2025年4月~2026年4月の金・金鉱株投資展望

価格上昇期待:現状分析と今後の見通し

2025年に入ってから金価格は堅調に上昇しており、それ以上に金鉱株が大幅な上昇を見せています。例えば、金価格の2倍の値動きを目指すETFであるUGLは年初来で約55%上昇し、金鉱株指数の2倍の値動きをするNUGTはほぼ+100%(約2倍)の上昇となっています。このチャートが示すように、金相場の力強い上昇に対して金鉱株はレバレッジの効いた形で値上がりしており、金市場全体の強さを反映しています。

こうした上昇の背景には、米国の金融政策転換への期待安全資産需要の増加があります。米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制のために続けてきた利上げをすでに停止し、景気減速の兆しを受けて今後は利下げに転じるとの観測が出ています。また、インフレ懸念が依然残る中や国際情勢の不透明感から、資産を守る手段として金への需要が高まったことも金価格を押し上げました。金鉱株は金価格上昇によって利益見通しが向上するため、その期待から金以上の上昇率となる傾向があります。

今後1年間(2025年4月~2026年4月)においても、基本的には金と金鉱株に対して強気の見通しが考えられます。利下げ局面入りやインフレヘッジ需要が続く場合、金価格は高値圏を維持しつつさらに過去最高値を更新する可能性もあるでしょう。市場では2025年後半に金が1トロイオンスあたり3000ドル前後の高値水準を維持するとの予測もあり、金鉱株もそれに連動して堅調さを保つ展開が期待されます。ただし、金価格は既に大きく上昇して高値圏にあるため、一時的な調整や変動も起こり得ます。特に米金融政策や経済指標次第では逆風となる場面もあり得るため、先行きに楽観しすぎず注意も必要です。

金利動向との関係と今後の影響

金利の動向、とりわけ米国金利は金市場に大きな影響を与えます。一般に金利が低下するほど金価格に追い風となります。これは、金は利息を生まない資産のため、金利が高い局面では相対的な魅力が損なわれますが、金利が下がれば金の保有コストが低下し魅力が増すためです。

足元では米国の政策金利は長期にわたる利上げで高水準に達しましたが、インフレ鈍化と景気減速観測を背景に利上げ停止となりました。市場では早ければ2025年後半にもFRBが利下げ開始に踏み切るとの見方があり、こうした期待が既に金価格を押し上げる一因となっています。今後実際に米国で利下げが進めば、長期金利や預金金利の低下を通じてドル安が進行しやすくなり、これは歴史的に金価格の上昇要因となります。一方で、もしインフレ再燃などでFRBが再度タカ派姿勢を強め、高金利政策を長引かせるような場合には、金にとって重石となるでしょう。金利上昇や高止まりは金の魅力を相対的に低下させ、価格上昇ペースを鈍らせる可能性があります。

その他注目すべきポイント(インフレ動向、地政学リスクなど)

金と金鉱株の先行きを考える際、金利以外にも以下のような要因に注目が必要です。

  • インフレ動向: インフレ率が高い局面では、購買力の目減りを防ぐ手段として金が買われやすくなり、金需要の増加につながります。ただしインフレが加速すると中央銀行はさらなる利上げで対応せざるを得なくなるため、金価格にとっては抑制要因にもなり得ます。現在、米国のインフレ率はピークを越えて緩和しつつあり、物価が落ち着けば金融緩和(利下げ)の余地が広がるため金にはプラス材料となるでしょう。
  • 地政学リスク: 国際情勢の不安定要因が高まると、安全資産である金への資金流入が起こりやすくなります。例えば戦争や紛争、国際的な政治緊張(ウクライナ情勢や米中関係の摩擦、中東情勢など)が続いたり悪化したりすれば、リスク回避の動きから金や金鉱株が買われ価格が押し上げられる可能性があります。予期せぬ地政学的イベントは今後1年の金市場にも影響を与えうる要因です。
  • ドルと中央銀行の動向: 通貨面では米ドルの強弱も金価格に影響します。一般にドル安の局面では金価格が上昇しやすく、予想される米利下げはドルを弱める方向に働くため金にとって追い風です。また各国中央銀行が外貨準備として金の保有を増やす動きを続けており、こうした公式セクターからの金の買い需要が金相場を下支えしています。ドルの信認や各国の金融政策の変化も金市場では注視すべきポイントです。

総合的に見て、金および金鉱株は今後1年においても上昇基調を維持する有力なシナリオが考えられます。利下げ開始やインフレ安定、旺盛な需要といった追い風要因が揃えば、引き続き高値圏で推移する展開が期待されます。ただし、金融政策のサプライズや経済・政治状況の変化によっては変動も大きくなり得るため、楽観一辺倒は禁物です。これらの要因に注意を払いながら、金市場の動向を見守っていく必要があるでしょう。

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