- 両国はBRICSや上海協力機構を通じて多極的な世界秩序を推進し、西側中心の国際金融・安全保障体制に対抗。
- 国連や国際フォーラムで米国の覇権主義を批判し、グローバル・サウス(発展途上国)との連携を深めている。
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