特例贈与財産(特例贈与財産制度)

用語

特例贈与財産とは、直系尊属(祖父母や両親)から直系卑属(子や孫)への贈与であり、一定の条件を満たす場合に、通常の贈与税の基礎控除(110万円)に加え、特例税率が適用される財産を指します。これは、相続税の補完的な位置づけとして設けられている制度です。


特例贈与財産の特徴

  1. 適用対象者
    • 贈与者直系尊属(祖父母や両親)
    • 受贈者直系卑属(18歳以上の子や孫)
      • ※2022年4月1日以降の贈与から、成人年齢の引き下げに伴い、適用年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に変更。
  2. 税率の優遇
    • 特例贈与財産には**「特例税率」**(一般贈与財産よりも低い税率)が適用される。
    • 例えば、500万円の贈与を受けた場合、特例税率のほうが一般税率よりも負担が軽くなる。
  3. 特例贈与財産と一般贈与財産の違い
    • 特例贈与財産直系尊属からの贈与(特例税率が適用)
    • 一般贈与財産それ以外の贈与(兄弟姉妹、叔父叔母、他人からの贈与など)
  4. 相続税との関係
    • 特例贈与財産は「生前贈与」として、相続対策の一環として利用されることが多い。
    • ただし、贈与者が贈与後3年以内に死亡した場合、その贈与財産は相続財産に含めて相続税が計算される(相続税の加算対象)。

特例税率の例(2024年時点)

課税価格(贈与額−基礎控除110万円)一般税率(親族以外含む)特例税率(直系尊属→直系卑属)
200万円以下10%10%
300万円以下15%10%
400万円以下20%15%
600万円以下30%15%
1,000万円以下40%20%
1,500万円以下45%30%
3,000万円以下50%40%
4,500万円超55%45%

特例贈与財産のほうが、一般贈与よりも低い税率で済むため、親から子、祖父母から孫への資産移転の際に有利になります。


注意点

  • 配偶者や兄弟姉妹への贈与は特例の対象外(一般贈与税率が適用)
  • 「相続時精算課税制度」とは別制度(相続時精算課税制度を選択した場合は、この特例税率を利用できない)
  • 相続対策として利用されるが、贈与後3年以内の相続では課税関係に注意

活用例

孫への教育資金贈与  - 祖父母から孫へ生前贈与を行う場合、特例税率を活用することで節税しながら資産移転が可能。

親から子への住宅資金贈与  - 住宅取得資金の贈与と組み合わせると、一定額まで贈与税が非課税となる優遇措置も利用可能。

事業承継対策  - 会社の株式や資産を生前贈与する際、特例税率を活用することで税負担を抑えることができる。


まとめ

特例贈与財産は、直系尊属(祖父母・父母)から直系卑属(子・孫)への贈与に適用される特例税率の対象財産です。通常の贈与よりも税率が低く抑えられるため、相続税対策や生前の資産移転に活用されることが多いです。

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