ガンドラック氏:米国株が他国に劣後する背景

ガンドラック氏(ダブルライン・キャピタルCEO)は、自身の動画配信で米国株のパフォーマンス低迷の背景に資金の国際移動があると指摘しました。まず、米国の債務問題からドル資産売り・金(ゴールド)買いが起こっており、金価格の上昇が続くと見られています。さらに具体的に株式市場の状況を分析し、米国株が他国株に劣後している理由を説明しています。

株式市場のパフォーマンス比較

今年に入ってからの株価上昇率では、米国株より日本株・ドイツ株のほうが高い成績を示しています。例えば年初来の上昇率は米国株が+13.6%である一方、**日本株は+15.6%、ドイツ株は+18.9%**となっています。

  • 米国がウクライナ支援から後退する動きを背景に、欧州諸国は自国の防衛産業への投資を強化しています。
  • これまでは米国株や米国債に向かっていた投資資金が欧州に回るようになり、その資金移動が日独株高の要因の一つとなっています。

資金移動の状況と分析

ガンドラック氏は、米国の対外純資産(米国人の海外資産から外国人の米国資産を差し引いた値)の推移に注目しています。この数値は大きくマイナスに転じ、急速に悪化しており、外国人が米国株や米国債などドル建て資産を大量に購入した結果であると解釈できます。

  • 結果として、2006年から2024年の間に約22兆ドルが海外から米国市場に純流入したと推計されています。
  • この巨額の資金流入がこれまで米国株価を押し上げる原動力の一つとなり、米国株が他国株を上回るパフォーマンスを示してきた背景にあります。

米国から資金流出への転換

しかし今年に入り、これまでの資金流入トレンドには変化の兆しが出ています。ガンドラック氏によれば、米国市場への資金流入が減少・逆転し、資金が米国から引き揚げられ始めている可能性があります。

  • 資金流入が鈍化・逆転すると、ドル建て資産の売り圧力が強まります。その結果、米国株は他国株に対してさらにパフォーマンスで遅れを取るリスクが高まります。
  • 実際に今年の米国株パフォーマンス悪化は、この資金流出の兆候ともとらえられます。

ドル相場の動向と展望

ドル相場にも変化の兆しがあります。リーマンショック後の大規模な金融緩和にもかかわらず、ドル指数は2009年以降上昇を続け、2023年頃まで高値圏にありました。これはドルが基軸通貨であるため、世界中の投資家がドルを買い続けた結果です。他国(日本や英国など)では量的緩和により自国通貨が下落しましたが、米ドルだけは上昇を維持できていました。

  • しかし現在、ドル指数は下落に転じており、米国の債務懸念や地政学的リスクの高まりが背景にあります。
  • こうした状況が続くと、ドル高基調は終わりを告げ、ドル安・米国株安の局面が本格化する可能性が指摘されています。

まとめ

ガンドラック氏の分析によれば、米国株が他国株に劣後している主因は資金フローの変化にあります。かつて巨額の資金が米国市場に流入し株価を押し上げてきましたが、現在はその流れが逆転しつつあるのです。米国の債務問題などによりドル資産から金や海外市場への移動が進んでおり、これが米国株の相対的な低迷を招いています。ドルの優位性の低下が今後も進めば、米国株には引き続き下押し圧力がかかると見られます。

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