200%定率法と250%定率法の違い、および改定償却率の仕組みと適用ルール

200%定率法と250%定率法の違い

項目250%定率法200%定率法主な違い・背景
償却率の水準定額法償却率の2.5倍を用いる。定額法償却率の2倍を用いる。250%定率法は耐用年数が短い資産では償却率が高く、取得直後に多額の減価償却費を計上できる。一例として耐用年数10年の資産なら0.25(定額法償却率0.1×2.5)、2年の資産なら1.0となり初年度に全額償却が可能だった。
適用期間平成19年4月1日~平成24年3月31日の間に取得した資産に適用される。平成24年4月1日以後に取得した資産に適用され、250%定率法より償却率が引き下げられた。2011年の税制改正により、国際標準との整合や法人税率引き下げの財源確保を目的に200%定率法へ改正された。
償却費計算の特徴初期の償却額が大きく、耐用年数が短い資産では1年で全額償却できるなど節税効果が高かった。初期の償却額は250%定率法より少なく、償却期間全体で見れば総額は同じだが、償却のピークが緩やかになる。企業の設備投資タイミングによって節税効果やキャッシュフローが変わるため、改正時に資産取得計画の見直しが必要となった。

改定償却率の考え方

  • 定率法の基本計算
    定率法では毎年の減価償却費を「期首帳簿価額×定率法償却率」で計算します。しかし、耐用年数が近づくにつれ償却額が小さくなり、残り期間で帳簿価額を償却し切れなくなることがあります。
  • 償却保証額との比較
    そこで、定率法では「償却保証額(取得価額×保証率)」を設け、通常の減価償却費がこの保証額を下回るかどうかを判定します。
  • 改定取得価額と改定償却率
    通常の償却額が保証額を下回った最初の年から、定額法に切り替えて残り期間を均等償却します。その際に用いる帳簿価額を「改定取得価額」、均等償却に用いる率を「改定償却率」と呼びます。改定取得価額は保証額を下回った年の期首未償却残高であり、改定償却率はその資産の耐用年数に応じて定額法の償却率と同様の水準に設定されています。
  • 具体例(200%定率法)
    100万円・耐用年数8年の資産を200%定率法で償却すると、償却率は0.250、改定償却率は0.334、保証率は0.07909です。5年目の通常の減価償却額が保証額79,090円を下回ると、期首未償却残高237,306円を改定取得価額とし、改定償却率0.334を掛けて79,260円を計上し、その後は毎期同額を償却します。
  • 改定償却率の意義
    改定償却率は残存期間内に均等に償却するための率であり、200%定率法の場合は定額法の償却率(残存期間に基づく逆数)と同じです。例えば耐用年数7年の場合は0.334(残り3年なら1÷3)、耐用年数5年の場合は0.5(残り2年なら1÷2)といった具合に設定され、償却額を一定に保ちます。

要約

  • 200%定率法と250%定率法の違いは、定額法償却率に乗じる倍率が2倍か2.5倍かの違いであり、取得時期によって適用が分かれます。250%定率法は初期に多額の償却を計上できましたが、2012年以後に取得した資産は200%定率法に変更され、償却速度が緩やかになりました。
  • 改定償却率は定率法の償却額が償却保証額を下回った場合に定額法へ移行する際の率で、改定取得価額(保証額を下回った年の期首未償却残高)に掛けて計算します。この率は残りの耐用年数に応じて定められ、残存期間内に帳簿価額を均等に償却するための指標です。

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