元麻布・元赤坂に見る“元”の意味 ― 町名が語る古地の記憶

「元」は町名の先頭に付けて「もと」と読み、土地の歴史的な中心や起こりを示す語です。古くからの集落が移転したり新しい町名が付けられたとき、その地が元々の集落であることを示すために冠されます。

  • 元赤坂(もとあかさか)
    江戸城の拡張によって赤坂の集落が現在の元赤坂一丁目付近へ移転した際、赤坂の中で最も古くから開けた町であることを強調するために「元」を付けたといわれます。港区の地名看板でも、元赤坂は赤坂で最も古い町であることから「元赤坂町」と呼ばれたと説明しており、「moto(元)」は赤坂のなかで最初に開発された地域を意味するとしています。
  • 元麻布(もとあざぶ)
    麻布の名は1559年の史料に「阿佐布」と出ており、現在の元麻布あたりが麻布村の中心だったとされています。江戸時代、この一帯は村役人が住んだ「本村」(=元村)と呼ばれ、後に町名となった。そのため、麻布地域の中心だった場所を示す町名として「元麻布」が残りました。

要約

「元」は町名の接頭語として「もと」と読み、その地が昔の中心地または最初に開けた地域であることを示します。江戸城拡張で移転した赤坂の旧集落には「元赤坂」と名付けられ、赤坂で最も古い町であることを表しました。麻布村の中心だった地区も「本村(元村)」と呼ばれ、そこが元麻布の名の由来となっています。このように、元赤坂や元麻布の「元」は「ここが元々の赤坂/麻布である」という歴史的な由来を示すものです。

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