私は、現在、不動産会社と資産運用会社の2社を経営している。雇用はしていない。確かに、労働者よりも経営者の方が難しいと考える人も多いだろう。しかし、人を雇わなければ経営者の方が総じて楽である。
もちろん、労働者であれば、給料が定期的に支払われ、会社が用意した役割を果たせば良い。職位の高くない人であれば、自分で事業を創造する必要もない。部署によっては、売上すら立てる必要はない。一方で、上司や同僚と上手くやるためには、絶えず自己の言動を省みて、他者の立場を想像しなければならない。つまり、人間関係に消耗してしまう。人間関係の弊害を分散もしくは予防する仕組みを構築できている会社は少数だろう。
他方、人を雇わない個人事業主であれば、人間関係に腐心することなく、商売、つまり「安く仕入れて高く売る」に専心できる。もちろん、他者の力は外注という手段で借りる。私も不動産管理会社に賃借人の募集を、リフォームはリフォーム会社にお願いしている。外注であっても、ある程度の規模の会社であるならば、風評を恐れるため、品質にある程度の水準が担保される。
経営者の仕事は意思決定であり、思考は情報を基礎とするので、読書や体験等の情報収集する時間を優先的に確保しなければならない。また、健康管理も重要だ。よって、人間関係の問題に時間を浪費する訳にはいかない。
さらに、自分の頭で考え行動しているため、成功体験を労働者よりも速く積み上げられる。もちろん、大きな組織で社会を支える影響力の大きな仕事をすることは、尊い。むしろ、後者の方が社会に貢献でき、充実感は高いだろう。個人の幸せでなく、社会貢献の意志が強い人は大企業で是非とも活躍して頂きたい。しかし、公私ともに充実したい人は、時間を自分の裁量で使える個人事業主の方が向いているだろう。
したがって、必ずしも労働者よりも経営者の方が難しい訳ではない。好奇心旺盛で、家族を大事にしたい人は、起業という選択を考えてみてはどうだろうか。個人事業主は孤独ではなく、外注という形態で大組織にも手伝ってもらえる。労務問題に煩うことなく、好きな商売に邁進するのも一興だ。
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