投資判断の最終的な責任はご自身にあり、以下は一般的な情報提供に過ぎません。
1. GDXとGLDMの性質と最近のパフォーマンス
- **GDX(ヴァンエック・金鉱株ETF)**は金価格に連動する金鉱山会社の株式を束ねたETFで、ニューヨーク証券取引所Arcaのゴールド・マイナーズ指数を追跡します。金価格の上昇が企業利益にレバレッジ効果をもたらすため、金より値動きが大きいのが特徴です。
- **GLDM(SPDR Gold MiniShares)**は実物金の価格(LBMA(ロンドン貴金属市場協会)金価格)を直接追跡するETFで、裏付けとなる金塊が保管されています。金価格の動きを純粋に反映するため、金鉱株より安定しています。
- 2025年10月21日時点の年初来リターンはGDXが約136.98%とGLDMの66.74%を大きく上回っています。しかしボラティリティ(1日あたりの標準偏差)はGDXが35.51%、GLDMが18.49%とGDXの方が2倍近く高く、最大ドローダウンもGDXの方が深いことが分かります。
2. テーゼ(GDXが有利と考える理由)
- レバレッジ効果 – 金鉱山会社は生産コストが固定的なため、金価格が上昇すると利益が増幅され株価が大きく上がる。このため金そのものよりも上昇率が高くなる可能性があります。
- 好材料の連鎖 – エコノミーの減速懸念・地政学リスクや通商摩擦が金需要を押し上げ、金鉱株への資金流入が続いている。Sprottのレポートでも、2025年は金鉱株指数が前年末比50%超上昇し金の25%を上回っていると指摘し、ウォール街の予測が保守的であるため業績上方修正の余地があると述べています。
- 割安感と投資家の関心不足 – 金鉱株は依然として過小評価されているとされ、株式市場の保守的な金価格想定によるアップサイドが期待できる。
3. アンチテーゼ(GLDMが有利と考える理由)
- ボラティリティとリスク – GDXの価格は個別企業の業績・採掘コスト・M&Aなどに左右され、金価格に対して「レバレッジ・プレー」になっています。そのため下落局面では金そのものより損失が大きくなり得る。ポートフォリオ分析ではGDXの最大ドローダウンが約–80.57%で、GLDMの–21.63%より遥かに大きいことが示されています。
- 金利上昇やリスクオンへの転換 – 金鉱株は景気減速や金利低下局面で買われやすいが、中央銀行が利上げや引き締めに転じると金価格が下押しされ、金鉱株も下落しやすい。経済情勢が改善すれば投資資金が株式や他資産に移り、金市場の需要が減少する可能性もあります。
- 費用と長期的安定性 – GDXの経費率は0.53%、GLDMは0.18%と低コスト。長期投資や資産保全が目的なら、安定的に金価格を追跡するGLDMの方が適していると考えられます。
4. ジンテーゼ(統合した見解)
上記のテーゼ・アンチテーゼを統合すると、「どちらが上がりやすいか」は投資家のリスク許容度や市場環境次第と言えます。
- 強気シナリオ: 地政学リスク・インフレ懸念が続き金価格が上昇する場合、金鉱山企業の利益は増幅されるためGDXが金より大きな上昇を見せる可能性があります。Sprottは金鉱株が過小評価されており上昇余地があると述べています。
- 慎重シナリオ: 金利が上昇し景気が持ち直す場合や金価格が調整局面に入る場合、GDXは値下がりリスクも大きく、安定資産としての金連動ETF(GLDM/GLD)の方が損失を抑えやすい。ボラティリティが低く経費率も安いことから、長期的な保有やリスク分散にはGLDMが適しています。
要約
- GDXは金価格に対するレバレッジ効果により2025年に大きく上昇し、年初来リターンは約137%とGLDMの倍以上。しかし、ボラティリティや最大ドローダウンが非常に大きいため、金の上昇が継続しなければ急落するリスクがあります。
- GLDMは裏付けとなる金そのものに投資するため値動きが安定しており、経費率も低い。金価格が調整した場合や長期保有には向いています。
- 結論として、強いインフレや地政学リスクが続き金価格の上昇が期待される局面ではGDXの上値余地が大きいですが、景気回復や金利上昇局面ではGLDMの方が損失を抑えやすいでしょう。投資判断はリスク許容度や資産配分計画に基づき慎重に行ってください。
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