Ken Kurahashi

処世術

兄弟は他人・親子の情とは異なる

問題の所在日本には「兄弟は他人の始まり」ということわざがある。この言葉は、血を分けた兄弟であっても、それぞれが結婚し家庭を持つようになれば、情愛もそちらに移り、赤の他人のような関係になるという意味だと解説される。血縁の存在でありながら兄弟姉...
税務会計

中小企業会計要領における勘定科目の並び順とその柔軟な運用

中小企業庁が公表している「中小企業の会計に関する基本要領」では、財務諸表の様式例をまとめた「Ⅲ.様式集」に貸借対照表の記載例が示されています。様式例では、資産の部と負債の部を区分し、企業が一般的に用いる勘定科目が上から下へ流動性や性質に沿っ...
政治経済

パウエル議長の「ほど遠い」発言に見るFRBの慎重な舵取り

2025年10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利を0.25%引き下げ、誘導目標を3.75%〜4.00%の範囲とすることが決定されました。量的引き締め(QT)は12月1日で終了とし、FRBの総資産規模を一定程度に維持する方針が示...
処世術

陰謀論と情弱の親和性 ― 「知の欠乏」と「誤った知の代用品」

陰謀論とは、世の中の出来事を「秘密の共謀」や悪意ある勢力の暗躍によって説明するものである。疫学や気候変動に関する科学的な説明を否定し、証拠を欠いた複雑で反証困難な仮説を組み立てることが多い。こうした説明は学術的基準では妥当性を欠くが、一定の...
投資

日本株・米地銀問題・AI循環投資

序論2025年秋の世界金融市場では、日本株の史上高値、米国の地銀不安、そしてAI関連企業による巨額相互投資が同時進行している。それぞれは相互に関連しながらも矛盾を含む要素を抱え、投資家にとってはチャンスとリスクが絡み合う状況となっている。本...
投資

トランプ政権下の株高と必然的調整

正:割高な市場と必然の修正極端なバリュエーション 米国株式市場はシラーCAPE比率が約37.5と過去100年で3番目に高い水準にあり、ドットコムバブル期並みの過熱ぶりです。この指標は企業利益に対する株価の倍率を示し、過去の平均を大きく上回る...
投資

ゴールドマン・サックスの為替モデル

命題(テーゼ):円高への回帰論 ゴールドマン・サックスやJPモルガンは、日銀の金融政策が正常化へ向かい、実質金利差が縮小することで、長期的に円高(1ドル=100円前後)に戻ると予測した。彼らのモデルは購買力平価に加え生産性や貿易構造の差を織...
投資

上昇と崩落の狭間にある市場

テーゼ(肯定的な見方)継続する上昇トレンドと勝機:金、米国株、日本株において、2024年末から2025年にかけて上昇トレンドが続き、「押し目買い」「短期モメンタム投資」が有効という立場がある。特に米AI主要銘柄の復調や、高市政権による安全保...
投資

米国株バブルの延命と崩壊

正:金融緩和と“バブル延命”の論理バブル指標は高水準でも“すぐには崩壊しない” レイ・ダリオ氏は2025年のCNBCインタビューで、価格水準だけでなく投資家の層や融資状況など複合的な指標で測った「バブル指標が相当高い」と語っています。しかし...
政治経済

中央銀行の物価安定と雇用安定

1. 中央銀行の使命――価格と雇用の安定中央銀行は紙幣発行権を持つ一国の金融の要である。多くの先進国ではインフレ率を低く安定させることが中心的な使命とされており、欧州中央銀行(ECB)は政策の「第一義的目的は物価安定」であると明示している。...