2024年度 日本の社会保険料 内訳(子育て支援金を含む)

2024年度の主な社会保険料率(労働者負担分)

2024年度における日本の社会保険料の主な保険料率(従業員が負担する部分)は以下の通りです(※健康保険・厚生年金は労使折半のため、下記は労働者負担分の率):

  • 健康保険料(協会けんぽ・東京都の場合):約 4.99%(標準報酬月額に対する従業員負担率)
    (東京都の協会けんぽ保険料率は全体で9.98%であり、その半分を従業員が負担します。他の都道府県では料率が若干異なりますが、全国平均はおおむね10%前後です。)
  • 介護保険料(第2号被保険者:40~64歳の場合):0.80%(従業員負担分)
    (介護保険料率は全体で1.60%で、40歳以上の従業員と会社がそれぞれ0.80%ずつ負担します。40歳未満の方には介護保険料の負担はありません。)
  • 厚生年金保険料9.15%(従業員負担分)
    (厚生年金保険料率は全体で18.30%で、その半分を従業員が負担します。2017年度以降、この率で固定されています。)
  • 雇用保険料(一般の事業の場合):0.60%(労働者負担分)
    (雇用保険料は業種等によって異なりますが、一般的な事業では労働者が0.6%、事業主が0.95%を負担し、合計1.55%の料率となっています【令和6年度据置】。)
  • 子育て支援金拠出金(少子化対策拠出金):0%(全額事業主負担)
    *(「子ども・子育て支援拠出金」として事業主が**0.36%*を負担。現行制度では従業員の直接負担はありませんが、社会保険料の一種として企業から徴収されています。詳細は後述します。)

社会保険料負担の内訳とシミュレーション(年収500万円例)

上記の各保険料率が実際の給与からどの程度の金額になるか、そして総負担に占める割合を見てみます。年収500万円(賞与無し、月収約41.7万円と仮定)で東京都勤務・40歳以上の従業員を想定すると、年間の社会保険料の労働者負担額はおおよそ以下のようになります:

  • 健康保険料:約25万円(月額約2.1万円)
  • 介護保険料:約4万円(月額約3,300円) ※40歳以上の場合
  • 厚生年金保険料:約45.8万円(月額約3.8万円)
  • 雇用保険料:約3万円(月額約2,500円)
  • 子育て支援金拠出金0円(従業員負担なし/企業負担:約1.8万円)

上述の条件では、労働者本人が負担する社会保険料の合計は年間約77.7万円となり、年収500万円に対して約**15.5%に相当します。各項目の負担内訳を割合で見ると、厚生年金保険料が約6割(約59%)と最も大きな割合を占めています。次いで健康保険料が約3割強(約32%)**を占め、介護保険料が約5%, **雇用保険料が約4%**程度となります(40歳未満の場合は介護保険料負担がないぶん全体に占める他項目の割合がやや増えます)。一方、子育て支援金拠出金は従業員負担がないため、労働者の社会保険料内訳には含まれません(企業負担分まで含めた社会全体で見れば僅かながら負担があります)。

子育て支援金制度の概要と健康保険料との一体徴収

**子育て支援金(少子化対策支援金)**は、少子化対策として子ども・子育て世帯を社会全体で支援するための財源拠出制度です。これは元々「児童手当拠出金」として始まった仕組みで、厚生年金適用事業所の事業主が、従業員の標準報酬額に一定率(現在は0.36%)を乗じた額を毎月拠出するものです。拠出金は企業が全額負担し、従業員の給与からは差し引かれません。現在、この拠出金は厚生年金保険料の納付と合わせて徴収され、集められた財源が児童手当など子育て支援策に充てられています。

政府はこの仕組みを拡充・見直しする方針を打ち出しており、令和6年(2024年)6月に**「子ども・子育て支援金制度」の創設を定めた法律が成立しました。2026年度(令和8年度)からは新たにこの子育て支援金が導入され、健康保険料に上乗せする形で徴収される予定です。これは医療保険(健康保険)が被用者から自営業者、高齢者まで国民ほぼ全員をカバーする仕組みであるため、財源負担の裾野を広く確保する狙いがあります。新制度では健康保険料の一部として企業負担だけでなく従業員からも支援金分を徴収する**点が大きな変更です(現行の子育て支援拠出金は企業負担のみ)。なお、2026年度以降も現在の事業主負担による拠出金が直ちになくなるわけではなく、新旧制度を組み合わせて子育て支援の財源に充当していく見込みです。

(例:協会けんぽ等の健康保険に加入している全従業者から、新たに支援金分として医療保険料と一緒に負担徴収し、それとは別に現行どおり事業主も拠出を行う形が検討されています。現時点の制度設計では、被保険者本人に子どもがいるか否かに関わらず一律に負担する仕組みです。)

子育て支援金率引き上げの見通し(将来の負担増)

今後、この子育て支援金の拠出率は段階的に引き上げられる見通しです。政府は2024年度から数年間で少子化対策予算を大幅に拡充する計画を立てており、その財源の一部を支援金による追加負担で賄おうとしています。具体的には、2026年度から2028年度にかけて支援金の料率を段階的に引き上げていく方針が示されており、最終的には医療保険料率ベースで合計約0.6%程度の上乗せ(協会けんぽ平均値の場合)が必要と見込まれています。これは労使折半で負担するため、従業員側も将来的に給与の約0.3%前後を追加で支払う計算になります。平均的な給与水準(年収450~500万円前後)では、年間1万円台半ば(1.3~1.4万円程度)の負担増につながる試算です。つまり、少子化対策強化に伴い社会保険料の負担は今後さらに増加していく見通しであり、現役世代にとって実質的な手取り減少要因となることが予想されます。


主な社会保険料率と負担額の一覧表

以下に、2024年度の各保険料の労働者負担率と、年収500万円の場合の年間負担額・内訳割合の目安をまとめます(東京都・40歳以上想定)。

保険種類保険料率(労働者負担)年収500万円の年間負担額(目安)従業員負担全体に占める割合
健康保険料 (協会けんぽ・東京)約4.99%25万円32%
介護保険料 (40歳以上)0.80%4万円5%
厚生年金保険料9.15%45.8万円59%
雇用保険料0.60%3万円4%
子育て支援金拠出金※0%
(会社負担0.36%)
0円
(会社負担約1.8万円)

※子育て支援金拠出金は現行では従業員負担がないため、上記の「従業員負担全体に占める割合」には含めていません。

要約

  • 社会保険料率(2024年度・労働者負担)は、健康保険約4.99%(協会けんぽ東京の場合)、介護保険0.80%(40歳以上)、厚生年金9.15%、雇用保険**0.60%です(子育て支援金拠出金は企業負担0.36%**で従業員負担なし)。
  • 年収500万円・東京都勤務の場合の社会保険料負担は、労働者本人で年間約77.7万円(給与の約15.5%)となり、その内訳は厚生年金が約6割と最も大きく、次いで健康保険が約3割、介護保険約5%、雇用保険約4%となります。
  • 子育て支援金制度は少子化対策の財源拠出のしくみで、現行では企業が全額負担して厚生年金とともに納付しています。2026年度からは健康保険料と一体化して徴収され、従業員も支援金分を負担する新たな仕組みに移行する予定です。
  • 将来の負担見通しとして、子育て支援金率は段階的に引き上げられる計画であり、それに伴って社会保険料の負担も今後増加していく見込みです(支援金分上乗せにより最終的に健康保険料率で約0.6%程度の引き上げが想定され、労使双方の負担増につながります)。

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