ドル本位制(Dollar Standard)とは、米国ドルを国際的な基軸通貨として、国際貿易や金融取引が行われる通貨制度のことを指す。広義には、世界各国の通貨価値が米ドルを基準として評価され、外貨準備や決済通貨としてドルが広く利用される仕組みを示す。
ドル本位制の特徴
- 基軸通貨としての米ドル
- 国際貿易や資源取引(特に原油)がドル建てで行われる。
- 外貨準備の中心
- 各国中央銀行が外貨準備の多くを米ドルで保有している。
- 米国金融政策の世界的影響
- 米連邦準備制度理事会(FRB)の政策が世界経済に直接影響を及ぼす。
歴史的背景
- 1944年、ブレトン・ウッズ協定により米ドルが国際通貨の中心となり、金本位制(金1オンス=35ドル)を基盤としてドルが各国通貨と結びついた。
- 1971年のニクソン・ショック(金兌換停止)以降、ドルの価値は金に連動しなくなったが、ドルが世界の基軸通貨である地位は継続した。
ドル本位制のメリット
- 国際貿易や金融市場において通貨交換の手間が省かれ、決済コストが軽減される。
- 危機時にはドルへの「安全資産」としての逃避(Flight to quality)が起きやすい。
ドル本位制の課題
- 米国の財政赤字や金融政策が世界経済に及ぼす波及効果が大きく、世界経済が米国経済の動向に左右されやすい。
- ドルへの過度な依存が米国の経済状況や政策決定に対する他国の脆弱性を高める。
要約
ドル本位制とは、国際取引や外貨準備の中心を米ドルとする通貨制度であり、第二次大戦後のブレトン・ウッズ体制以降、世界経済を支えてきた仕組みである。現在では金との連動は無いが、依然として米ドルが世界経済の基軸通貨としての地位を保っている。
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