日本の「ソープランド」は、表向きは公衆浴場として登録され、女性従業員が個室で男性客の身体を洗いながら親密な関係を築く場として広告されています。この背景には、1956年の売春防止法(1957年施行)が「不特定の相手との性交を対価で行うこと」を売春と定義し、勧誘や場所の提供など周辺行為を処罰する一方で、買い手と売り手そのものは罰則の対象外としたという法制度があります。同法では「特定の相手」との性交や膣性交以外の性的行為は明確に禁止していません。そのため、ソープランド業者は入浴料金とマッサージ料金を分けて受け取り、客と従業員が施設内で“知り合い”になったうえで恋愛関係(自由恋愛)として性的関係に至ったと主張することで、法律上の「売春」に該当しないと解釈してきました。
正(テーゼ): ソープランドは「本番」までOKという主張
- 法の抜け穴 – 売春防止法は“特定の相手”との性交を明示的に禁止しておらず、性交を「膣への挿入」と定義しています。このため、業者は公衆浴場として登録し、入浴中に客と従業員が「親しくなった」として、対価を払うのはマッサージに対してであり、その後の性的行為は自由恋愛の一環だと主張します。
- 登録制とカテゴリー – 1948年の風俗営業取締法(風営法)は、ソープランド、ファッションヘルス、デリバリーヘルスなど、複数のカテゴリーに分類し、警察への登録を義務づけています。ファッションヘルスなどは膣性交を伴わないサービスに限定し、現行法に抵触しないよう運営しますが、ソープランドは“性行為が前提”とされ、特に「風俗の王様」とも呼ばれています。
- 実態 – 2022年に行われた全国調査では、ソープランドは「女性従業員が個室で男性客を入浴させ、潤滑剤を使ったマッサージを行い、通常は膣性交を含む」とされ、政府が許可した施設の中で膣性交が行われる唯一の業態と報告されています。
反(アンチテーゼ): 「本番」は違法または危険であるという見解
- 違法性の指摘 – 売春防止法では「不特定の相手」との性交を売春と定義し、場所の提供や斡旋を禁じています。ソープランドが自由恋愛を装っていても、実際には客が従業員を指名し、膣性交を行う場合が多いため、法の趣旨に反していると批判され、施設が摘発されることもあります。東京の週刊紙が報じた弁護士の解説によると、ソープランドは単に施設を貸しているだけで性的行為は自由恋愛だと主張するが、実際には提供場所として摘発されることがあると指摘されています。
- 捜査の手が及ぶことも – 日本の警察は売春を「必要悪」と見て黙認する傾向がある一方で、時折摘発を行っています。2006年には売春防止法違反で923人が逮捕され、特に場所を提供した者には最大7年の懲役または30万円の罰金が科される可能性があります。
- 健康・社会問題 – 非侵入的な性サービスが多数合法である一方、近年は性感染症の増加が報告され、コンドーム使用率が低いサービスも多いことが公衆衛生上の課題になっています。また、性産業は暴力団の資金源にもなり、女性の搾取や人身取引の温床になるケースも報じられています。
合(ジンテーゼ): 法律と現実のはざまでの複雑な位置づけ
ソープランドの「本番OK」は、法の文言と実際の運営が生み出したグレーゾーンに根差しています。売春防止法は「不特定の相手」との性交を禁止するにとどまり、特定の相手との性交や非膣性交的サービスは対象外です。これに基づきソープランドは公衆浴場として登録し、入浴中に客と従業員が知り合い、自由恋愛によって性交に至ったとする法的フィクションを維持しています。しかし、実際には多くのソープランドで膣性交が行われ、利用者はそれを期待して訪れます。法的にはグレーであり、摘発される例もあるため、「本番までOK」と断言することはできません。公衆衛生・人権の観点からも問題は残り、性労働者の保護と産業の規制をどう両立させるかが今後の課題です。
要約
ソープランドは売春防止法の定義の隙間を利用して存在するが、その合法性は「不特定の相手との性交は売春だが、特定の相手なら合法」という解釈に依存している。客は浴場使用料とマッサージ料を別々に支払い、従業員と知り合いになったと装うことで自由恋愛として性行為を行う。現実には多くのソープランドで膣性交が行われ、警察も黙認する場合が多いが、場所の提供で摘発されることもあり、公衆衛生や搾取の問題も指摘される。したがって、「本番までOK」と一般化するのではなく、法的なグレーゾーンとリスクを理解したうえで議論する必要がある。

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