8%利回り達成に必要な勝ち日数の計算
100営業日間で各日ごとに資産が+1%(勝ち)または-1%(負け)で変動するモデルを考えます。この複利モデルでは、最終的な資産価値は初期値に対し日々の増減をすべて乗じたものになります。具体的には、勝ち日数を$x$日とすると、最終資産は**$(1.01)^x \times (0.99)^{100-x}$倍**になります。ここで$(1.01)$は勝ち日の資産倍率(+1%の増加)、$(0.99)$は負け日の倍率(-1%の減少)です。8%の利回り(資産が1.08倍)を達成するにはこの積が1.08になればよいので、方程式は以下のようになります:
$(1.01)^x \times (0.99)^{100-x} = 1.08.$
この方程式を満たす勝ち日数$x$を求めるため、両辺の自然対数をとって解きます。式を変形すると、
$x \ln(1.01) + (100 – x)\ln(0.99) = \ln(1.08)$
となり、さらに整理すると
$x[\ln(1.01) – \ln(0.99)] = \ln(1.08) – 100\ln(0.99)$
となります。数値を代入して計算すると、$x \approx 54.1$となりました。つまり約54日勝ち・46日負けのペースで+1%と-1%を繰り返すと、最終的に資産は約1.08倍になる計算です(利回り約+7.8%)。もっとも、勝ち日数は整数しか取れないため正確に8%増にすることはできず、54勝では約7.8%の利回り、55勝では約9.97%の利回りとなります。したがって8%ちょうどに最も近い整数解は勝ち54日・負け46日で、8%を上回るには少なくとも55日勝ちが必要という結果になります。
勝率と利回りの関係
このモデルでは、勝率(全日数に占める勝ち日数の割合)と最終利回りの関係が複利効果により非線形になります。まず勝率50%(50日勝ち・50日負け)の場合、最終資産はほぼ元本割れになります。+1%の翌日に-1%となると資産は元の99.99%にしか戻らず、50勝50敗を積み重ねると**$(1.01 \times 0.99)^{50} \approx 0.9950$(約99.5%)と、初期資産の0.5%減で終わります。このように勝率がちょうど5割では複利の影響で微損**となり、プラスの利回りを得るには勝率が50%をわずかに超える必要があります(※本モデルでは理論上約50.25%が損益分岐点)。
一方、勝率が上がるほど最終利回りは正の値となり、勝率が高いほど利回りも大きくなります。勝率$p$のとき最終増加倍率は$(1.01^p \cdot 0.99^{1-p})^{100}$と表せて$p$が大きいほど値も大きくなります。例えば勝率と利回りの関係は次のようになります(100日間の場合):
- 50%勝ち(50勝50敗): 最終資産約0.995倍=利回り -0.5%(わずかなマイナス)
- 54%勝ち(54勝46敗): 最終資産約1.078倍=利回り +7.8%(8%にほぼ近い)
- 55%勝ち(55勝45敗): 最終資産約1.099倍=利回り +9.9%(勝率54%よりも利回り増加)
- 60%勝ち(60勝40敗): 最終資産約1.215倍=利回り +21.5%(勝率がさらに高くなると利回りも加速度的に増加)
このように、本モデルでは勝率が50%を少し超えれば利回りはプラスになり、勝率が高くなるほど複利効果で利回りは大きく上昇します。特に勝率が高いほど利回りの伸びも非線形に大きくなり、わずかな勝率向上が長期では大きな利回り差を生みます。
まとめ
- 勝ち日数と利回りの計算: 100日中$x$日勝ちの日がある場合、最終資産倍率は$(1.01)^x(0.99)^{100-x}$となります。この式を1.08(+8%)に設定して解くと、**$x \approx 54.1$となり、約54勝・46敗で8%に達する計算結果となりました。整数解では54勝46敗で利回り約7.8%(僅かに不足)、55勝45敗で約9.97%(やや超過)となるため、8%利回りを得るには概ね「54勝46敗」**程度の成績が必要といえます。
- 勝率と利回りの関係: 日毎±1%の複利モデルでは、勝率50%では資産は微減し(約-0.5%)、50%を少し超える勝率でようやくプラス利回りに転じることが分かります。勝率が高まるほど利回りは非線形に増加し、例えば勝率54%で約+8%、55%で約+10%、60%では+20%超と、勝率上昇に伴い利回りが大きく向上します(複利効果)。
コメント