「近世の女性観」とは、時代や地域によって異なりますが、一般的には封建的・家父長制的な社会構造の中での女性の位置づけを意味します。ここでは、主に日本の近世(江戸時代)を中心に、必要に応じて西洋(ヨーロッパ)近世との比較も交えて説明します。
【日本近世(江戸時代)の女性観】
1. 家父長制と家制度の下の女性
- 女性は「家」に従属する存在とされ、父→夫→息子と男性中心の秩序に従う立場。
- 『女大学』などの教本で「三従の道(さんじゅうのみち)」が強調される:
- 幼少期は父に従い、
- 結婚後は夫に従い、
- 夫の死後は息子に従う。
2. 「貞淑」「従順」な女性像
- 理想の女性は、夫に尽くし、内助の功を重んじる存在。
- 貞操・節度が重視され、再婚や恋愛は社会的に制限される傾向が強い。
3. 経済的・実務的役割も担った
- 商家や農村の女性は、帳簿管理、接客、労働などを担うことも多く、経済的にも貢献。
- 武家の女性も「家」の名誉を守るために教養や礼儀作法を学んだ。
4. 芸能・遊郭の女性像(矛盾的役割)
- 歌舞伎・浄瑠璃・浮世絵などで理想化・恋愛化された女性像が描かれる。
- 遊郭(吉原など)では「遊女」が文化的な教養と美の象徴となる一方、厳しい支配の中で生きる矛盾した存在。
【ヨーロッパ近世(16〜18世紀)の女性観】
1. キリスト教的価値観
- エヴァに由来する「原罪」思想により、女性は誘惑・不安定な存在と見なされることも。
- 結婚は家族間の契約であり、個人の愛情は二次的。
2. 魔女狩りとの関係
- 中世〜近世にかけて、女性が「魔女」とされる事件が多発。
- 社会の不安や混乱が女性に投影され、社会的不安のスケープゴートとなった。
3. **貴族階級の女性は教養も】
- 一部の貴族女性はサロン文化の中心となり、文学・哲学に影響。
- しかし政治的・法的には依然として男性に従属的。
【まとめ:近世の女性観の特徴】
視点 | 日本近世(江戸時代) | ヨーロッパ近世 |
---|---|---|
社会構造 | 家父長制・武士道的秩序 | 封建制+キリスト教倫理 |
理想の女性像 | 貞淑・内助の功 | 従順・信仰的純粋さ |
制限 | 結婚・再婚・財産権などの制限 | 教育・職業・信仰の制限 |
例外 | 遊郭の遊女、商家の妻など | サロンの女性、王妃など |
コメント