Ken Kurahashi

金融

中立金利とターミナルレート―均衡点と到達点

正(テーゼ):両者は一致するという見方中立金利とは、経済を過熱も減速もさせない均衡的な政策金利の水準を指します。自然利子率(景気を中立に保つ実質金利)に期待インフレ率を加えたものが名目中立金利であり、潜在成長率や人口動態などの構造要因に依存...
金融

後手に回る中央銀行――ビハインド・ザ・カーブ

金融における「ビハインド・ザ・カーブ(Behind the curve)」は、中央銀行など金融当局が景気の変化に対して後手に回る状態を指します。景気後退期に後追いで急激な金融緩和を行ったり、物価が急上昇しているにもかかわらず利上げを遅らせる...
税務会計

利益か所得か ― 企業会計と税務会計の対立と統合

はじめに企業会計原則は営利企業が行う会計処理の規範であり、財務会計・管理会計を含む広義の会計全般を支えている。一方、税務会計は税金計算を目的とする会計で、財務会計の結果を税法の規定に従って調整し課税所得や納税額を算出する。両者は互いに密接に...
通貨

ドルの希薄化と金の再評価 ― 通貨供給量増大の帰結

グラフが示す通り、ニクソン・ショック以降の半世紀で米国のM2は持続的に拡大し、特に金融危機やコロナ禍後には急増しています。一方、金価格は急上昇と調整を繰り返しながら長期的には上昇トレンドにあります。このデータをもとに、通貨供給量の増大と金価...
通貨

信用が支え、金が補完する

テーゼ:通貨はその国の財・サービスの購入権経済学では、通貨は主に「交換手段」「価値貯蔵」「価値尺度」「支払手段」という機能を果たす。その中でも「交換手段」としての役割が最も重要であり、現金や銀行預金など人々が広く受け入れるものが貨幣となる。...
相続

子も親もいない時代の相続論――甥・姪と民法の境界線

日本の相続では、民法により相続人となる順位が決められており、配偶者は常に相続人で、第1順位は子、子がいない場合に第2順位の直系尊属(親・祖父母など)、さらに親が亡くなっている場合に第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。甥や姪は兄弟姉妹(第3...
市場

アベノミクスとトランプ経済学――成功の種はなぜ後に副作用となるのか

1 アベノミクスのテーゼ:需要の創出によるデフレ脱却2013年に始まったアベノミクスは、①大胆な金融緩和、②機動的な財政政策、③成長戦略による構造改革という「三本の矢」によって需要不足を克服し、デフレから脱却することを目指しました。デフレが...
財政

対米黒字の裏側にあるデジタル赤字 ― 日本経済の新たな依存構造

対米輸出とデジタルサービス輸入の実態日本は米国向けに大量の財やサービスを輸出している。日本政策投資銀行のレポートが示す 2023 年のデータでは、日本は米国向けの財輸出 23.0 兆円、サービス輸出 8.1 兆円を記録しており、財とサービス...
インデックス

全世界株式を2倍で買う時代──レバレッジ・オルカンの新潮流

調査概要日本語で「全世界株式のレバレッジ投資信託」と呼ばれる商品は、全世界株式指数(全世界株式インデックス)に対して約2倍の値動きを目指す投資信託やETFを指します。近年まで日本国内には全世界株式にレバレッジを掛ける投資信託が存在しませんで...
コモディティ

中央銀行はなぜ米国債より金を選び始めたのか

1. 主張:実質金利がマイナスになるとの見通しが金保有を促す金は利息を生まない反面、実質金利が低い(物価上昇率が金利を上回る)局面では機会費用が小さく、価値の保全に役立つと考えられてきました。実質金利が上がると金の保有コストが増え、下がると...