資本の本質は支配する力である

政治経済


【正:資本=自由と創造の手段】

資本主義社会において、資本とは単に貨幣や機械、土地といった「物」ではなく、それらを投資し、価値を増殖させる力=能動的な運動体として理解されます。マルクスの言葉で言えば、

資本とは価値が価値を生む運動である(G-W-G’:貨幣→商品→より多くの貨幣)

この運動において、資本は「労働を組織し、技術革新を促進し、生産性を高める力」を持っています。したがって、初期段階では資本は次のように見える:

  • 資本=自由の媒体
  • 資本=創造と豊かさの源泉
  • 資本=市場での自由な交換・競争を通じて個人の能力を引き出す

これは啓蒙主義的・リベラルな資本主義観に対応します。


【反:資本=支配と疎外の力】

しかし、資本が価値を増殖させる過程では、「他者の労働を手段として使用する構造」が不可避に現れます。つまり:

  • 労働者は自己の労働力を商品として資本家に売るしか生きる術がない
  • 資本は労働力の使用価値(=労働そのもの)から剰余価値を搾取する
  • よって、資本=人間を手段化し、他者を支配する力

さらに、資本は拡大・集中を通じて、国家、法、教育、文化などの上部構造を通して社会全体を覆い尽くします。この段階で資本は「関係性の支配者」に変質します。

「資本とは、他人の労働に対する支配権である」(マルクス)

この「反」の段階で、資本はもはや自由の手段ではなく、労働と生活をコントロールする支配装置へと転化します。


【合:資本の超克=人間的自由の再定義】

では、この創造と支配の両義性を持つ資本を、どのように乗り越えればよいのでしょうか?

ここで必要なのは、資本を**廃絶することではなく、包摂的に乗り越える(アウフヘーベン)**ことです。

  • 資本の創造力(技術革新、組織力、分業)=肯定的に継承
  • 支配性(人間の手段化、労働の疎外)=否定し、脱構造化する

これにより、「資本の本質=支配力」は人間の自由な相互承認と協働に向けて再構築されるべきです。

例:

  • 協同組合型企業・分散型金融(DeFi)・オープンソース開発
  • ベーシックインカム+労働時間の短縮
  • 利潤ではなく「関係性の質」を価値基準とする社会モデル

【まとめ:弁証法的構造】

段階内容資本の意味
正(テーゼ)資本=自由と創造の力能動的・革新的エネルギー
反(アンチテーゼ)資本=支配と疎外の力労働と生活の統制装置
合(ジンテーゼ)資本=包摂的超克の対象自由と連帯を再構築する契機

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