ZEH基準(ゼッチきじゅん)とは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)」の略称である「ZEH(ゼッチ)」を実現するために定められた省エネルギー性能基準です。
ZEHの定義
ZEHとは、住宅のエネルギー消費量を断熱性能や省エネ設備などの導入により可能な限り削減し、さらに太陽光発電など再生可能エネルギーを用いて、住宅で消費する年間一次エネルギー量(空調、給湯、照明、換気など)の収支が実質ゼロ以下になることを目指した住宅です。
ZEH基準の要件
日本においては、経済産業省や環境省が定めるZEH基準として、以下のような要件を満たすことが求められます。
① 外皮性能の基準(断熱性能)
住宅の断熱性能を示す指標である外皮平均熱貫流率(UA値)が、地域区分ごとに定められた基準を満たすことが必要です。
地域区分 | 外皮性能基準(UA値) |
---|---|
1地域・2地域(北海道など) | 0.40以下 |
3地域(東北など) | 0.50以下 |
4地域(北陸・北関東など) | 0.60以下 |
5地域(東京・名古屋・大阪など) | 0.60以下 |
6地域(福岡など) | 0.60以下 |
7地域(沖縄など温暖地) | 0.60以下 |
8地域(沖縄の一部離島など) | 0.60以下 |
UA値は小さいほど断熱性能が高いことを示します。
② 一次エネルギー消費量の削減率
標準的な住宅と比較して、一次エネルギー消費量を20%以上削減する必要があります。
- 省エネ設備(高効率エアコン、高効率給湯器、LED照明など)を導入。
- エネルギー消費を抑える設計(高断熱・高気密住宅)。
③ 再生可能エネルギーの導入
太陽光発電設備などを設置して、エネルギーを創り出すことが必要です。
- 年間の一次エネルギー収支を実質ゼロ以下にすること。
ZEH基準達成住宅のメリット
- エネルギーコスト削減(光熱費の大幅削減)
- 快適性の向上(断熱性・気密性の向上)
- 補助金・税制優遇措置の利用(ZEH補助金など)
- 不動産価値の維持・向上
- 地球温暖化防止への貢献
ZEHの推進目標
日本政府は、住宅の脱炭素化推進として以下の目標を掲げています。
- 新築戸建て住宅については、2030年までに新築住宅の平均でZEH基準を満たすことを目指す。
- 2050年までに住宅・建築物のストック全体を平均でZEH水準にすることを目指す。
要約
ZEH基準とは、「断熱性能や省エネ設備の導入」「再生可能エネルギー設備の設置」を組み合わせて、年間の住宅エネルギー消費量を実質ゼロ以下にするための基準です。日本政府が脱炭素化に向け積極的に推進しており、基準を達成した住宅には光熱費削減、快適性の向上、補助金や税制優遇措置などのメリットがあります。
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