ターミナルレートと中立金利

政治経済


1. ターミナルレート(Terminal Rate)

  • 定義: 中央銀行が現在の金融政策サイクルで目指す最終的な政策金利水準を指します。
  • 特徴:
    • 主に短期的な視点で使用される。
    • 現在のインフレ率や経済成長率に基づき設定される。
    • 例えば、中央銀行がインフレを抑制するために利上げを行う場合、ターミナルレートはその利上げサイクルの終了地点となります。
  • 目的:
    • 経済の過熱を防ぐ(引き締め)。
    • 景気の後退を防ぐ(緩和)。
  • 変動要因:
    • インフレ率や失業率、経済成長率などの短期的な経済指標。
    • 市場の期待値や中央銀行のガイダンス。

2. 中立金利(Neutral Rate)

  • 定義: 経済がインフレもデフレもしない、均衡状態にあるとされる理論的な金利水準。
  • 特徴:
    • 長期的な視点で使用される。
    • 経済活動に対して「中立的な効果」をもつ金利。
    • 金融政策が経済を刺激(緩和)も抑制(引き締め)もしない状態を目指す。
  • 目的:
    • 経済が持続可能な成長を遂げるための理論的基準。
    • インフレ目標(例えば2%)と一致する。
  • 変動要因:
    • 労働力人口や生産性の成長率など、構造的な要因。
    • 投資需要や貯蓄率の長期的な動向。

主な違い

項目ターミナルレート中立金利
視点短期的長期的
目的現在の政策サイクルの終了地点を示す経済の均衡状態を表す理論値
変動要因景気やインフレの短期的変動構造的要因(人口、生産性など)
金融政策への影響金融政策の具体的な行動指針を提供政策目標の基準を提供

補足

  • ターミナルレートが中立金利を上回る場合:
    • 中央銀行は引き締め的政策を取っている状態(経済を抑制)。
  • ターミナルレートが中立金利を下回る場合:
    • 中央銀行は緩和的政策を取っている状態(経済を刺激)。

具体例

例えば、アメリカのFRB(連邦準備制度)は、中立金利を2.5%程度と推定していることがあります。しかし、インフレ率が高騰している場合、ターミナルレートを4%以上に設定して一時的に経済を抑制する場合があります。

両者を理解することで、現在の政策が経済に与える影響を判断する助けとなります。

2024年9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、2024年末の政策金利(ターミナルレート)予測が4.4%とされ、前回6月時点の5.1%から大幅に引き下げられました。これは、利下げの前倒しにより、景気や労働市場の悪化を回避できるとの見方が示されたためです。

2024年9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で公表されたドットチャートによれば、FOMC参加者の中立金利の中央値は2.5%とされています。

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