円安基調は変わらない

政治経済

確かに、米国の政策金利は5.25%~5.5%の幅で推移している。2023年7月以後利上げはなく、年内にも数回の利下げが予想される。米国の政策金利の引き下げは円高要因になる。しかし、日本は政策金利を上げられない。もちろんマイナス金利は先日解除されたばかりだが、政策金利を上げると、莫大な利息の支払と国債の含み損が生じてしまう。

まず、利息の支払である。国債の残高は2023年3月末で1068兆円であり、仮に金利が1%上昇したら10兆円以上の利子を支払わなければならない。2023年の国の予算が約110兆円であることから、その額の大きさが理解できる。そして、国債の含み損である。金利が上がれば、債券価格は下がる。日銀が保有する国債の残高は2023年3月末時点で約500兆円で、仮に1%国債価格が下落すれば5兆円の含み損が生じる。

よって、日銀は利上げができず、円安基調は中長期的に継続する。仮に米国が利下げをしてもゼロ金利が続く円が積極的に買われることはない。もちろん、円安が日本への投資や観光を呼び込み、円が買われる。しかし、それ以上に海外に逃避する資金が急増するだろう。米国株を中心に主にドル建ての資産に円が流入する。具体的には、円建ての定期預金1年物の金利で0.5%を超えるものはない。一方、ドル建ての定期預金1年物の利息は5%近いものもある。円がドルへと逃避するのは自明である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました