米国市場のレバレッジ型ビットコインETF

上場中のレバレッジ型ビットコインETF

  • BITX(2倍ロング) – ティッカー: BITX。運用会社はVolatility Shares。2023年6月27日にCBOE取引所で上場。ビットコイン先物を用い、ビットコイン価格の日次変動の2倍のリターンを目指すETFですvolatilityshares.comsec.gov
  • BITU(2倍ロング) – ティッカー: BITU。運用会社はProShare Advisors(ProShares)。2024年4月2日にNYSEで上場。Bloombergビットコイン指数(200%)連動のインデックスを対象とし、スワップ取引などで2倍のレバレッジをかけて日次リターンを追求しますetfdb.comproshares.com
  • SBIT(-2倍ショート) – ティッカー: SBIT。運用会社はProShare Advisors(ProShares)。2024年4月2日にNYSEで上場。BITUと同時上場の逆2倍のレバレッジETFで、ビットコイン価格下落時に2倍の利益を狙います(ビットコイン指数に対し-2倍の運用)。ProSharesによれば先物およびスワップ取引を活用し、ビットコインを直接空売りせず運用します。
  • BTCL(2倍ロング) – ティッカー: BTCL。運用会社はREX Shares/Tuttle Capital。2024年7月10日にCboe取引所で上場。スポットビットコイン連動型の2倍日次レバレッジETFです。ビットコイン現物価格に連動する指数やビットコイン現物ETFを基にしたスワップで2倍のレバレッジを実現しますsec.govrexshares.com
  • BTCZ(-2倍ショート) – ティッカー: BTCZ。運用会社はREX Shares/Tuttle Capital。2024年7月10日上場。BTCLの逆で、逆2倍のレバレッジを持つビットコインETFです。BTCL同様に現物ビットコインETFへのスワップ取引で逆2倍のパフォーマンスを狙いますsec.govrexshares.com

※現在、3倍(3x)レバレッジ型のビットコインETFは上場または公表されていません。

各ETFの運用手法

  • 先物連動型:BITXはCMEビットコイン先物を主に利用し、日次で2倍のビットコイン価格変動を追求しますvolatilityshares.comsec.gov。ProSharesのBITU/SBITも先物指数(Bloomberg Bitcoin Index連動)やスワップでレバレッジを実現し、ビットコインを直接保有しませんetfdb.comproshares.com
  • 現物連動スワップ型:BTCL/BTCZ(REX Shares)はスポットのビットコインETFや指数を参照するスワップ契約を用います。例えばBTCLはiShares Bitcoin Trust(現物連動ETF)連動のスワップで200%のレバレッジをかけ、BTCZは同ETFの逆相関スワップで-200%を目指しますsec.govrexshares.com。いずれも市場で取引されるビットコイン関連ETFを「参照資産」とし、日次でポートフォリオを再調整する方式ですsec.govrexshares.com
  • その他の特徴:すべての上記ETFは日次リセット型レバレッジを採用しており、毎営業日クローズ時にレバレッジ比率(例:2倍)に合わせてリバランスします。このため短期の価格変動に連動するよう設計されていますsec.govsec.gov

投資家が注意すべきリスク

  • 高ボラティリティと急激な損失リスク:ビットコイン自体の価格変動が極めて大きいため、2倍ETFでは価格上下の振れ幅がさらに拡大します。特にビットコイン価格が短期間に大幅下落した場合、レバレッジETFは元本を全損するリスクがあります(実際、1日で全損する可能性も想定されています)volatilityshares.comsec.gov
  • 複利効果(コンパウンド効果):これらのETFは日次でリターンを複利運用するため、長期保有では理論上の倍率通りに動きません。日々の価格変動の度にレバレッジ比率がリセットされるため、ボラティリティが高いと指数の単純2倍以上の損失を出すケースが生じますsec.govsec.gov。たとえば短期間に上下に変動を繰り返すと、元の価格を上回ってもレバレッジETFの価値は下がる「ボラティリティ・デケイ(減衰効果)」が発生します。
  • 短期売買向けの運用設計:上述の特性から、これらのETFは基本的に短期トレード用の商品ですvolatilityshares.comsec.gov。長期投資には向かず、買い持ちすると期待リターンと乖離する可能性が高いです。目標期間が1日を超えると、ETFのリターンは日次複利の結果となり、ボラティリティがない場合でも損失になる場合がありますsec.govsec.gov
  • コストとトラッキング誤差:高い運用コスト(管理手数料や先物・スワップコスト)や頻繁なリバランスによる取引コストも負担になります。先物ベースの場合は先物取引特有のロールコストやコンタンゴ(先物高)リスク、スワップ方式では対象となる参照ETFの運用コストも影響します。また、相場急変時には思った以上に指数から乖離することがあります。
  • その他:レバレッジ特有のリスクとして、例えば参照するビットコイン指数やETFが時価と乖離する問題、また米SECルール改正の動向など規制リスクも考慮すべきです。

申請中・承認待ちのETF

  • 現時点で米国でSEC申請中のレバレッジ型ビットコインETFには、World Funds Trust(T-Rex)によるスポットビットコイン連動型の商品があります。2024年初頭に提出された目論見書では、日次で1.5倍/2倍およびそれらの逆(-1.5倍/ -2倍)を目指す一連のETFを計画しており、名称には「T-Rex 1.5X(または2X)Long/Inverse Spot Bitcoin Daily Target ETF」が含まれていますsec.govrexshares.com。これらは登録申請中で、実際の上場にはSECの承認が必要です。3倍レバレッジETFについては現時点で具体的な申請情報は報じられていません。

まとめ

米国市場にはビットコイン価格の2倍(または逆2倍)レバレッジを日次で追求するETFが複数上場しており、ProShares(BITU/ SBIT)、Volatility Shares(BITX)、REX Shares/Tuttle(BTCL/ BTCZ)が主要な提供者です。これらはビットコイン現物を直接保有せず、先物やスワップでレバレッジを実現する仕組みで、短期トレード向けの仕組みです。一方、高ボラティリティ下での複利効果などにより想定通りのパフォーマンスにならないリスクが大きく、長期投資には適しません。現在、World Funds Trustなどから新たなスポット連動型レバレッジETFの申請も出されています。これらETFの特徴とリスクを十分理解した上で、取引・投資することが重要です。

引用

BITX | 2x Bitcoin Strategy ETF

https://www.volatilityshares.com/bitxhttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1884021/000138713123004119/btix-485apos_032323.htmhttps://etfdb.com/advisor_reports/BITU/ProShares Launches First ETF to Target 2x Daily Bitcoin Returnshttps://www.proshares.com/press-releases/proshares-launches-first-etf-to-target-2x-daily-bitcoin-returnshttps://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1396092/000199937124000047/trex2x-485apos_010324.htmBTCL – REX Shareshttps://www.rexshares.com/btcl/BTCZ – REX Shareshttps://www.rexshares.com/btcz/BITX | 2x Bitcoin Strategy ETF

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