◾ 正(肯定的な側面)
超過準備付利は、銀行が法定準備額を超えて日銀や他の中央銀行の当座預金口座に預けている「余剰」資金に対して利息を支払う仕組みである。大量の資金供給が行われ、金融機関の準備預金残高が巨額化した場合、従来のように資金量を細かく調整してもコールレートが反応しにくくなる。そこで中央銀行は超過準備にプラス利子を付け、預金保有と短期運用のどちらが有利かという金融機関の裁定行動を通じて、短期金利を誘導する。この方法は日本だけでなく、米連邦準備制度(Fed)が2008年以降取り入れた「利払い付き準備預金制度」や欧州中央銀行(ECB)の「デポジットファシリティ」など、多くの先進国で採用される標準的な政策手法である。利払い水準を操作することで政策金利を上げ下げでき、中央銀行のバランスシートが大きくなっても金利操作を続けられる点が評価される。
◾ 反(否定的な側面)
超過準備付利には批判も多い。第一に、超過準備に利息を付けることで金融機関は日銀当座預金を保有しているだけで収益を得られ、貸出や投資へのインセンティブが低下する可能性が指摘される。第二に、利上げ局面では超過準備に対する利払いも増えるため、中央銀行の利益が圧迫され国庫納付金が減少し、結果的に国民負担になるとの懸念がある。日本の場合、2024年3月の制度見直し後も473兆円超の超過準備が存在しており、付利金利を0.25%引き上げるたびに年1.3兆円規模で利払いが増える計算になる。さらに、米国では利払いによってフェデラルファンド市場の金利に「フロア」を設定するはずが、マネーマーケットの分断により政策金利が想定より下ぶれる場面も生じた。これらの点から、超過準備付利が万能ではなく、量的緩和からの出口戦略や金融市場の構造改革と併せて検討すべきだという批判がある。
◾ 合(統合・総合)
超過準備付利は量的緩和後の金融政策運営に不可欠なツールとなっており、短期金利を効率的に誘導しながらバランスシートの大幅拡大に対応できるという利点がある。一方で、銀行への実質的な補助金や中央銀行の収益悪化といった副作用、金融市場の歪みが指摘されるのも事実である。今後は、①政策金利とバランスシート規模を分離して運営する利点を活かしつつ、②中央銀行の利払いが過大にならないよう準備預金残高の縮小や資産売却を進める出口戦略を示し、③金融機関が超過準備に依存せず実体経済に資金を循環させるよう規制・監督面の工夫を行う、といった総合的な対応が求められる。このように、超過準備付利は現代の金融政策の重要な柱であるが、そのメリットとデメリットを踏まえたバランスの取れた運営が不可欠である。

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