バークシャー・ハサウェイの現金保有状況と総資産比率(最新)

最新の現金および現金同等物の残高

バークシャー・ハサウェイの2025年第1四半期(3月末)時点での現金および現金同等物の残高は、約3,477億ドルに達しています。これは同社が保有する手元流動資産(現金と短期の米国債など)の合計額で、極めて巨額です。

総資産に対する現金比率

同時点での総資産は約1.16兆ドルに上ります。したがって現金比率(現金÷総資産)はおよそ**30%**となり、バークシャーの資産全体の約3割が現金やそれに準ずる資産で占められていることになります。

過去の傾向との比較

この現金保有高と現金比率は過去と比べても非常に高い水準で、近年は増加傾向にあります。直前の四半期末である2024年末時点の現金残高(約3,342億ドル)からさらに増加しており、四半期ベースでも最高記録を更新しました。また、総資産に占める現金比率も過去には10%台程度だったものが現在は約30%に達しており、歴史的平均と比べても大幅に上昇しています。

バークシャー・ハサウェイの現金比率を、個人投資家が「金(ゴールド)比率」に置き換えて、危機時に金を売却し、株式の安値を拾う戦略を弁証法的に論じます。


【テーゼ(正)】

『バークシャー型の現金比率は市場危機で有効である。』

バークシャー・ハサウェイは、現金比率を高めておくことで、市場暴落時に大量の現金を活用して、割安な資産を積極的に購入できるという明確なメリットを享受している。この「待機資金」を手厚く備える戦略は、ウォーレン・バフェットの成功の根幹であり、歴史的にも市場暴落の際に圧倒的なパフォーマンスをあげていることから、多くの個人投資家が模倣したいと考えるのも当然である。


【アンチテーゼ(反)】

『しかし、個人投資家が現金を高く持ちすぎることは、機会損失が大きい。』

現金(または短期国債)は、市場が上昇基調にある期間、リターンが非常に限定される。また、個人投資家が現金比率を極端に高く設定すると、長期的には機会損失によって資産形成が非効率になるリスクが高い。個人投資家はバークシャーほど投資規模が大きくなく、運用期間や目的が明確に異なるため、バークシャーのような現金保有戦略をそのまま採用することは非合理的になりうる。


【ジンテーゼ(合)】

『現金の代替として「金」を持ち、暴落時に売却・投資資金に充てる戦略は、個人投資家にとってより優れた戦略となり得る。』

個人投資家がバークシャーの現金戦略を単純に模倣するのではなく、現金の代替として「金(ゴールド)」を保有することで、現金戦略のメリットを維持しつつ、機会損失のリスクを低減することができる。

その理由は以下である。

  • 金の価値保存特性
    • 金は通貨価値の低下やインフレに強く、長期的に価値を保持する特性を持つため、現金を大量に持つ場合に発生するインフレリスクを緩和できる。
  • 市場危機時における金価格の上昇傾向
    • 一般的に金融危機や市場暴落時には、安全資産としての金需要が高まり、価格が上昇する傾向がある。このため、株価暴落時に現金化(売却)することで、より多くの資金を調達し、割安になった株式を有利な価格で取得できる可能性がある。
  • 機動性の確保
    • 現物の金だけでなく、流動性が高い金ETFを活用することで、緊急時の資金調達も機動的に行える。金ETFであれば現金同様の流動性を享受でき、株式市場が暴落したタイミングで迅速に売却・現金化が可能である。

【弁証法的総括】

個人投資家がバークシャーの現金比率をそのまま模倣するのは必ずしも最適解ではないが、金という代替手段を使うことで、バークシャーの戦略的優位性(危機時に安値で株式購入)を維持しながら、インフレリスクや機会損失のデメリットを回避できる。

この「金比率を高め、市場危機時に機動的に株式投資を行う」戦略は、個人投資家にとって合理的であり、バークシャー流の現金比率戦略を個人向けに再解釈した洗練された投資方法となるだろう。

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