オランダとイギリスが基軸通貨を失った経緯をそれぞれ簡潔に説明します。
① オランダ(17~18世紀:オランダ・ギルダー)
- 台頭理由
- 世界最初の株式市場や東インド会社の成功を背景に、金融・貿易の中心となり、ギルダーが基軸通貨として広く使われた。
- 衰退理由
- 18世紀に入ると度重なる戦争、特に英蘭戦争により経済力が消耗。
- イギリスの金融・海運力が急速に拡大し、ロンドンがアムステルダムに代わって国際金融センターとなった。
- 結果
- オランダの経済力が相対的に低下したことで、基軸通貨としての地位をイギリスに奪われた。
② イギリス(19~20世紀前半:ポンド)
- 台頭理由
- 産業革命を経て世界経済を主導。大英帝国の覇権とともにポンドが世界的な基軸通貨として定着した。
- 衰退理由
- 2度の世界大戦により経済基盤が弱体化。特に第二次世界大戦後は莫大な対外債務を抱えることとなり、通貨価値の維持が困難になった。
- 戦後のブレトンウッズ体制下で、アメリカドルが金本位制を基盤とする基軸通貨としての役割を担うことが決定。
- 結果
- 1944年のブレトンウッズ協定により、イギリスポンドは基軸通貨の地位を失い、アメリカドルにその役割を譲った。
いずれの場合も、基軸通貨の交代は、覇権国の経済的・軍事的衰退と、新興国の台頭によって引き起こされました。
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