ニクソンショックによって米ドルと金の兌換が停止され、ブレトン・ウッズ体制が終焉すると、それまで1オンス35ドルで固定されていた金価格は自由に取引されるようになりました。ドルは1972年に38ドル、1973年には42.22ドルへと切り下げられ、金価格は市場要因に敏感に反応するようになりました。
1971年の年間平均金価格は約40.97ドル/オンスでした。その後の10年間で金価格は急上昇し、インフレやオイルショック、地政学的な混乱を背景に1979年には320.98ドル、1980年には年間平均607.76ドルへと達しました。1980年1月には瞬間的に850ドル前後という史上最高値を付けています。翌1981年の平均価格は449.58ドルで、1971年比で約11倍に相当します。ピーク時の平均607.76ドルと比較すると約15倍、850ドルの瞬間高値と固定価格35ドルを比べると約24倍です。
以下は1971〜1981年の平均金価格の推移です(単位:米ドル/トロイオンス)。
年 | 平均価格 | 主な背景 |
---|---|---|
1971 | 約40.97 | ニクソンショックで金兌換停止、自由取引開始 |
1972 | 59.10 | ドル安・インフレ懸念による上昇 |
1973 | 99.95 | 中東戦争と第一次オイルショック |
1974 | 161.68 | スタグフレーション下で需要増 |
1975 | 160.41 | 景気後退で一時的に横ばい |
1976 | 123.79 | 景気回復とドル高で調整 |
1977 | 148.95 | インフレ懸念再燃 |
1978 | 196.80 | ドル危機が深刻化 |
1979 | 320.98 | イラン革命や第2次オイルショック |
1980 | 607.76 | ピーク時は850ドル前後に達する |
1981 | 449.58 | ボルカーショックで急落するも高水準 |
グラフを見ると、1970年代後半から1980年にかけて金価格が急激に上昇し、1980年をピークに調整する様子がわかります。
このように、ニクソンショック後の10年間で金価格は一桁から数百ドルへと飛躍的に上昇しました。背景にはドルの信用低下や急激なインフレ、エネルギー危機といったマクロ経済の不安定化があり、金が安全資産として買われたことが要因と考えられます。
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