投資の世界で使われる「ベンダー」という言葉は、単に流通業界だけの用語ではなく、投資関連分野でもいくつかの文脈で使われます。基本的な意味は「販売業者・売り手」です。iFinanceの用語集では、「ベンダー(Vendor)は売り主や売り手、販売業者のことで、製品やサービスを利用者に販売する事業者を指す」と説明しています。
投資分野で使われる主な例としては以下のようなものがあります。
金融情報ベンダー
投資判断には大量の市場データや企業情報が必要です。新聞や官公庁の統計だけでは収集に時間がかかるため、企業は「金融情報ベンダー」と呼ばれるデータ提供会社を利用します。Value Advisoryの解説によると、金融情報ベンダーを使うことで業界動向の把握や財務・マーケットデータの取得を瞬時に行い、情報収集や分析にかかる時間を大幅に短縮できるとされ、経営企画や財務、IR業務でベンチマーキングや企業分析、M&A案件情報の収集に使われています。代表例としてRefinitiv Eikon、FactSet、SPEEDA、S&P Capital IQなどが挙げられます。
M&Aにおけるベンダー(売り手)
M&A取引では、ベンダーは「売り手」側を指します。M&Aキャピタルパートナーズの記事では「ベンダーデューデリジェンス」として、売り手企業がM&Aの前に自社の財務・法務・事業状況を整理し買い手に提供するプロセスを説明しており、これをセルサイド(セラーズ)DDとも呼びます。このようにM&Aの世界で「ベンダー」といえば、事業や株式を売却する側のことです。
ベンダーファイナンス/ベンダーリース
資本設備の導入を支援する投資手法として、「ベンダーファイナンス」「ベンダーリース」があります。例えば三菱HCビジネスリースは、販売会社(ベンダー)がリース契約の手続きを行い、自社製品の購入者に対して分割払い・リースなどの金融サービスを迅速に提供する仕組みを「ベンダーリース」と説明しています。このようなファイナンスを使うと、購入者は初期負担を抑えて設備投資ができ、ベンダーは販売促進が図れます。
まとめ
投資における「ベンダー」とは、単に物品を販売する業者だけではなく、金融情報を提供して投資判断を助ける会社、M&Aにおける売り手側、あるいは設備投資で購入者にファイナンスを提供する販売会社など、投資活動に関係する“売り手・提供者”全般を指す用語です。文脈によって意味が変わるので、利用場面に応じてどの「ベンダー」を指しているのかを確認することが重要です。
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