ニクソンショック以後のS&P500暴落率ワースト10

金融

――底値後1年間のM2・マネタリーベース増加量

  • 暴落率:直前高値から底値まで
  • 増加期間:S&P500が底値を付けた月から1年後まで
  • M2:季節調整済み
  • マネタリーベース:季節調整なし
  • 増加額の単位:10億ドル
順位暴落局面下落率M2増加額M2増加率マネタリーベース増加額同増加率
1世界金融危機(2007~09年)−56.8%+138.5+1.7%+432.3+26.2%
2ITバブル崩壊(2000~02年)−49.1%+362.9+6.4%+42.9+6.3%
3石油危機・スタグフレーション(1973~74年)−48.2%+104.5+11.7%+4.0+3.8%
4コロナショック(2020年)−33.9%+3,840.1+23.9%+1,955.9+50.4%
5ブラックマンデー(1987年)−33.5%+162.1+5.7%+16.9+6.3%
61980~82年景気後退−27.1%+228.8+12.4%+11.4+6.6%
7インフレ・急速利上げ(2022年)−25.4%−726.6−3.4%+260.9+4.9%
81990年景気後退・湾岸危機−19.9%+100.8+3.1%+14.3+4.6%
9米中摩擦・FRB利上げ(2018年)−19.8%+959.5+6.7%+25.8+0.8%
101976~78年調整局面−19.4%+95.6+7.4%+13.2+10.2%

特に重要な比較

世界金融危機

底値後1年間では、

  • マネタリーベース:+26.2%
  • M2:わずか**+1.7%**

となっています。

FRBは準備預金を大量供給しましたが、銀行融資や民間支出への波及は弱く、中央銀行マネーの増加が広義通貨の増加に直結しませんでした。いわゆる「流動性が銀行部門に滞留した」局面です。

コロナショック

  • マネタリーベース:+50.4%
  • M2:+23.9%

財政給付・信用保証・資産購入が同時に行われ、中央銀行マネーが民間預金の増加にまで波及しました。過去の暴落対応の中でも、実体経済へ届いた通貨供給として突出しています。

2022年

  • マネタリーベース:+4.9%
  • M2:−3.4%

マネタリーベースが小幅に増えても、広義通貨であるM2は減少しました。したがって、マネタリーベースの増加だけを見て「金融緩和」と判断するのは危険です。

結論

株価暴落後にFRBがマネタリーベースを増やしても、それが銀行融資・預金・支出へ波及しなければ、M2は十分に増えない。

2008年は「中央銀行内に滞留する通貨」、2020年は「民間部門まで流れ込む通貨」、2022年は「インフレ抑制下で縮小する広義通貨」という違いが表れています。

マネタリーベースは「流動性供給の入口」、M2は「民間経済まで届いた通貨量」と捉えると、暴落後の政策効果を比較しやすくなります。

データは、FRB原系列を収録するFREDのM2(M2SL)およびMonetary Base: Total(BOGMBASE)から算出しました。マネタリーベースは「流通通貨+準備預金」と定義されています。

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