反ダンピング条項

反ダンピング条項(Anti-Dumping Measures)とは、外国の輸出業者が製品を自国市場価格よりも低い価格(ダンピング価格)で輸出し、輸入国の産業に損害を与えたり、損害を与える恐れがある場合に、輸入国が課す追加関税などの保護措置のことを指します。

背景と目的

ダンピング行為は、輸出業者が他国市場でシェアを獲得するために、不当に安い価格で製品を輸出する行為であり、これによって輸入国の国内産業が大きな被害を受ける可能性があります。

そのため、世界貿易機関(WTO)のルールでは、こうした不公正貿易行為に対処し、自由で公平な競争環境を守るために、反ダンピング条項を設けています。

反ダンピング措置の流れ

一般的には次のような手順で行われます。

  1. 申請と調査の開始
    国内企業が政府に対して被害を申請し、政府が調査を開始する。
  2. 調査の実施
    政府は、輸出国の価格、輸入国の価格、被害状況の調査を実施。
  3. 暫定的措置の適用(必要な場合)
    調査の途中で被害が確認された場合、一時的に追加関税(暫定措置)を課すことができる。
  4. 最終的措置の決定
    調査完了後、ダンピングの有無と被害の程度が認定されれば、正式に反ダンピング関税が決定・課税される。

具体的措置

通常は、ダンピング行為を行った製品に対して、輸出国市場価格と輸入国販売価格との差額を基準として追加的な関税(反ダンピング関税)を課します。

意義

反ダンピング条項は、自由貿易と市場競争の公正性を保つための重要な仕組みであり、特定産業を不当な価格競争から守る役割を果たしています。ただし、一方では保護主義的措置としての乱用のリスクもあるため、公正かつ客観的な運用が求められています。

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