清原達郎氏は野村証券出身でヘッジファンド「タワーK1ファンド」を25年間運用し、個人資産約800億円を築いた「伝説の投資家」です。2004年には約100億円を稼ぎ、2005年の高額納税者ランキングで首位となりました。晩年に投資ノウハウをまとめた著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』を公表しています。以下に、氏の投資哲学、具体的手法、運用スタイル、主な実績を整理します。
投資哲学
- 常識を疑う姿勢(Counterintuitive) – 清原氏は「投資の第一歩は『常識を疑う』こと」だと強調し、市場の一般的な見方に逆らう発想を重視します。周囲が「当たり前」と思う情報でも100%信用せず、新たな事実に応じて自らの考えを修正するベイジアン的思考を採ります。
- 経験から学ぶ – 「株式投資に才能は不要。大切なのは自分の失敗から学ぶこと」という信念を持ち、投資家を学ぶタイプに分類します。自分で失敗して初めて真価がわかるため、個人投資家には少なくとも10銘柄程度に分散投資し、勝ち負けを経験して学ぶことを勧めています。
- 直感と理屈の併用 – 投資判断では理論だけでなく直感(経験の蓄積)も大切にします。清原氏は「直観とは経験値の積み重ねにほかならない」と述べ、深い経験を土台に直感が働くと説明しています。
投資手法・運用スタイル
- 割安小型成長株への投資 – 基本戦略は、機関投資家の注目が薄く割安に放置されがちな小型株の中から成長性が高い企業を選ぶ手法です。具体的には、手元資金(現金や換金可能資産)から借金を差し引いた「ネットキャッシュ」が多い割安株に注目します。ネットキャッシュ比率が1以上(借金して買い取っても現金で返済できるほど割安)は重要な目安で、PER(株価収益率)なども参考にしつつ選定します。
- 経営者重視の成長判断 – 小型株の成長性は経営者に大きく左右されるため、経営者の“成長させたい”という強い意志を最重要視します。清原氏は、①社長自身が成長に熱意を持つか、②有能な幹部がいるか、③同業他社との競争に負けないか、④成長とともに強みがさらに強化されるか、⑤業績拡大で将来市場をむしばまないか、⑥経営者の言動一致 の6点で成長を見極めるとしています。特に社長の発言を公式サイトや資料で確認し、長期的な意欲や計画の具体性を判断します。
- 逆張り・長期保有 – 清原氏は基本的に逆張り投資家で、株価が下がった局面ほど買い増しし、損切りは滅多にしません。一度銘柄を購入したら、原則として3~5年程度の長期保有をめざします。株価が短期的に3割上がってもすぐに利確せず、最低でも購入価格の2倍になるまで保有する考えです。利益確定の目安としては、買値の2倍になったタイミングで株数の半分を売却し元手を回収し、残りは「忘れておく」(さらに長期で保有)方法を提唱しています。
- 分散投資 – 個人投資家には10銘柄程度での分散投資を推奨しています。少数銘柄だけだとたまたま成功して自分を過信しやすく、複数銘柄で成功と失敗を経験しながら投資センスを磨るためです。
主な実績
清原氏は「タワーK1ファンド」の運用で25年間で約93倍の驚異的な運用成果を上げました。2004年の投資で約100億円を稼ぎ、2005年の高額納税者番付で個人投資家として全国1位に輝いたことで注目されました。こうした実績により「伝説のファンドマネジャー」「投資の神様」と呼ばれるようになり、2023年に投資家人生を振り返る形で『わが投資術 市場は誰に微笑むか』を出版しました。
参考文献・情報源
- 清原達郎『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(2023年、日経BP社)
- Forbes JAPAN「清原達郎に学ぶ『わが投資術』と『危機への対処』」(2023年)【9†】
- Business Insider Japan「個人投資家は『割安小型成長株』を狙え―伝説の投資家が明かす『わが投資術』」(2024年)【12†】【15†】
- ダイヤモンド・オンライン「資産800億円の投資家・清原達郎氏は『長い目では日本株に強気』…小型割安株投資の極意も公開」(2025年)【30†】
- 東洋経済オンライン「元長者番付1位 清原達郎氏 今の相場で勝つ方法」(2024年)※会員制記事
注: 引用箇所は各記事の該当部分を示しています【†】。これら情報を基に、初心者にも分かりやすいよう要約・解説しました。
要約
以下は、清原達郎氏の投資術の要約です:
✅ 清原達郎氏の投資術【要約】
- 投資哲学
- 「常識を疑う」姿勢を重視(逆張り思考)
- 投資に才能は不要、経験と学習が重要
- 成功体験よりも「失敗から学ぶ」ことが大切
- 投資手法・スタイル
- 小型で割安かつ成長性ある企業に集中投資
- 経営者の「成長させたい意志」を最重要視
- ネットキャッシュが豊富な企業を好む(借金が少なく現金が多い)
- 利益確定は「株価2倍で半分売却」し、残りは長期保有
- 基本スタンス
- 逆張り(下落時に買い、上昇時に売らない)
- 長期保有(3~5年以上)
- 分散投資(個人投資家には10銘柄ほど推奨)
- 実績
- 「タワーK1ファンド」を25年間で約93倍に運用
- 2005年、高額納税者1位(推定年収100億円超)
- 著書
- 『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(2023年)
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