確かに、短期的な金融緩和期待や政権の財政出動や規制緩和による景気下支え策は2026年中間選挙まで株式市場を押し上げる要因になる。実際、利下げは企業や家計の資金調達コストを引き下げて消費と投資を促し、総需要を拡大させる。こうした政策の効果は数カ月後に企業業績の改善として表れるため、景気は利下げの数カ月後に持ち直す傾向がある。さらに、金利低下は債券利回りも押し下げるため、株式の相対的な魅力が高まる「代替効果」や、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く際に用いる割引率が下がる「現在価値効果」が働き、株価の上昇を後押しする。
一方で、保護主義的な関税政策はインフレ再燃や企業の投資意欲低下をもたらしやすい。また、2026年5月に任期が満了するパウエル氏後任のFRB議長が大統領の意向に沿って利下げを急げば短期的には株価を支えるが、長期的には通貨価値や物価に悪影響を及ぼす恐れがある。
このため、アノマリー的には中間選挙の年の米国市場は冴えないが、「2026年の中間選挙まで米国市場は堅調」という命題は、短期的な追い風を評価すれば一理ある。他方、中間選挙の行方次第で市場の不確実性が増し波乱の展開が待っているかもしれない。もちろん、歴史的には議会の独占支配又は分割支配による市場パフォーマンスの差はほとんどないという分析もある。しかし、仮に中間選挙に共和党が勝利すれば、先の関税騒動のように自国優先の政策を強権的に打ち出し、市場を混乱に陥れる可能性もある。
よって、投資家は、利下げやAIブームといった追い風を享受しつつも、関税政策や政治リスクに注意を払い、分散投資やリスク管理を徹底する姿勢が求められる。
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