バンク・オブ・アメリカ法人サービス利用ガイド

対象企業と必要条件

バンク・オブ・アメリカ東京支店(BofA N.A. Tokyo Branch)は、日本国内の大企業や国際的に事業を展開する日本企業、外国法人の日本拠点を主な対象としています。口座開設には、法人登記があり十分な事業内容・財務基盤を有することが前提となり、マネーロンダリング対策を含む厳格な審査が行われます。国内のみ取引する小規模企業よりも、海外取引や外貨取引などグローバル展開がある企業が主な利用者です。

取引開始の流れ

取引を開始するには、まずバンク・オブ・アメリカ東京支店の法人営業担当者(トレジャリーオフィサー)に問い合わせて相談します。具体的には次のステップになります。

  • 問い合わせ・商談: 法人担当者と面談または電話でニーズを確認し、サービス内容を説明してもらいます。
  • 申込・書類提出: 法人口座開設申込書に必要事項を記入し、法人登記簿謄本・定款・代表者印鑑証明・取締役会議事録などの必要書類を銀行に提出します(後述「必要書類」参照)。
  • 審査・契約: 銀行側でマネロン防止・信用審査が実施され、問題なければ口座開設契約やCashPro利用契約などに署名します。審査には通常数週間から1~2か月程度を要します。
  • 口座開設・設定: 審査承認後、円・外貨口座が開設されます。オンラインシステム(CashPro)利用の場合は、担当者の設定でCashProへの登録手続きが行われ、ユーザID等が発行されます。
  • 利用開始: 初回入金・必要な連携設定が完了すれば、国際送金やキャッシュマネジメント等のサービスが利用可能となります。

契約形態の違い(日本支店 vs 海外支店)

東京支店は日本の銀行法規制下にあり、口座は国内拠点口座として開設されます。口座通貨は円はもちろん主要な外貨建ても対応可能です。一方、米国やアジアの海外支店と契約するには、現地法の要件(たとえば米国支店では米国内での法人登記やEIN税番号の取得など)が必要になります。海外支店口座ではその国の法律・預金保険制度が適用され、取引通貨や手数料体系も異なります。日本支店経由の契約では日本語での対応・連絡が可能であり、日本円取引にも対応しますが、海外支店契約では英語主体となる場合があります。一般に日本法人が利用する場合、まずは東京支店との取引が一般的で、海外支店との直接契約は現地法人設立などがないと難しいケースが多い点に注意が必要です。なお、Bank of America本社系の支店口座(米国支店など)に開設した預金はFDIC保険対象となりますが、東京支店口座は日本の法令に従った取り扱いとなり預金保険の適用外となる場合があります。

法人口座・サービス内容

東京支店の法人向けサービスには、円建て口座や外貨建て口座の開設、国際送金外国為替取引貿易金融(輸出入信用状など)貸出・信用供与バンクノート(現金)の取り扱いなどがあります。こうした口座をベースに、CashProなどのオンライン・キャッシュマネジメントツールで資金管理が行えます。CashProは支払・入金指示、流動性管理、投資、外為取引などを統合的に管理できるプラットフォームで、専用アプリからモバイルでも操作可能です。法人向け口座は一般的な個人銀行口座とは異なり、主に大口決済に適したものです。例えば、入出金や支払処理はCashPro上で指示し、複数通貨の口座残高を同一ダッシュボードで確認するといった形で利用します。

必要書類

口座開設・サービス利用にあたって提出が求められる主な書類は以下の通りです。

  • 法人の登記事項証明書・定款など(会社設立の証明書類):日本法人の場合、履歴事項証明書または登記簿謄本、定款。外資系企業の場合は外国会社の設立証明書や営業認可書類など。
  • 代表者・役員の身分証明書:代表取締役など口座開設担当者のパスポート、運転免許証などの写真付きID、および現住所を証明する書類(公共料金請求書等)。
  • 印鑑関連書類:法人実印の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)、印鑑届出書など。
  • 組織・決済承認の証拠:取締役会議事録や株主総会議事録での口座開設・契約承認書。代表印の届出書。
  • 取引・財務情報:直近の決算書や財務諸表、取引概要説明書など(銀行が必要と判断した場合)。
  • マネロン対策資料:最終実質ベネフィシャリーオーナー(UBO)の確認書類、取引先・事業内容の説明書、財源証明など。
  • その他銀行指定書類:銀行所定の申込書および契約書類。必要に応じて英文書類の公証(外資系の場合)や翻訳などが求められることがあります。

必要書類は銀行の審査方針や取引内容により増減するため、事前に担当者と確認して準備します。

CashProなどオンラインサービス

CashProはバンク・オブ・アメリカが提供するデジタルキャッシュマネジメントプラットフォームで、支払い指示や入金管理、外貨取引、資金繰りなどがリアルタイムに行えます。利用開始には口座開設後にトレジャリーオフィサーへ依頼し、システムへのアカウント登録を行います。公式サイトでは「CashProの利用開始にはBank of Americaの担当者へ連絡すること」と案内されています。CashProにはWeb版とモバイルアプリ版があり、いずれも日本からアクセス可能です。

CashPro以外にも、バンクオブアメリカのグローバル決済ソリューション(国際送金、受取管理など)や商業カード、金融商品サービス(投資や流動性管理ツール)などが利用できます。ただし、これらは契約している口座や利用範囲により提供内容が異なるため、具体的なニーズは担当者と相談して確認します。

サポート体制

バンクオブアメリカでは、法人顧客向けに以下のようなサポート体制を整えています。

  • 法人営業担当(トレジャリーオフィサー):東京支店の担当者が日本語で対応し、口座開設から日常業務まで継続的に支援します。担当者の紹介や訪問ミーティングで手続き案内や問題解決を行います。
  • CashProテクニカルサポート:CashPro利用企業向けにメールと電話サポートがあります。平日24時間対応のメールサポート(cashpro.assistant@bankofamerica.com)で技術的質問を受け付けます。日本国内向け電話サポートもあり、月~金曜9:00~18:00(JST)に「03-6758-5156」でCashProの技術支援を受けられます。CashPro上のチャット機能(バーチャルアシスタントErica)も24時間利用可能です。
  • グローバルサポート:海外支店口座や国際取引に関する問い合わせには、米国の24時間カスタマーデスク(電話 1-770-491-4064)で対応します。英語での窓口ですが、東京支店担当者経由で案内を受けられます。
  • ヘルプデスク・サイト:公式ウェブサイトやヘルプページにはFAQや操作ガイドが公開されています。CashProにはオンラインヘルプやトレーニング動画もあります。
  • その他:大口取引時の専任担当者配置や、取引システムの設定支援、セキュリティ教育など、契約内容に応じたきめ細かいサポートがあります。

要約

バンクオブアメリカ東京支店は、国際取引を行う日本企業や外資系法人向けに銀行口座やキャッシュマネジメントサービスを提供しています。利用するにはまず法人営業担当と相談し、会社登記簿謄本や代表者の身分証明書などを提出して法人口座を開設します。契約形態は東京支店(日本拠点)と米国等の海外支店で異なり、前者は日本円を含む通貨口座と日本語対応が主体、後者は現地法規・通貨に準じます。CashProなどのオンラインサービスは口座開設後に担当者に申し込むことで利用でき、支払い・入金管理や国際送金が可能になります。サポート体制としては、日本語対応の担当者・テクサポート窓口に加え、米国の24時間デスクも利用できます。全体の手続きは書類準備や審査のため通常1~2か月程度かかるため、早めの準備・問い合わせが重要です。

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