「従たる給与についての扶養控除等申告書」は、主たる給与で控除しきれない配偶者控除や扶養控除がある場合に、副業先などの従たる給与からも一部の人的控除を反映させるための書類です。通常、従たる給与は乙欄で源泉徴収され、高めの税率が適用されますが、この申告書を提出すると扶養親族等の人数に応じて乙欄の税額から1人あたり1,610円(月額表の場合)または50円(日額表の場合)を控除でき、月々の源泉徴収税額が軽減されます。しかし、この書類が年末調整の実施や結果にどう関わるかは別の問題です。
テーゼ(命題):源泉徴収税額には影響するが年末調整には無関係
国税庁のタックスアンサーでは、年末調整は給与所得者の扶養控除等申告書を提出している主たる給与の支払者が行い、従たる給与については原則として年末調整ができないと明記しています。そのため、従たる給与に対して提出する扶養控除等申告書は、あくまで月々の源泉徴収税額を調整するためのものであり、年末調整には反映されません。副業先の給与から控除される税額が減っても、主たる給与の支払者が行う年末調整の仕組みや算定過程は変わらず、従たる給与分は確定申告で合算して精算する必要があります。実際に、複数の給与を受け取る人は年末調整だけでは所得税の精算が終わらないため、確定申告が必須であると専門家も指摘しています。
アンチテーゼ(反対命題):年末調整への間接的な影響や混同の可能性
一方で、従たる給与についての申告書が「年末調整には無関係」と言い切ることに疑問を呈する意見もあります。理由の一つは、この申告書を提出することで副業先の源泉徴収額が減るため、1年分の総源泉徴収額が少なくなり、年末調整や確定申告時の精算額に影響を与えるという側面があるからです。また、年の途中で従たる給与の支払者が主たる給与の支払者に変わった場合には、従たる給与向けの申告書の内容をもとに改めて「給与所得者の扶養控除等申告書」を新しい主たる給与の支払者に提出し直すことになるため、一時的に年末調整に関連する手続きに組み込まれることもあります。さらに、従たる給与が少額で確定申告不要となる場合(年間20万円以下など)には、源泉徴収税額の調整がそのまま年間税額の精算につながるため、年末調整が関係ないかのように感じられるケースもあります。
ジンテーゼ(総合):本質的には源泉徴収の調整であり年末調整とは分離された制度
これらの視点を踏まえると、「従たる給与についての扶養控除等申告書」は源泉徴収税額を減額する効果を持つものの、年末調整の対象給与を広げるわけではないという位置づけが明確です。年末調整は主たる給与のみを対象とするため、従たる給与に対する申告書の提出有無にかかわらず、従たる給与分の税額は確定申告で合算して精算する必要があります。ただし、源泉徴収額の減少によって最終的な還付額や追納額が変わることや、主たる給与の支払者が変わる際に申告書の扱いが問題になる点は意識しておくべきでしょう。制度は二重控除を防ぎつつ、複数の収入源を持つ人が過大な源泉徴収を受けないようにするための調整手段として「従たる給与についての扶養控除等申告書」を位置づけており、年末調整とは別個の仕組みとして運用されています。
まとめ
「従たる給与についての扶養控除等申告書」は、副業先などで源泉徴収税額を調整するためのもので、主たる給与で行われる年末調整とは別の制度です。従たる給与に年末調整は原則として行われないため、複数の勤務先がある人は確定申告で所得税の精算を行います。ただし、この申告書の提出により従たる給与の源泉徴収税額が減ることは、最終的な税額精算に間接的な影響を与え得る点や、年の途中で主従関係が変わった場合の手続きに注意する必要があることを理解しておくことが重要です。

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