トレーディング目的商品の評価益と翌期処理:洗替処理は必要か


関係する会計基準

  • 棚卸資産の評価基準(企業会計基準第9号)
    トレーディング目的で保有する商品は上場株式等のように市場価格に基づき公正価値で評価し、期末時価と帳簿価額との差額を当期損益に計上します。評価差額は売上高の計上区分に純額で表示し、売上原価と相殺する形で開示します。
    同基準では、棚卸資産の評価損を戻す際の処理方法として洗替法(洗替処理)または切放法(切放処理)のいずれかを選択でき、資産区分ごとに一貫して適用すべきとされています。洗替法は期首に前期末に計上した評価差額を逆仕訳により戻して取得原価に戻す方法で、切放法は逆仕訳を行わず期末時価を翌期の取得原価とする方法です。
    金融商品会計の実務指針でも、売買目的有価証券の評価差額は翌期において洗替処理または切放処理のいずれによることもでき、洗替処理を採用した場合は期首に評価差額を振り戻す仕訳を行うことが示されています。
    以上の規定から、トレーディング目的で保有する商品(売買目的有価証券相当)についても、期末に計上した時価評価益を翌期首に洗替処理で戻すか切放法でそのまま翌期の帳簿価額とするか、会社の方針で選択できます。なお、その他有価証券では令和6年公益法人会計基準などで洗替法のみが求められていますが、売買目的有価証券では現在も洗替法と切放法の選択適用が認められています。

質問への回答

洗替処理は必要か

当社のトレーディング目的商品(売買目的有価証券相当)は、期末時価が 8,876,906 円で、帳簿価額との差額である評価益 2,366,337 円を当期の売上高(売上原価と相殺)に計上しています。この評価益の翌期処理については、上記基準により洗替処理と切放処理のいずれかを選択適用できます。したがって、

  • 洗替処理を採用する場合 – 期首に前期末の評価益を逆仕訳で戻す必要があります。洗替処理を行えば帳簿価額を取得原価に戻した上で翌期の損益を計算するため、売却時の損益は取得原価と売却価額の差額で算定します。
  • 切放処理を採用する場合 – 前期末に計上した評価益を戻さず、そのまま期末時価 8,876,906 円を翌期の帳簿価額とします。この場合、洗替仕訳は不要で、売却時の損益は期末時価と売却価額の差額で計算します。

したがって、洗替処理が必須というわけではなく、会社が採用する処理方針によって決定されます。当社が期末の評価差額を「売上高」の純額で表示している場合でも、洗替処理を選ぶか切放処理を選ぶかは自由ですが、一度選択した方法は継続適用が求められます。

洗替処理を選択した場合の期首仕訳

洗替処理では前期末の時価評価益を逆仕訳で戻し、帳簿価額を取得原価に戻します。質問のケースでは、期末時価 8,876,906 円と評価益 2,366,337 円から取得原価は次のように求められます。

取得原価 = 時価 8,876,906 円 − 評価益 2,366,337 円 = 6,510,569 円

この取得原価を翌期首の棚卸資産額とするため、前期末に計上した評価益 2,366,337 円を取り消す逆仕訳を行います。期末の評価益は売上高(売上原価と相殺)として表示しているため、逆仕訳では次のように処理します。

借方科目金額貸方科目金額摘要
売上高(または有価証券評価益)2,366,337円商品(売買目的有価証券)2,366,337円前期末の時価評価益を洗替処理で戻す仕訳
  • 借方:売上高(または有価証券評価益) 2,366,337 円 – 前期末に計上した評価益を取り消します。評価益は売上高と相殺表示されているため、売上高勘定を用いるか有価証券評価益勘定を用いるかは会社の科目設定に従います。
  • 貸方:商品(売買目的有価証券) 2,366,337 円 – 棚卸資産の帳簿価額を取得原価に戻すため、時価評価分を減額します。

この洗替仕訳により、商品勘定の残高は取得原価 6,510,569 円となり、翌期の売却損益は取得原価と売却価額の差額で算出されます。

まとめ

  • トレーディング目的で保有する商品(売買目的有価証券)は、期末に公正価値で評価し、評価差額は当期の売上高に純額表示します。
  • 翌期の評価差額の処理は洗替処理と切放処理のいずれかを選択適用でき、選択した処理方法を継続適用する必要があります。
  • 当社が洗替処理を採用する場合、期首に前期末の評価益 2,366,337 円を逆仕訳して棚卸資産を取得原価(6,510,569 円)に戻す必要があります。逆仕訳は「売上高(または有価証券評価益)/商品(売買目的有価証券)」の形で行います。
  • 切放処理を採用する場合は逆仕訳は不要で、前期末の時価 8,876,906 円が翌期の帳簿価額となります。

以上を踏まえて、評価差額の洗替処理の要否と期首仕訳を判断してください。

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