機関投資家はなぜ金を持たなかったのか:非生産資産から価値保存資産への転換

  • 保有が低いとされる理由 – 金は債券や株式のように利息や配当を生まないため、複利効果を求める投資家にとって非生産的な資産とみなされます。企業収益のような評価基準がないため価値評価が難しく、保守的な機関投資家は国債中心のポートフォリオを構成しているので、金の比率がごくわずかにとどまっています。保管コストもかかることから、欧州などでは金の保有比率が非常に低いと論じています。
  • 需要拡大を示す要因 – 地政学リスクやインフレ懸念の高まりにより、従来の株式と債券の相関が崩れ、実物資産としての金が注目され始めています。金を裏付けとするETFの発達により、現物を保有しなくても機関投資家が少額から金にアクセスできるようになり、世界の現物裏付け型金ETFへの資金流入が過去最大の四半期を記録しています。さらに、2024〜2025年にかけて各国中央銀行が年間1,000トン超のペースで金を購入し続けており、この長期的な買いが金価格を下支えしていることが指摘されています。
  • その他の動き – マイナス実質金利の環境では、利息の付かない金でも他の資産より相対的に有利となり、機関投資家がインフレヘッジとして金への配分を増やしたとの市況分析が紹介されています。中央銀行の継続的な買いが供給を吸収し、価格の下値を押し上げているため、金価格は下落しにくいという見方も示されています。
  • 結論 – 筆者は、これまで機関投資家が金を敬遠してきた背景には金が非生産的であり国債などの伝統的資産を重視する投資慣行があったと認めつつも、近年は世界的なインフレや地政学リスク、米ドル資産への信頼低下により状況が変化していると指摘します。中央銀行の巨額購入やETFの普及によって金へのアクセスが容易になり、ポートフォリオ分散やインフレヘッジの目的で金の需要が増えつつあるため、「機関投資家は金をまったく持たない」という見解は過去の状況を反映したものであり、現在はその前提が揺らぎ始めているとまとめています。

以上のように、金は依然として配当を生まない非生産的資産であるものの、地政学リスクやインフレへの備え、中央銀行の買い支えなどの要因から、機関投資家の金需要は拡大傾向にあると資料は結論づけています。

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