米国が1971年8月にドルと金の兌換を停止(ニクソン・ショック)すると、固定相場制が崩れ、紙幣に裏付けのない通貨制度への不信とインフレの高進から金価格は急騰しました。翌年以降、第一次・第二次オイルショックなどを背景に物価が二桁台まで上昇し、ドル価値の下落やスタグフレーションが進行しました。インベストペディアによれば、ブレトンウッズ体制崩壊後の1970年代には金は安全資産として買われ、1980年1月には1トロイオンス約665ドルの史上最高値(当時)が記録されました。
当時の金融政策は「ストップ&ゴー」と呼ばれるように、インフレ抑制と景気刺激の間で揺れ動きました。連邦準備制度は1973年に引締めに動いたものの失業率上昇への懸念からすぐに緩和へ転じ、インフレ率は1970年代半ばにいったん5%まで下がったものの、1979年には再び9%前後まで上昇しました。1979年に就任したポール・ボルカーFRB議長は、マネー供給の抑制を最優先課題とし、銀行準備量の管理に政策の焦点を移すと発表。1980年末にはフェデラルファンド金利が20%に達し、インフレ率は1980年3月に11.6%でピークを付けたと連邦準備制度史は記しています。この強烈な引締めにより景気は短期的に後退しましたが、インフレは沈静化し、金価格も1981年以降は調整局面に入りました。
下表およびグラフは1970〜1985年の年間終値ベースの金価格推移を示しています。1970年の1オンス約38.90ドルから1974年には183.77ドル、1979年には459.00ドル、1980年には594.90ドルと急上昇し、ボルカーの高金利政策後は1981年の400.00ドルを経て1985年には327.00ドルへと落ち着いています。インフレ抑制策が効を奏した一方、金価格は1970年代以前の水準には戻らず、法定不換紙幣への不信と地政学的なリスクが続いたことが読み取れます。
グラフ:金価格の推移(1970〜1985年)

このように、ニクソン・ショック後の金高騰は通貨制度の転換とインフレの高進がもたらしたものであり、ボルカー議長による厳しい金融引締め策はインフレを抑え、金価格にも大きな影響を与えました。


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