12月18日に、紅海でノルウェーのタンカーが新イラン武装組織のフーシ派の攻撃を受けた。紅海やスエズ運河の運行を避け、アフリカの喜望峰を迂回する動きが広がり、航行距離の延長による用船料の上昇を見込んで、海運株が軒並み上昇している。
フーシ派はイエメン西部を根拠地とし、2015年のイエメン内戦以来、サウジアラビアと対立している。フーシ派はイスラム教シーア派であり、同派のイランの支援を受けており、サウジアラビアは米国の同盟国なため、当内戦は米国とイランの代理戦争としての性格もある。
米国とイランの対立は歴史的に長く、古くは1950年台のモサテグ政権打倒に始まるが、直近ではオバマ政権が締結した核合意をトランプ政権が反故にし、経済制裁を課したことに因る。今も核合意に参加したEUを含めた再合意を目指す協議が続いているが、米国とイランに雪解けの兆しは見られない。
今年10月に起きた中東の米軍施設への攻撃の仕業はフーシ派によるもので、背後にイランがあることをバイデン大統領自ら会見で明らかにしている。つまり、両国の対立は一朝一夕には解消されず、フーシ派を介した米国への攻撃という名の抗議は継続するだろう。
確かに、カザ侵攻につきハマス寄りの和解になったら、イランもフーシ派も手を緩めるだろう。しかし、イスラエルはハマスを殲滅する覚悟であり、この戦争が終わる目途は立っていない。
よって、イエメン沖の紅海の治安は今後も悪く、スエズ運河を航行する船舶が別の迂回ルートを選択するため、航行距離が増加し、船舶の用船料の上昇が続くと考えられる。
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