世界の株式市場における機関投資家の投資割合の分析

以下は、機関投資家(年金基金、投資信託、保険会社など)が世界の株式市場でどれくらいの割合の株式を保有しているかを示す主な統計です。日本時間2025年10月9日時点で入手できる直近の公的データは2020年までのものです。

世界全体の株式時価総額に占める機関投資家の割合

  • OECDによる2019年報告書
    OECDの報告書「Owners of the World’s Listed Companies」は、2017年末時点で世界の上場企業約1万社を対象に株主構造を分析しています。報告書によると、上場企業の株式時価総額全体の**41%**を機関投資家が保有しており、これが最大の株主カテゴリーでした。公的セクターは14%、民間企業・戦略的個人(創業家など)は合計18%で、残りはその他の投資家という構成です。機関投資家のうち約65%は米国に拠点を置く投資家でした。
  • 2022年OECDワーキングペーパー(データは2020年末)
    より新しいデータとして、OECDワーキングペーパー「Institutional Investors and Stewardship」は2020年末までの調査結果を掲載しています。この報告では、**機関投資家は上場企業全体の時価総額の約43%(約4.4兆米ドル)**を保有しており、企業や政府部門、個人投資家を大きく上回る最大の株主層であると述べています。
    • この報告書では、機関投資家に次ぐカテゴリーは法人(11%)、公的セクター(10%)、個人(9%)、その他のフリーフロート(直接保有する個人や持分比率が報告義務以下の機関投資家など)27%となっています。
    • 機関投資家の保有比率は地域差が大きく、米国では68%、ヨーロッパで37%、日本で30%、中国を除くアジアでは**18%**という結果が示されています。
  • 大手機関投資家の集中度
    OECDのデータでは、2007年から2019年にかけて、上位50機関投資家の保有株式は実質額で12兆ドルから24兆ドルへと倍増しました。2019年時点で上位3機関投資家は世界の株式時価総額の約9.3%を、上位10社は約15.5%を保有していました。
    また、上位20社や上位50社まで含めると世界の株式市場に対する影響が極めて大きいことが示されています。
  • 別の研究の指摘
    2024年のECGIワーキングペーパーでも、OECDのデータを引用しつつ機関投資家が世界の株式時価総額の約41%を保有していると紹介しています。研究者は、いくつかの国では機関投資家の保有が報告義務の範囲外にある場合があり、実際の割合はこれより大きい可能性があると指摘しています。

まとめ

  • 世界全体では、機関投資家が**おおむね4割強(約41〜43%)**の株式時価総額を保有しており、他の投資主体(法人、公的セクター、個人投資家)よりも支配的な地位にあります。
  • 米国市場では7割弱、ヨーロッパや日本でも3〜4割のシェアを占めています。
  • 機関投資家の資金源は、年金基金や保険会社、投資信託などであり、近年はインデックス運用(パッシブ運用)の拡大によって保有比率が高まっています。

現時点(2025年)までに公開された統計では2020年末の数字が最新であり、世界の株式市場における機関投資家のシェアは概ね4割強と考えられています。世界的な株価変動や新興国市場の拡大により、今後この比率が変動する可能性もあるため、最新の研究が公開され次第確認する必要があります。

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