投資対象の違い
- JNUGは小型の金・銀鉱山株で構成される指数(MVISグローバル・ジュニア金鉱株指数)に連動する2倍ブル型ETF。具体的には米国ETF市場で小型金鉱株ETF「GDXJ」に相当する銘柄群の値動きを2倍化する商品で、アルアワ、パナマシアなど小型の金・銀鉱山企業が多く含まれる。
- NUGTは大型金鉱株中心の指数(NYSE Arca金鉱株指数)に連動する2倍ブル型ETFで、ニューモントやバリック、フランコネバダなど大手金鉱山企業が主要銘柄。こちらは大型金鉱株ETF「GDX」に相当する銘柄群を2倍化するイメージ。
- つまり、JNUGは「小型ジュニア金鉱株の2倍」、NUGTは「大手金鉱株の2倍」に投資する点で対象セクターが異なる。JNUGには銀鉱株なども一部含まれ、より広範な鉱山セクターに暴露する。
レバレッジの特性とその影響
- レバレッジ倍率はいずれも日次2倍(ブル)で、指数の1日の値動きの2倍の投資成果を目指す。もともと両ETFは3倍(300%)のレバレッジを目標にしていたが、2020年4月以降は市場の高ボラティリティ対応で2倍に変更された。
- 日々リセット型の仕組みのため、毎日運用結果が2倍になるよう再調整される。よって長期保有すると複利効果(いわゆるボラティリティ・ドラッグ)の影響で指数の単純2倍以上・以下の結果となり、期待通りのリターンにならないことが多い。
- レバレッジの影響として、金鉱株価格の上昇局面では価格変動がさらに拡大して大きな利益が狙える一方、下落局面では損失も大きく拡大する。少しの相場変動でも値幅が2倍になるため、ハイリスク・ハイリターンの商品性を持つ。
リスクとボラティリティの違い
- 高ボラティリティ:いずれもレバレッジにより通常のETFよりはるかに大きく値動きし、急激な上昇・下降を繰り返す。価格変動(ボラティリティ)は株価指数の2倍以上で推移し、金価格が少し動くだけでも日々大きく変動する。
- JNUGのリスクの高さ:JNUGは対象が小型株中心のため、もともとのボラティリティが大きい。これに2倍レバレッジが掛かるので、NUGT以上に値動きが激しく、上昇も下落も大きくなる傾向が強い。少額資金で急騰を狙える反面、暴落時の損失拡大リスクも非常に高い。
- NUGTのリスク:NUGTも大幅な値動きをするが、対象が大手企業中心なので相対的にはJNUGよりはやや緩やかな面もある。ただしそれでもレバレッジETFである以上、大きなリスクを伴う。
- 長期リスク:日次リセット型のため、複利効果で長期では期待通りのリターンは得にくい。長期保有では大きな元本割れをする恐れがあり、初心者や長期投資を望む投資家には不向きである。
過去の代表的なパフォーマンス傾向
- 金相場連動の性質:両ETFとも基本的に金価格や金鉱株指数に連動するため、金相場が強い上昇局面では大きく上昇し、下落局面では大きく下落する特徴がある。たとえば2020年のコロナショックではいったん暴落した後、2020年後半から2021年にかけて金価格上昇に連動して大幅高となった。2024年以降の金相場上昇局面でも類似の急騰が見られた。
- 累積リターン:長期的には複利効果で指数の「単純2倍」より劣後しがちで、設定以来の累積リターンはどちらもマイナスで推移している。概算では2025年時点でJNUGは設定来で約-70%、NUGTは-40%程度とされ、JNUGの下落幅が大きい。過去5年~10年単位で見ると、JNUGは大きな暴騰・暴落を繰り返し累計マイナスが大きくなりやすいのに対し、NUGTも上下動は激しいが相対的にもう少し耐えた動きとなっている。
- 短期トレンド:短期的には1日~数日の急騰や急落が度々発生している。たとえば金価格急騰時は1か月間で数十%上昇することもある一方、下落時には同じく大きな割合で減少する。総じて、投機的な短期リターンは得られるが市場が落ち着くとリターンは帳消しになるケースが多い。
適した投資家層の概要
- 上級者向きの投資商品:いずれも極めてハイリスク・ハイリターン型で、短期的な相場変動を積極的に利用したい投資家向け。相場見通しに自信があり、頻繁にポジションをモニターできる熟練トレーダーや機関投資家が主な利用者層。
- 短期トレード・ヘッジ用途:金価格の急騰局面で大きな利益を狙ったり、ポートフォリオの一部をヘッジ目的で運用するケースが中心。日中や数日単位で取引しやすい商品で、長期的に「買いっぱなし」にする目的には向かない。
- JNUG特有の適性:JNUGは小型株を中心とするぶん値動きがさらに激しく、金鉱株市場に強気で特に小型株のアウトパフォームを期待するアグレッシブな投資家向け。
- NUGT特有の適性:NUGTは大型株中心でやや安定性があるため、金鉱株全体の上昇を狙いつつもJNUGほど極端な値動きは避けたい投資家に適する。ただしそれでも一般的な投資家の許容範囲を超えるリスクである点は変わらない。
- 非推奨投資:いずれも初心者や長期投資重視の投資家、資産全体を預ける目的には不適格。元本割れリスクをよく理解し、余剰資金で短期的に臨める投資家に向いている。
要約
JNUGとNUGTの違いを要約すると以下の通りです。
- 投資対象
- JNUG:小型金・銀鉱山株指数(MVISグローバル・ジュニア金鉱株指数)の2倍レバレッジETF。
- NUGT:大型金鉱株指数(NYSE Arca金鉱株指数)の2倍レバレッジETF。
- レバレッジの影響
- 両者とも日次2倍型。日々リセットされるため、長期保有では複利効果により期待通りのリターンを得にくい。
- リスクとボラティリティ
- JNUG:小型株中心のためボラティリティが非常に高く、ハイリスク。
- NUGT:大型株中心で、相対的にやや安定的だが、依然として高リスク。
- パフォーマンス傾向
- 金価格連動で上下動が大きく、長期では累積マイナスが多い。JNUGは特にボラティリティが激しい。
- 適した投資家
- 上級者向け。短期トレードや積極的にリスクを取る投資家に適し、初心者や長期投資には不向き。
コメント